- Webディレクターの転職市場トレンド2020
- Webディレクターの年収をアップするには?
- 転職体験記:Webディレクターの転職理由とキャリアプラン
- Webディレクターのキャリア・マトリクス
- A)「デザイン色の強いブランドサイトの案件が好き・得意」×「制作会社で様々な案件に関わりたい」
- B)「デザイン色の強いブランドサイトの案件が好き・得意」×「インハウス担当者として1つのサイトをじっくり育てたい」
- C)「ECサイトなど、売上や成果が数字で見えるサイトの案件が好き・得意」×「制作会社で様々な案件に関わりたい」
- D) 「ECサイトなど、売上や成果が数字で見えるサイトの案件が好き・得意」×「インハウス担当者として1つのサイトをじっくり育てたい」
- まとめ:Webディレクター転職のポイント
Webディレクターの転職市場トレンド2020
「インターネット広告費」の成長率は5年連続で10%以上をキープしており、2019年には「テレビメディア広告費」を上回りました。
(引用元:2019年 日本の広告費|電通)
dodaキャリアアドバイザーの寺尾 怜氏は、Webディレクターを含むクリエイティブ職全般での求人需要は安定し、今後はUX/UIを改善できる人材や、EC関連の人材のニーズが高まるとの見方を示しています。
(出典元:転職市場予測2020上半期 クリエイティブ)
本稿では、現在Webディレクターとして活躍している方が幸せな転職をするためのヒントをお届けします。
Webディレクターの年収をアップするには?
お仕事において年収が全てではありませんが、お給料はあなたの努力と成長の証。年収アップはやはり「転職が成功した!」と思える条件の一つです。
dodaの調査によると、Webディレクター(Webプロデューサーを含む)の年収は全体平均で446万円。
Webプロデューサー/ディレクター平均年収:446 万円
男性:484 万円
女性:404 万円
20代:365 万円
30代:462 万円
40代:533 万円
50代~: 554 万円
(出典元:doda 平均年収ランキング 最新版【職種別】 )
Web制作の上流を担うため、クリエイター系職種の平均377万円と比べると高額です。
転職体験記:Webディレクターの転職理由とキャリアプラン
Webディレクターが担当するWebサイトの種類は、会社によってさまざまな傾向があります。
自分の望む働き方、得意な分野/不得意な分野は人それぞれ異なるものです。
まずは、転職経験のあるWebディレクターの転職体験記から、どのような理由で転職した方がどういった企業に行ったのかを確認してみましょう。
Webマーケティングを軸に制作・運用・コンサルティングをトータルに行うベンチャー企業への転職
(参考:ライフステージに応じた働き方を実現するために。私が踏み出したWebディレクターとしての新たな挑戦! ―― H.T.さん(38歳・男性) | マイナビクリエイター)
こちらの方は、Web制作会社でWebディレクターとして、受託案件中心に1ヵ月〜2ヵ月間の新規サイトを制作し、次の案件に移るというスタイルで仕事を行っていました。
大手企業のプロジェクトなども手がけるチャンスもあり、ものづくりをおこなう充実感を感じていたといいます。
しかし、年齢を重ねるにつれ、世の中にインパクトを与える仕事ばかりが大切なのではなく、派手さはなくても本当の意味で世の中の人々に必要とされ、顧客に喜んでもらえるものをつくることにやりがいを感じるようになってきてもいました。
そこで、新規の案件に次々とチャレンジしていくスタイルではなく、サイトの更新やリニューアルなど、運用を中心とした息の長い仕事を求め、制作会社ではなく、自社サイトを持つ事業会社のWebディレクターに転職しました。
ゲームメーカーのWebディレクターへの転職
(参考:33歳から未経験業界に挑戦。不安を乗り越え、見事転職を実現したWebディレクター体験談 ―― 是永康貴さん(33歳・男性) | マイナビクリエイター)
こちらの方は、Webディレクター兼プロデューサーとして、コーポレートサイトや医学系の学会サイト、イベントサイト等の制作を行っていました。
受託の仕事のみ行っている企業でしたが、今後のキャリアを考えたとき、企画からWeb制作、さらにそれをツールとした販促イベントやプロモーションにも関わりたいと思うようになり、メーカーへの転職を決意。業界は自分の好きなゲーム業界に飛び込んだそうです。
Webディレクターのキャリア・マトリクス
2つの転職体験記を確認しましたが、どちらもサイト制作に深く(広くもしくは長期的に)関わりたいという理由から、自社のサイトやサービスを運営する企業へ転職するというものでした。
とはいえ、彼らのように1つのWebサイトにじっくりと関わりたいという方ばかりではなく、多くの案件に関わって様々なアイディアを実現させてみたいと思う方もいらっしゃると思います。
そこで今回は、どのような会社へ応募すれば幸せなキャリアを積めるのかを、整理しました。
まずはこちらの表をご覧ください。
デザイン色の強いブランドサイト の案件が好き・得意 |
ECサイトなど、売上や成果が 数字で見えるサイトの 案件が好き・得意 |
|
---|---|---|
制作会社で様々な案件に 関わりたい |
A)Web系デザイン事務所 |
C)インターネット広告代理店系 のWeb制作会社 |
インハウス担当者として 1つのサイトをじっくり育てたい |
B)メーカーや不動産デベロッパー のインハウス担当者 |
D)Web系スタートアップ のインハウス担当者 |
Webディレクターのキャリアマトリクスは、転職Doオリジナルの考え方で、クリエイティブ職の方が幸せに働くための方向性を描いたものです。
縦軸は「デザイン色の強いブランドサイトの案件が好き・得意 or ECサイトなど、売上や成果が数字で見えるサイトの案件が好き・得意」
横軸は「制作会社で様々な案件に関わりたい or インハウス担当者として1つのサイトをじっくり育てたい」
この2つの要素の組み合わせで方向性が見えてきます。
A)「デザイン色の強いブランドサイトの案件が好き・得意」×「制作会社で様々な案件に関わりたい」
クリエイティブ志向のWebディレクターのあなたには「Web系デザイン事務所」のお仕事がぴったりマッチします。
デザイン系の案件はお客様が大手メーカーや不動産デベロッパーなど著名なブランド企業であることが多く、たくさんの人の目にふれるサイトに携われるのが魅力です。
少し古いですが、広告業界でも高く評価され世界三大広告賞のひとつと言われる”CLIO AWARDS”を受賞したUNIQLOCKの田中耕一郎さんはデザイン系Webディレクターの憧れですよね。
この進路を選ぶ場合のポイントのひとつが、老舗のデザイン会社を選ぶことです。
デザイン事務所は数字よりも感性で訴えるサイト制作案件を多く抱えています。社内には業界でも有名なエースデザイナーが在籍していることが多く、そういった方々との関わりもやりがいのひとつです。
デザイン事務所を志望する場合はデザイン経験やクリエイティブに対するこだわりがアピールポイントとなります。一方でアクセス解析などのノウハウは基本的なことさえ抑えておけばよく、ほんとどの場合は採用基準になりません。
デザイン事務所を希望する場合の自己PR・志望動機例
私は不動産系サイト制作会社で2年間デザイナー、3年間Webディレクターとして経験を積んでまいりました。主に大手デベロッパーから受託した新築マンションPR用サイトの制作ディレクションを担当しています。
仕事にはやりがいがあるのですがクライアントの想いや要望をヒアリングしながら、サイト作りを行いたいのが本音です。新築マンションのサイトは成功パターンが確率されており、デザインもサイト構成もほとんど同じテンプレートで制作されるため、正直なところそういった仕事の仕方が求められていないという実情があります。
御社は業界でも老舗のデザイン事務所として、有名企業のWebサイトを数多く手がけられています。制作実績も拝見しましたが、◯◯と✕✕では全く異なったアプローチとなっており、いずれもブランド側が本当に伝えたいことを直感的に訴えるクリエイティブで、とことんヒアリングして作られたものであることがすぐに分かりました。こうした仕事への憧れの気持ちも半分あるのですが、私は高級マンション系サイトのデザイナー出身のディレクターですので、御社が得意とされているハイブランドのクリエイティブ案件のディレクション領域で即戦力としてお役に立てるものと考え、今回ご応募させていただきました。デザイナー時代のポートフォリオも持参いたしましたので、ぜひご覧ください。
B)「デザイン色の強いブランドサイトの案件が好き・得意」×「インハウス担当者として1つのサイトをじっくり育てたい」
もしあなたが受託制作ではなくクリエイティブ志向のインハウスのWebディレクターとしてのキャリアを歩みたいと考えるのであれば、メーカーや不動産デベロッパーのディレクターとしての転職をおすすめします。
例えば化粧品メーカーやアパレルブランドはブランディングの軸足をテレビCMからWebにどんどん移しています。
こうしたメーカーは雑誌広告や中吊り広告などのリアル系プロモーションには長けていますが、Web系のノウハウに乏しく、人材も不足しています。多くの企業が代理店に制作を外注している状態で、そのディレクションも丸投げ状態であることが多いです。
Webの重要性が高まるにつれこのような状況に課題感を覚え、Webのインハウス担当者を募集する企業が増えています。
サイト制作・運用だけでなくデジタル広告やSNSを絡めたプロモーションなどにも携われるのがこのポジションの魅力です。裏を返せばそういった施策に関わった経験があると大きなアピールポイントになるでしょう。
メーカーや不動産デベロッパーのインハウス担当者志望の場合の自己PR・志望動機例
私はWeb制作会社で5年間ディレクターとして経験を積んでまいりました。これまでにHRテック、化粧品ブランドなどのサービスサイトの制作に携わった経験があります。サイト制作そのものもさることながらリリース後のSNSを絡めた企画などでお客様に喜んでいただくことが多く、仕事自体にはやりがいを感じておりました。ところが受託という性質上プロジェクトが終了するたびに「まだまだこれから」というところで関われなくなってしまうのが残念で、ひとつのプロダクトやサービスの運用に携わり成長を支える仕事に魅力を感じるようになりました。
これまでの経験からブランドデザインには自信があるところですので、得意領域であるメーカー系企業のインハウス担当者としての転職を考えています。
御社は世界的な若年層向けの化粧品ブランドとして素晴らしいネームバリューをお持ちですが、国内でのWeb展開には課題感をお持ちでいらっしゃると伺っています。私はサイト制作だけでなくInstagramやYoutubeを絡めたキャンペーンの企画にも自信がありますので、これまでの経験を活かして一緒にお仕事させていただければと考えております。
C)「ECサイトなど、売上や成果が数字で見えるサイトの案件が好き・得意」×「制作会社で様々な案件に関わりたい」
「インターネット広告代理店系のWeb制作会社」に適性ありと診断されたあなたは、サイトの成果やアクセス解析に興味がある方だと思います。
広告代理店のWebディレクターは業務範囲が幅広く、転職サイトなどで求人票を研究するとこなせる役割が多くなるほどお給料が高くなる傾向にあります。
インターネット広告代理店はサイトの受託制作においてもクリエイティブより「成果が出るサイトづくり」「売上(コンバージョン)が上がる仕組みづくり」にこだわり、お客様にも数字をベースに企画を提案・訴求します。そのためお客様はECサイトやBtoBのリード獲得用サイトが多いです。
インターネット広告代理店にとってサイトの制作はあくまでスタート地点。お客様への関わりとして大切なのはその後の運用です。(裏を返せばサイトローンチ後もいかに保守以外の契約を受託し、継続させることができる人が評価されます)そのため最初は制作ディレクターとして加入したとしても、広告やSEO、アクセス解析のことまで知識の幅を広げられる(それが求められる)職場です。
こうした企業で求められるのは「数字にこだわる意思」と「数字で表現する能力」です。
面接や書類選考ではプロデューサーとしての素質を証明するために、これまで携わったWebサイトがどのようにビジネスに貢献したのかを理解してきちんとアピールしたり、UUやPV、コンバージョンなどをクリティカルな数字で提出したりして、「アクセス解析領域まで関わってきた」ことをアピールできるとグッと印象が良くなるはずです。
インターネット広告代理店志望の場合の自己PR・志望動機例
私は制作会社で5年間ディレクターとして経験を積んでまいりました。ECサイトやメディアサイト制作、運用、リニューアルの進行管理が中心です。運用のことまで考えてGoogleアナリティクスやタグマネージャーをリリース段階から整備するなど、自分の付加価値を出すことを意識してきました。そのような案件に携わるうち、広告までスキルの幅を広げて「売上を上げられるWebコンサルタント」を目指したいと考えるようになりました。
しかし現職はあくまで制作会社で、基本的にはリリースしたら案件は終了です。運用フェーズまでしっかりと関わって、自分の設計が正しかったのかを確認したいですし、お客様のビジネスに数字で貢献したいというのが本音です。
御社はECサイトの数値改善に強みを持つインターネット広告代理店ですので、お客様のほとんどは「このサイトで売れるのか、このWeb広告戦略で効果が出るのか」という視点でパートナーを選ばれることと理解しています。ですからPPC、SEOやリリースした後のアクセス解析まで意識してサイトを設計してきた経験が活かせるものと考えご応募いたしました。最初は制作部門への所属を希望しますが、なるべく早期に広告の仕組みまで理解してランニング契約のディレクションまでお手伝いできる存在になりたいと考えております。
D) 「ECサイトなど、売上や成果が数字で見えるサイトの案件が好き・得意」×「インハウス担当者として1つのサイトをじっくり育てたい」
もしあなたが受託制作ではなく数字にこだわるインハウスのWebディレクターとしてのキャリアを歩みたいと考えるのであれば、Web系スタートアップ(最近だとHRテック、ヘルステック、ECサイトなど)のインハウス担当が有力な新天地の候補となります。
Web系スタートアップは一つのプロダクトに今後の行く末がかかっていますからそれはもう必死です。特にここで働くエンジニアのレベルの高さは必見。子供のときからプログラミングに触れていて、寝ても冷めても技術のことを考えている、という猛者ばかりです。
ところがこうしたプレイヤーはデザインやUIのことはからっきしであることが多いため、経験を積んだWebディレクターに対する求人需要は大いにあります。
仕事の幅としてもWebサイトのデザインにとどまらずプロダクトデザイン、コーポレートデザイン(CI)、アプリデザインなどまで幅広く広がっていきます。
スタートアップ、中小企業ですとお給料が下がりそう、とのイメージをお持ちの方も多いかもしれませんが実は投資家やVCからの資金投入で人件費に大きな予算を割くスタートアップもありあなどれません。
心身共にハードな環境ではありますが、インハウスとして自分のプロダクトを作り上げるという気概のある方におすすめの進路です。Web系スタートアップに転職する場合のアピールポイントとしてはやはり「数字へのこだわり」が重要となります。
Web系スタートアップのインハウスデザイナー採用は「本当にいい人を1名採用したい」という案件であることが多いため希少で、非公開求人として扱われることが多く、リクナビNEXT等にはなかなか出回りません。
そのためWeb系の非公開求人を多く保持しているマイナビエージェントもしくはdodaを利用するようにしましょう。
特にマイナビエージェントはIT業界の転職に特化したマイナビIT AGENTを展開しておりWeb系スタートアップを目指す際はぜひ登録しておきたいですね。
Web系スタートアップのインハウス担当者志望の場合の自己PR・志望動機例
私は制作会社で2年間デザイナー、3年間ディレクターとして経験を積んでまいりました。実績としてはECサイトやメディアサイトのディレクションが中心です。
AサイトではCVRのアップが課題でして、商品への誘導やカートのUIを大幅に見直したことで月間の売上が◯万円改善しています。
BサイトではSEOと導線の改善を意識しましたのでリニューアル後のPVが20%アップしました。
制作会社でのディレクション業務には大変やりがいがあったのですが、開発段階でこれだけ数字にこだわっても1つのサービスに長く関われるわけではないのを残念に感じております。
御社は自社サービスのデジタルマーケティングに力をいれていると伺っておりますし、Twitterでの活動も以前から拝見しておりました。私はデザイナー出身ですので画像の制作、加工もできますから、もし入社させていただけましたらまずはSNS領域でのお仕事や広告のバナー制作やから入らせていただき、御社のプロダクトへの理解を深めた後、徐々にサイトの設計やマネジメントなどもお任せいただける人材にキャリアアップしていきたいと考えております。
まとめ:Webディレクター転職のポイント
現状維持はだめ!!自分の方向性を決めよう
Webディレクターのキャリアとして最も夢があるのはフリーランスとしての独立ではないでしょうか。昨今はフリーランスのWebディレクターでも大手企業からお仕事をいただくことは珍しくありません。
東後 哲郎さん、イナフクカズヤさんなどが有名ですね。
仕事の依頼先がある程度確立されているのであれば今すぐ個人事業主として独立することも不可能ではありませんが、とはいえそんな方ばかりではないはず。
多くのWebディレクターは、現職の仕事の一部を引き継いだり、紹介などで仕事をもらったりして独立しますから、クライアントやパートナーに顔と名前を覚えてもらうことが重要です。もし今の職場でそれがかなわないのであれば、それはご自身の良さや展望が活かしにくい環境なのかもしれません。
現状維持ではキャリアも年収も変わりませんし、現職の不満も解消されません。そしてもし環境を変えるのでれば、しっかりと自分に合った方向性を見定めることが重要です。
まずはWebディレクターのキャリアマトリクスを使って自分の将来像を見極めることからスタートしてみてください。