※この記事はアクチュアリー経験者の方向けの内容です。これからアクチュアリーを目指す方は「未経験・文系からアクチュアリーになるには?資格や仕事内容を理解しよう。」を御覧ください。
数理プロフェッショナル、アクチュアリー(保険数理人)。高度な能力と成果を求められることから、年収はビジネスパーソンの中でもトップクラスで、平均年収の範囲はおよそ1,150~1,380万円 です。
さらなる年収アップ・やりがいアップを目指して、転職をする場合にはどのような壁があるでしょうか。
今回はアクチュアリーとして勤めている状態からよりキャリアアップをするための提案をしたいと思います。
アクチュアリーとして年収アップする3つの方法
アクチュアリーとしてキャリアアップする方法は3つあります。
※リンクをクリックすると解説にジャンプできます。
順番に解説していきます。
(1)資格をステップアップする
この記事をご覧になっている方の中にも、正会員資格取得試験に挑んでいる方は多いのでは。
ご存じの通り日本では、アクチュアリーになるとは、公益社団法人日本アクチュアリー会による試験に合格し、同団体の正会員になることを意味します。この試験に合格をしなければ、正式な「アクチュアリー」を名乗れません。
試験内容は、1次試験では「数学」「生保数理」「損害数理」「会計・経済・投資理論」といったもので数字を扱う能力が問われます。2次試験ではより高度な専門の高い分野に分かれていきます。これらの知識は意識をして大学で学ぶことや、資格予備校に通う、テキストで自学自習などの選択をしなければ身に付くものではありません。
1次試験の内1科目でも合格していれば「研究員」、一次試験の全てに合格していれば「準会員」と呼ばれており、公認会計士を凌ぐとも言われる難易度と現場の人材不足が背景となって、転職市場ではそれだけで十分な価値となっています。
合格段階別、目安年収
アクチュアリー試験(1次試験)では、過去10年の合格率の平均は、どの科目も15%~20%ほどです。(全科目異常に高い合格率だった平成24年度を除く)
かなりの難関ですので、アクチュアリー資格のステージを上げることは年収アップのわかりやすい近道ですよね。
(引用元:過去のアクチュアリー試験(1次試験)の合格率や受験者数の推移 | アクチュアリー・ゼミナール)
合格科目数を増やして転職活動を行うのも良いですし、在職中の科目合格により査定額を引き上げてくれる企業も珍しくありません。
- 研究員(科目合格)
- 600~700万円程度
- 準会員(一次合格)
- 平均1000万円程度
- 正会員(二次合格)
- 平均1200万円程度
(2)出世する人の最大の特徴、「プレゼン力」を身につける
アクチュアリーって結局「エクセル職人」と「社内コンサルタント」に分かれるよね、という感想をお持ちの方も多いのでは。
アクチュアリーとして出世する人には論理的説得力に長けた方が多いのはゆるぎない事実。
特に説得の対象は経営陣であることが多いため、単にロジカルであるというレベルを超越したわかりやすさや快活さ(もはやプレゼン能力)が問われるようになっているのが今のアクチュアリーの労働市場だと思います。
複雑で難解なモデルも非専門家に対してわかりやすく説明できなければ宝の持ち腐れ。苦労して算出した手柄を上司に横取りされないためにはこの能力を磨くことは避けて通れません。
それを裏付けるエピソードさえあれば、いざ転職を検討するときでもあなたの市場価値は揺るぎないものとなります。
(3) 外資系企業へ転職を検討する
アクチュアリーの年収は勤務先によって上下しますが、外資のそれは別格です。
- 外資系金融機関・保険会社
- 平均2,000万円
- 生命保険会社
- 平均1,350万円
- 損害保険会社
- 平均1,360万円
- 銀行
- 平均1,200万円
- 会計監査法人
- 平均1,000万円
- 年金事務所
- 平均1,000万円
これは外資系企業がマネジメント能力より職能・専門性を高く評価するためです。
外資と聞くと英会話必須と思われがちですが、意外とそうでもありません。
ポジションや会社によってはほとんど日本語でやりとりされている職場もあるそうです。私の顧問先にも外資系企業が多いのですが、例えばZoho JapanさんやINAP Japanさんなどは日常業務でほとんど英語を使用していません。
Job Descriptionはほぼ100%英語で書かれていると思いますが、「Business English Required」表記がなければビジネス英会話が不要である可能性があります。
むしろ業務おいて重要なのは英会話よりも英語のライティング能力、特にメールやチャットの読み書きです。
とはいえ英語のレポートや海外の統計データを読み解くのは日系企業のアクチュアリーでも日常的に行われていることでしょうから、そのレベルの英語力があれば十分であるケースがほとんどです。
転職体験記:年収アップを求めて外資へ転職
(参考:日系生保のアクチュアリー業務から外資系生保のアクチュアリー業務へ | KOTORA)
こちらは日系生保のアクチュアリー業務から外資系生保に転職されたアクチュアリーの方の転職体験記です。
転職を決めた理由は2つあり、1つは英語力をより生かせる環境を望んだこと、そして2つ目はやはり年収をはじめとした待遇に不満があったことだといいます。
日系企業はいまだ年功序列の傾向が強く成果が正当に評価される環境で働きたいと考え、外資系への転職を検討し始めたそうです。
実際の転職活動では、転職エージェントを利用して企業カルチャーや業務内容、社内でのキャリアパス等の情報を提供してもらっていましたが、情報収集や面接の準備、面談のスケジューリングには想像以上に苦労したといいます。
次項で詳しく説明しますが、外資系企業は求人での募集が中心ではないことも多く、情報収集に苦労される方が多いようです。
外資系金融転職のポイントはリクルーターを味方につけること
求人での募集の代わりに外資系企業が力を入れているのがダイレクトリクルーティングです。
ダイレクトリクルーティングとは、必要な人材を自社で発掘し、アプローチすることです。これは多くの場合一般に非公開で行われます。
外資系企業ではダイレクトリクルーティングのためにリクルーターと呼ばれる専門部隊を組織しています。
リクルーターの役割は現場サイドからの要望に合う人材(転職予備軍)を発掘し、採用プロセスへ導くことです。
Amazon、Microsoft、Salesforceなどの日本法人では、社内に10~30人のリクルーターを配置しています。
大手外資系の金融企業への転職の最短距離は彼らリクルーターの目に留まる事です。
リクルーターに接触することができれば、「どんな求人票(Job Description)があるのか」「合格するにはどんなアプローチが有効なのか」を知ることができます。
(リクルーターの評価は「内定に足る人材を何人紹介したか」で決定されるため、彼らもあなたの良さを引き出すために全力でアドバイスをしてくれます)
この外資系リクルーターが人材の発掘に利用しているのが、レジュメバンクと呼ばれる転職サービスです。
これは一般的な転職エージェントと異なり、あなたが登録した履歴書が人事やリクルーターに匿名で閲覧されるサービスです。
中でもビズリーチはGAFAのリクルーターも利用しているといわれています。
外資への転職をお考えなら登録しておく価値は十分あります。
ビズリーチ
外資系リクルーター・ヘッドハンター多数
登録ヘッドハンター約3,800人。中にはGAFAなど大手外資のリクルーターも。
利用者の口コミ
- 36歳 男性
外資のリクルーターがとにかく多い。レジュメはしっかり書くことをおすすめする。
- 30歳 男性
自分のタイミングで転職活動を進められるのは良い。転職が決まるとお祝いが貰える。
- 28歳 女性
大手企業の人事もかなり見ているようなので一定以上の経験がある方には向いていると思う。私には不向きだったかな。
まとめ
アクチュアリーとして更なるキャリアアップをする方法として、3つの方法を紹介しました。
責任は伴うものの、扱う金額や仕事のスケールが大きくやりがいに満ちたアクチュアリーの仕事。ご自身に合った方法で、さらなるキャリアアップを実現されることをお祈りしています。