Webサイトの企画やデザイン、開発を行うWeb制作会社。
クリエイティブなイメージで、Web業界未経験の方にとっては憧れの会社です。
自分が作り上げたWebサイトが世に公開され、多くの人の目に留まることにやりがいを感じる人は多いですよね。
日進月歩で進化するWebの世界の最前線に携わり、知識をアップデートしやすい環境にあるのも魅力です。
何を隠そう筆者自身も同じWeb業界におりますので、その仕事の素晴らしさは日々感じているところです。
しかし!!
実際には。
- ホームページ制作会社の数が多すぎるために、営業はコンペの毎日。値切り交渉も日常茶飯事で価格競争が激しい
- やっとこさ受注までこぎつけたら、「ホームページ」というわかりやすい商材のためにデザインやシステムに対する要件外の理不尽な注文がひっきりなしに飛んでくる
- 頼みの綱の保守業務は急ぎの案件が多く、軽作業がほとんどなので薄利多売になる
- 結果、現場のデザイナーやコーダーは業務に忙殺されて疲弊する。残業も多い
- (ビジネスモデルが変わらない上に競合が多く急激に売上が上がることも無いので)給与も上がりにくい
と、いうのが現実です。
そもそも日本にはWeb制作会社が多すぎます!
全国100万以上の企業を掲載している企業データベース、Baseconnectによれば大小合わせて17,612社ものホームページ制作会社が存在するとのこと。(2020年現在)
この中で存続し続けるのは並大抵のことではありません。
そんなのわかってるけど、それでもWebサイト制作が好き!!Webクリエイターとして生きていきたい!!
そんな方のために、この記事ではWebサイト制作業界で生き抜く秘訣をご紹介するのですが、先にポイントをお伝えしてしまいますね。
順番に説明していきます。
(1)求人はたくさんある
サイト制作業界はとにかく忙しい。若い業界なので人材の流動性も高く、慢性的な人手不足です。
求人数はばっちり多いです。
2020年7月現在でもリクナビNEXT上に290件もの求人があります。
主な職種は
- 営業
- デザイナー、コーダー
- ディレクター
の3つです。
(2)ブランディングがうまくいっている会社を選べ!!
なんといってもWeb制作業界の根本的な課題は「競合が多すぎて企業側もどの会社を選べばいいかわからない状態なこと」です。
こんな中でも、コンペで真っ先に声がかかったり、なんならコンペにすらならずに指名で仕事を受けている「有名制作会社」(「大きな会社」という意味ではありません)も存在します。
例えばこんな会社さん、あなたもお聞きになったことがあるのではないでしょうか。
株式会社LIG
https://liginc.co.jp/
2007年設立、社員数230名。Twitterの公式アカウント(@LIG_J)のフォロワー数は1.9万人という驚異的な数字です。そもそも創業社長の岩田氏(現株式会社GIG社長)がインタビュー(※注)で「クライアントのほうからアプローチしてもらえる環境を作り出すことに取り組みました。」と語っています。
※注:THE KEYPERSONへの外部リンクになります。
株式会社ベイジ
https://baigie.me/
2010年設立、従業員数 15名。代表の枌谷力氏(@sogitani_baigie)はTwitterのフォロワー数5万人を超えるWeb業界のインフルエンサーです。
こうしたブランディングがうまくいっている制作会社は、こんなメリットが。
- コンペに巻き込まれない
- よって価格競争力が強い
- そのため社員の待遇もよい
- もちろんハードワークを求められるけど、その分スキルもキャリアもついてくる
良い意味で一般的な制作会社とはまったく違う働き方ができるはずです。
(3)転職活動で好印象なのは「企画力と提案力」
ブランディングがうまくいっている会社は当然求職者からも人気で、採用は狭き門。
どうやったら選考で目に止めてもらえるのでしょうか?
その鍵は「企画力」と「提案力」にあります。
進化の早いWeb制作の世界で、もし次の10年後も普遍的に通用するスキルがあるとすれば、「リーダーとしてプロジェクトを管理し、成功させる」「クライアントとの折衷の中で期待を超える納品物を提案する」といった「企画力」と「提案力」の部分です。
コンペにならない有名制作会社であるからこそ、営業やデザイナー一人ひとりがサービスの一貫。
だから、スキルや経験だけでなく企画力と提案力をアピールできるかどうかで合否に影響します。
といってもディレクター業務を経験してきた訳じゃないし・・・
もちろんです。
でも考えてみてください。
あなたの仕事の中で、「クライアントの成果を上げるために工夫した経験」はありませんか?
小さな工夫やエピソードでも構いません。それを志望動機に落とし込んでみてください。
例えばこんな感じです。
自己PR・志望動機例
私は制作会社で5年間デザイナーとして経験を積んでまいりました。ポートフォリオにもあります通り実績としてはECサイトやメディアサイトのデザインが中心です。
AサイトではCVRのアップが課題でして、商品への誘導やカートのUIを大幅に見直したことで月間の売上が◯万円改善しています。
BサイトではSEOと導線の改善を意識しましたのでリニューアル後のPVが20%アップしました。
クライアントとの打ち合わせに参加する内に、Webマーケティング領域の成果を数字で見る面白さを感じていますし、デザインだけでは解決できない問題がたくさんあると感じています。そこで今後はデザインスキルを活かしながらアクセス解析やWeb広告方面へ知識の幅を広げたいと考えております。
御社は自社のデジタルマーケティングに力をいれていますし、Twitterでの活動も以前から拝見しておりました。私は趣味で漫画やイラストも書いておりますのでポップなデザインもできますから、もし入社させていただけましたらまずはデザイン制作から入らせていただき、徐々にWebマーケティング全体を見られる人材にキャリアアップしていきたいと考えております。
デザイナー業務の枠組みをデザインだけに限定せず、顧客の成果を追求する姿勢を具体的なエピソードで表現している
いかがですか?単に「AサイトやBサイトのデザインを担当しました!」と伝えるのとでは全く違った印象になりますよね。
「良いWebデザイナー」「真面目なディレクター」から一歩踏み込んだ職務経歴書・面接対策を
Web制作会社の転職において、まず見られるのは当然のことながらポートフォリオや関わったプロジェクトです。
しかし、どの職種をめざすにしてもキャリアアップを目指すなら、単に「良いWebデザイナー」「真面目なディレクター」というだけでは不足です。
「デザイナーの枠組みを超えた活躍がしたいし、できるんです!!」という意思表示をしてください。
そのためには以下がポイントです。
(1)クライアントへの提案資料作成やプレゼンの経験をアピールする
(2)制作プロジェントをディレクションしたり、開発チームを管理したりしたエピソードを伝える
(3)ポートフォリオの成果をPVやコンバージョンなどの数字で表現する
(4)Twitterやブログでの活動や趣味での創作はどんどんアピールすべき
他の業種と比べても、業種内で共有される技術の移り変わりが激しいWeb業界。
でも視野を広げて立ち位置を考えれば、これまでに蓄えたデザインとマークアップの知識を使ってキャリアチェンジや年収アップを実現することも十分に可能です。
転職にあたっては、できるだけ大きな視座を持ち、自身の可能性を広げていきましょう。