SaaS・クラウドサービス企業に転職するには?


ライター:中村めぐみ

転職エージェントからSaaS業界をおすすめされましたが、これってどんな仕事なのでしょうか?

 

SaaSとは?

SaaS(読み:サースもしくはサーズ)とは、Software as a Serviceの略で、インターネット経由(クラウド)で利用できるアプリケーションサービスを言います。

SaaSの特徴は以下の通りです。

  • インターネットにつながる環境であれば、いつでも利用できる
  • インターネット上に、データを保存して共有し、更に編集もできる
  • 多くは月額課金型のビジネスモデルを採用している(後述)

SaaS型のサービスの代表例は「Adobe Creative Cloud」「Dropbox」「Microsoft Office 365」「Salesforce」です。

クラウドサービスにはSaaSのほか、PaaS (Platform as a Service)IaaS (Infrastructure as a Service)もあります。この違いを理解しておくことはSaaS企業に転職を目指すにあたって基本でもありますので抑えておきましょう。

SaaS・PaaS・IaaSの導入コスト

PaaS(Platform as a Service)

PaaS(読み:パース)とは、「Platform as a Service」の頭文字を取った略語です。SaaSとの違いはアプリケーションソフトが稼動するためのプラットフォーム(データベースやプログラムの実行環境など)までユーザーに提供している点です。
要はユーザーのカスタマイズ性を高めたSaaS、と言い換えてもいいかもしれません。課金形態としては従量課金型であることが多いです。

PaaSの代表例:Google App Engine、Microsoft Azure、Amazon Web Services(AWS)

IaaS(Infrastructure as a Service)

IaaS(イァース)とは、「Infrastructure as a Service」の頭文字を取った略語です。PaaSの自由度をさらに拡張し、ハードウェアのスペックやOSまで選択できるようにしたもの。その分ネットワークの知識やセキュリティ対策が必須となるため、ユーザーは社内に担当エンジニアを配置する必要がありますし、導入コストも高額です。

PaaSの代表例:Google Compute Engine 、Amazon Elastic Compute Cloud (EC2)

日本でのSaaS市場

外資系メガクラウドベンダーがシェアを獲得するIaaS、PaaSと比べると、SaaSは参入障壁が低いです。

そのため多くの企業が市場に参入し、SaaS業界は急成長しています。

ソフトウェアビジネス新市場 2019年版
(出典元:プレスリリース:『ソフトウェアビジネス新市場 2019年版』まとまる(2019/10/24発表 第19088号)

富士キメラ総研の調査によると、日本国内におけるSaaS市場は拡大し続けており、2019年の見込額は8,315億円。2023年度には9,376億円規模になるとみられています。

SaaSのビジネスモデルの特徴

SaaSのビジネスモデルの特徴は、サブスクリプションモデルであることです。従来の買い切り方(オンプレミス版)と異なり、必要な時に、必要な分だけライセンスを購入して、利用をはじめられるため、導入コストが低いのが企業にとってメリットです。

【SaaSのビジネスモデルの特徴】

  • サブスクリプション型
  • 必要に応じて契約数を決められて、不要になればサービスを終了できる
  • リモートワーク環境でも利用できる
  • 常に最新のソフトウェアを利用できる

SaaSを提供している企業には2種類あります。

(1)オンプレミス版からSaaSへ移行しているパターン

Adobe

Adobe

画像処理ソフト「Photoshop」「Illustrator」などを販売するAdobe社。サブスクリプション型へ移行したことで、売上高が年率20%を超える成長を続けています。

Microsoft

Microsoft

ビジネスパーソンにおなじみのWord、Excelなどオフィスアプリを提供するMicrosoft。従来オンプレミス版のみだったところ、2011年よりSaaS版の「Office365」として提供しています。※2020年に「Microsoft365」へ名称変更。
Office365はグループウェアとしてシェアを伸ばし、2019年はサイボウズに次ぐシェアを獲得しています。

(2)SaaSサービスのみを提供しているパターン

Salesforce

Salesforce

1999年アメリカにて創業、2000年に日本法人を設立したCRMプラットフォームを提供するSalesforce社。日立、三菱UFJ銀行などの大企業から、ベンチャー企業まで幅広く導入されています。Salesforce社は積極的に買収を行うなど、創業20年を超えても成長を続け、「SaaSの王者」と呼ばれています。

SmartHR

SmartHR

2013年日本で創業し、クラウド人事労務ソフト「SmartHR」を提供するSmartHR社。創業当時3名だったメンバーが約2年半で70名近い組織に。利用企業者数が1万4000名にもなるなど急成長を遂げています。

今なぜ転職市場で注目されているのか

SaaS企業は年々市場規模が拡大していることから転職市場でも注目され、多くの転職エージェントがSaaS業界をおすすめしています

結果として転職市場は2019年まではとてつもない売り手市場となりました。

特に後述の通り営業職は顕著で、他業種で営業を2-3年経験した方であればどんどん内定を得ることができました。

しかし近年、SaaS企業に人が集まりやすくなった結果、転職希望者が殺到し、採用ハードルが上がっています。

新型コロナウイルスの影響でSaaS企業側も採用に対して慎重になっており、以前のように「未経験や第二新卒でも元気さえあればインサイドセールスとして歓迎された」という状況とは違います。

SaaS企業に転職するには

採用要件が引き上げられているSaaS業界に飛び込むためには、以下の3点がポイントとなります。これらはどの職種にも共通した事項です。

(1)SaaS企業のビジネスモデルをよく理解している

単に「SaaSは伸びているから」「SaaSなら成長できそうだから」という志望動機では門前払いされるだけです。

SaaSを目指すなら、SaaSについて興味をもって、とことん理解してください

例えば「THE MODEL」という書籍はSaaS企業の経営者にとってバイブルといっていいほどメジャーな書籍です。

SaaSについて本当に興味があるのであれば、避けては通れない書籍です。
SaaS企業に応募するのに「この本の存在をしらなかった・・・」となるとこれは問題です。

SaaSに興味を持つこと。これが第一条件となります。

(2)応募先企業の事をよく理解している

応募先企業の事をよく知っていることは内定率を大幅にアップさせます。

ところが「SaaS企業だから応募する」人は多い一方で、「御社のサービスは◯◯だから応募した」と語れる方は驚くほど少ないものです。

できれば実際に応募先企業のプロダクトに触れてみてください。(ほとんどのSaaS企業は無料プランを用意しています)欲を言えば競合のサービスも同様に使ってみると良いでしょう。

競合サービスとの機能や方向性の違いを理解した上で面接に臨めば、会話の厚みが全く違ったものになるはずです。

(3)応募先企業のお客様の事をよく理解している

一口にSaaSといってもいろんなサービスがあり、いろんなお客様がいます。
お客様やその業界のことを知っている・体験している、ということは大きな強みになります。

そもそもSaaSには「ホリゾンタルSaaS」と「バーティカルSaaS」の2種類があるのをご存知でしたか?

「ホリゾンタルSaaS」・・・どんな業界でも活用し得るもの。
チャットツールのChatwork、名刺管理ツールのSasan、マーケティングツールのMarketoなど。

「バーティカルSaaS」・・・特定の業界に特化しているもの。
建設業界向けのANDPAD、医療向けのKAKEHASHI、学習塾向けのatama+など。

「ホリゾンタルSaaS」への転職では顧客部署の仕事に精通している事が強みになります。例えば採用人事向けのクラウドサービス企業への転職では、採用業務を経験している方は有利です。

一方で、病院やクリニック向けの医療向けのバーティカルSaaSへの入社を目指すのであれば、病院のIT部門やお医者様を相手にセールスした経験がある方などは評価は高くなります。

このように「自分が熟知している業界をお客様にしている会社」を応募先にするようにすると、内定がグッと近づきます。

SaaS企業で募集が多い職種

(1)インサイドセールス

インサイドセールス

インサイドセールスとは、内勤型営業(外に出ない営業職)のことです。主に電話やWebツールで顧客と接触し、受注の可能性が高いと判断される顧客をフィールドセールスにパスするまでの役割が求められています。

未経験の方にとってインサイドセールスは狙い目で、特に法人営業経験者は歓迎されています。
営業経験1年程度でも選考フローに乗れる可能性があります。IT業界経験があると尚可。年収の中央値は400万円程度です。

インサイドセールスとして経験と製品知識を積んでいくことで、カスタマーサクセス職やマーケティング職、フィールドセールス職などのキャリアアップが見込めることも、キャリアにとってプラスにはたらきます。

インサイドセールス職にご興味のある方は、リクルートエージェントなどの転職サービスに登録して、インサイドセールスを希望することをキャリアエージェントに伝えてください。

インサイドセールスの志望動機例

私は新卒採用向けのポータルサイトの広告営業として3年間勤務して参りました。

正直なところ営業成績はなかなかふるいませんでしたが、個人で人事向けノウハウブログを開設したりHR系の勉強会に参加したりしている内に知り合った方々からお仕事をご紹介いただくよう自分でネットワークを広げる努力をして参りました。

しかし「ポータルサイトでいくら集客してもリソース不足で面接で会うことがかなわない」という顧客の声を多数耳にしており、自社サービスだけではこの問題の本質的な解決は難しいと感じました。

御社のWeb面接サービスは兼ねてから耳にしており興味をもっておりましたが、今回求人を拝見し、これまで培ってきた経験やHR界隈での人脈が活かせるものと思い応募致しました。

POINT

「売れないなりにどんな努力をしたのか」が見えるように。また、新卒採用向けのポータルサイト→Web面接採用の間をつなぐ存在である「HR」という文脈を盛り込んで志望動機としての論理性を強化している。

インサイドセールスについてもっと知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

(2)カスタマーサクセス

プロセス

カスタマーサクセスとは契約中の顧客のフォローをする仕事です。顧客を成功に導き、顧客を解約させないことやアップセルを実現することが目的です。

カスタマーサクセスの折衝相手はIT部門や医療機関の担当者など専門職であることが多く、高い業務理解が求められるため、年収は高めです。(年収500万円(月給32万円+賞与)前後が中央値となっています)

カスタマーサクセスとして経験を積むことで、フィールドセールスやマーケティング部門へキャリアアップすることも可能です。

業界未経験の方は、2~5年以上の営業経験や、専門的なツールのカスタマーサポート経験、システムの運用サポート経験があると選考にプラスにはたらきます。

カスタマーサクセスの志望動機例

新卒入社から1年半、◯◯銀行で法人向けインターネットバンキングのカスタマーサポートを担当しておりました。
銀行のネットバンキングは導入プロセスが複雑なので、セットアップキットを送付しても対応できない中小企業経営者が多いです。それを電話でサポートするのが仕事でした。
丁寧にわかりやすく説明することが重要な業務で、それは自分に向いていると感じていたのですが、この仕事はセットアップが完了すれば達成でそれ以降お客様とのやり取りはありません。もっと継続的にお客様と関わって、お客様とサービス双方の売上に貢献できる仕事を探しています。

今回は中小企業向けの会計ソフトの導入からサポートするカスタマーサクセス職の募集ということで、これまで導入支援をしてきた経験を活かしながら自分の想いを実現できる環境と考え応募いたしました。

POINT

「もっと継続的にお客様と関わって」という部分がカスタマーサクセスの特徴を暗に表現しており好印象。

カスタマーサクセスについてもっと知りたい方はこちら

(3)Webエンジニア

SaaS企業では常時Webエンジニアを募集しています。

若い企業が多いため開発環境が柔軟であることが魅力で、新しい技術の導入にも積極的です。エンジニアとしてはたらきやすい環境でスキルアップすることが可能です。

Rails、React、AWS・GCPなどを使った開発経験をお持ちの方にとっては魅力的なフィールドです。

Webエンジニアの志望動機例

前職では受託開発企業でWebアプリの開発に携わり、プログラマとして約3年間、キャリアを積んできました。主にスタートアップ系企業が顧客の中心で、Ruby on Railsでの開発経験が中心です。

受託開発の仕事にはやりがいがあったのですが、Reactを勉強するつもりで社外活動として業務アプリを開発したのをきっかけにプロダクトを育てる喜びに目覚めてしまいました。間接的ではありますが、納品先であるスタートアップ企業の熱量にほだされていた部分もあるかもしれません。

特に前職の後半ではチームリーダーとしてエンジニアの採用面接にも関わって参りましたため、採用プロセスをオンライン化する仕組みには非常に興味があります。

Web面接に特化した採用支援サービスは競合も増えていますが、その中でも御社は面接プラットフォームにとどまらない多角的な展開を視野に入れている点に、他社にはない魅力を感じております。開発環境はRails中心であるとお伺いしておりますので、スキル的にもお役に立てるのではないかと考えております。

POINT

単に「SaaSに入りたい」「受託から自社開発に移りたい」というのではなく、「なぜ、どんなサービスの開発に加わりたいのか」「競合もある中でどうしてその会社なのか」を伝えることが大切。

SaaS・クラウドサービス企業に転職するには

SaaS・クラウドサービス企業に転職する際には転職サイト、転職エージェントの利用をおすすめします。

求人を探すなら、まずはWantedlyが求人を最も見つけやすいでしょう。

しかしWantedlyは転職エージェントのサポートを受けられませんので自身で適正にあった求人を探す必要があります。そこでマイナビエージェントを併用するのがおすすめです。伸びてるスタートアップが集中する首都圏の求人に強く、エンジニアの転職を数多く手掛けている大手転職エージェントです。

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