自社の商品・サービスを販売する代理店の開拓を担う代理店営業職は、数ある営業職の中でも異色の存在です。
そもそも代理店営業とは
代理店営業は、自社商品・サービスの販売代理店の開拓やそのサポート業務を行う営業職です。
通常の営業は自社の商品を売ることが仕事ですが、代理店営業は自社の商品を売ってもらうという点で仕事内容が異なります。
- 広告業界(インターネット広告を含む)
- IT業界(システム開発もしくはツール系)
- 金融、保険業界
- 食品メーカー
- 工業機械メーカー
などに多いですね。
代理店営業のやりがいといえばなんといってもパートナー企業と強い信頼関係。
代理店側の特性として、「ものすごーく自社の商品を売ってくれるところ」と「いくら社内セミナーを実施してもなかなか販売してくれないところ」の差が両極端になりやすいという性質があります。
これは代理店側に合った売り方を確立してくれるキーマンがいるかどうかに依存する傾向が強く、このキーマンと代理店営業はお互いをビジネスパートナーと認め合う長期的なお付き合いになりやすいです。
弊社の副社長も前職でWebマーケティング会社の代理店営業部門に配属されたことがありますが、その当時に仕事を通じて知り合った代理店の役員の方とは退職後も食事に行く仲です。
取り扱う商品が保険やスマートフォンなど、エンドユーザーにとって大切な社会インフラであることが多いのも魅力ですね。
代理店営業の年収
代理店営業の年収に関しては、他の営業に比べると気持ち低めです。保険営業を例に比べてみましょう。
平均 | 20代 | 30代 | 40代 | |
---|---|---|---|---|
代理店営業 | 402万円 | 332万円 | 441万円 | 513万円 |
リテールセールス | 421万円 | 348万円 | 527万円 | 556万円 |
(引用元:doda平均年収ランキング2018年版)
注目してほしいのは30代における平均年収の差です。100万円近く差が開いています。
代理店営業の年収が30代で伸び悩むのには理由があります。
そもそも一人で担当できる代理店の数に限界があり、一定数のパートナーと契約を結んだあとはそのフォローに忙殺されて売上が伸び悩みやすいためです。
周りの先輩を見渡して30代で年収が伸び悩んでいるような印象を受けませんか?
年収アップを目的として転職を考えるなら、30代に差し掛かる前に動き出すことをおすすめします。
そこで注意したいのは、代理店営業で転職後に収入が上がった方が約4程度に留まっている点です。
代理店営業からの転職で給料をアップさせることは難しいのでしょうか?代理店営業経験者のキャリアプランについて考えてみましょう。
(引用元:代理店営業|マイナビエージェント)
代理店営業経験者の転職は2パターン
代理店営業経験者が転職を通じたキャリアアップを考える場合、以下の2通りのルートが考えられます。
パターン1:代理店営業経験者としての道を極める
売上はリセットされてしまいますが、現職での経験と人脈を活かして転職できればすぐにパートナーは増えていくためうまく立ち回れば現職の収入にインセンティブが加わり大幅な年収アップが期待できます。
注意点としては現在と顧客層が異なる業界に転職しないこと。代理店営業としての最大の武器は商品・業界知識ですので、業界ごとレーンチェンジしてしまうとまたイチから勉強し直しです。キャリアにとっては大幅な足踏みとなります。
国内生命保険会社から外資系生命保険会社へ
Salesforceなどの大手CRMベンダーからMAツールのベンダーへ
食品メーカーの代理店営業から機械メーカーの代理店営業へ
大企業をターゲットとしたITツールベンダーから個人事業をターゲットとしたITツールベンダーへ(同じITツールでも顧客基盤が異なると代理店マーケットも全く違うものになる)
転職体験記:業界知識を活かした転職
代理店営業時代の経験と知識を活かして、異業種に転職された方の転職体験記をご紹介します。
メーカーのソリューション営業から、シンクタンクのDX推進コンサルタントへ | ELITE Network
こちらの方は、電機メーカーの製造業向けIoT・DX化推進事業部でFA(ファクトリーオートメーション)機器の代理店営業の職に7年半従事されていました。
業務に従事するうちに、IoT・DX化するための仕組みを顧客ともに考えることにやりがいを感じるようになっていきました。
しかし、代理店営業が中心の現職では顧客に直接IoT・DX化を提案する機会は限られていました。そのため、やりがいをより多く感じられる企業を探して転職することを決意。
業務の中で身に着けた製造業のIoT・DX化に関する知識を活かし、DX推進コンサルタントの職に転職しました。
転職先では、IoT・DX需要に対してデジタル技術を駆使し、新規ビジネスを顧客と共創する業務についています。
代理店営業を経験された方が身に着けている武器は、「営業スキル」だけでなく「知識」や「提案力」といったものも含まれるのです。
転職の際には、それらを活かすために関連業界の異業種に転職するというのも十分に有力な選択肢です。
転職エージェントとしては年収アップが見込める大手企業ねらいで、リクルートエージェントやdodaなど大手企業に強いサービスを選ぶのが吉です。
とはいえ運悪く業界知識の浅い担当者にあたってしまうと「同じ代理店営業なので・・・」と言ってピントのずれた案件を紹介されるリスクがありますので、カウンセリング時には希望の業界をはっきりと伝えるようにしましょう(できれば具体的な企業名までオファーしてしまえるとベターです)。
代理店営業職の自己PR・志望動機
生命保険会社にて、代理店への提案型営業・管理・育成などに5年間従事。地域マネージャーとして、30におよぶ代理店を担当し、代理店内セミナーやアップセルに力を入れてきました。
代理店営業の仕事にはいまも魅力を感じているのですが、現在、在職している会社は、生命保険会社のなかでも老舗ということもあり、年功序列で管理職のポストが埋まっていくことに疑問を覚えています。
また、給与面においても、仕事面においても前年から横ばいの状態が続いたことで、より大きな責任を担える仕事ができる求人を探していました。
そのなかでも、昨今日本に上陸したばかりの外資系である御社は、業界内でももっともフレッシュな存在です。若くして管理職に登用されている方も多いと伺っており、実力主義のチャレンジングな社風に惹かれてご応募させていただきました。
パターン2:代理店営業の経験を活かして営業職へ
代理店営業としての経験は当然通常の営業職でも役に立ちますし、企業側からの需要もあります。
特に法人営業は代理店営業と同様にBtoBとしての立ち居振る舞いが求められる職種として共通する部分が多く、転職しやすい職種です。
法人営業として転職するためにはMR(製薬会社の営業)のように特殊な業界を除き、営業職に必要な資格は特にありません。営業は業界ごと、会社ごとによって仕事の進め方が全く異なります。
だからこそ、転職活動においては、応募先企業がどのようなサービスを行っていて、業界内における強み、弱みが何かを理解し、面接で意見を伝える姿勢が重要です。実はこの「訪問先を調べて、自分の強みを伝える」活動それそのものが法人営業の仕事とよく似ています。
面接ではあなたの「営業力」を試されていると心がけてください。
なお、法人営業の求人は常に一定数あるため、中小企業を対象に自分のペースで転職活動を進めたければリクナビNEXT、大手企業への転職希望でカウンセリングや給与交渉の代行を希望するのであればリクルートエージェントやマイナビエージェントなどのエージェント系という風に使いわけるようにしましょう。
代理店営業職から異業種の営業を志望する場合の自己PR・志望動機
大手通信キャリアの九州地域の代理店営業として活動して参りました。主な取り扱い商材はiPadで、学校法人や塾を顧客とする教育系の企業が主な代理店様でした。
担当エリアの小中学校におけるiPadの導入率は前年比10%アップしており、代理店セールスとしての成績も30人規模の営業所の中で常時トップ3に入っていました。
3年間やってきて感じたことは、教育の現場の保守的な部分です。もともと日本の教育に良い影響を及ぼしたいという思いで希望して入った部門でしたので、実態との乖離に少しショックを受けています。そんな中人材紹介会社から御社の紹介をいただきました。私塾や英会話スクールなど向けにWeb広告の支援をされているということで、私が志す教育分野に別方面から関われるのではないかと期待を抱いております。もともと通信キャリアに勤務していたということでWeb系に対しては一定のリテラシーもございます。
代理店営業として学んだことを今度は法人営業として活かしていきたいと考えております。
まとめ
代理店営業職で培う提案力や折衝力は仕事をするにあたって普遍的に必要な能力です。代理店営業としての実績やそこで得た知見を棚卸しして、年収アップに向けた転職ができるよう準備を進めましょう。