ベンチャーキャピタル業界の転職事情!~ベンチャーキャピタリストになるために~

事業会社で自社サービスのグロースハックをやってきて一定の成果を出した!この経験を生かして日本の未来を担うスタートアップ起業を支援したい!あとお金も欲しいから年収の高い業界に転職したい…そうだ!ベンチャーキャピタルだ!

大手WEB系企業で子会社の決算や財務まわりの業務に携わってきたワタシ。そろそろキャリアップ目指して違う業界に転職したいカモ。公認会計士の勉強もしているし税務の実務経験もIPOに関連した業務経験もある…そうだ!ベンチャーキャピタルだわ!

近年では大小多数のベンチャーキャピタル(VC)が林立しています。将来有望なスタートアップビジネスをいち早くキャッチアップして経営者とコンタクトをとり、次から次へと投資判断をしていくベンチャーキャピタリストは日本経済にも大きな影響を与え、ひいては日本の未来を左右する可能性のある仕事のため、興味をもっている方も多いかもしれません。

また新興VCにはイケてるイメージ(チームの写真がさながらバンドやアーティスト集団 にみえたりして)もあり、いつかはVC業界に、と憧れている方もいるかもしれませんね。

写真から漂うイケてる感

…というわけで、転職を機にVC業界に飛び込んでみようと考えている人もいるかもしれませんが、ちょっと待ってください。ひとことでベンチャーキャピタルといっても銀行系か独立系か、その規模や得意領域、求められる知識やスキルも様々です。今回はベンチャーキャピタル業界の現状と動向、VC業界特有の転職事情をお伝えします。

 

ベンチャーキャピタルって何をしているの?目的は?

ベンチャーキャピタルの目的はシンプルです。成長の見込める未上場のベンチャー・スタートアップ企業に出資しながら成長を支援し、投資企業が上場やM&Aなどを果たした際に利益(キャピタルゲイン)を得ることです。

ベンチャーキャピタル業務の流れ

・ファンドレイズ(ファンドを組成し資金を募る)

投資を行うためには元手となる資金が必要です。このためベンチャーキャピタルはファンド(投資事業有限責任組合)を組成し、個人・機関投資家や事業会社から出資を受ける形で投資資金を調達します。
※このファンドレイズはVCのなかでもトップの経営者クラスや大手VCでは専門部署が行うため、いわゆる現場のベンチャーキャピタリストが携わることはほとんどありません。

・ソーシング(投資先企業を探す)

投資先となるベンチャー企業を探すことをソーシング(Sourcing)といいます。ベンチャーキャピタルのなかでも最も重要な業務のひとつであるソーシングは、日々の情報収集(ベンチャー関連のニュースサイトやSNS、人脈を駆使した情報交換やテック系イベントなど)がとにかく重要で、アンテナを張り巡らせて投資先の候補を探します。投資先候補の企業に対して経営者と直接コンタクトをとって面談し、事業計画や戦略・ビジョンなどのヒアリング・ディスカッションを繰り返しながら投資するかどうかの判断をします。

・投資実行

投資先の企業が決まったら、デューデリジェンス(投資先の価値やリスクなどの評価)を経て、投資を実行します。

・経営支援

投資した企業が成長するように、資金面だけにとどまらない支援を行います。経営ノウハウの提供はもちろん、例えば投資先の新規取引先を紹介したり、上場に向けた社内体制構築をサポートしたり、場合によっては追加投資を検討・実行したりなど支援内容は多岐にわたります。

・EXIT(IPOやM&Aによる株式売却)

最終的にキャピタルゲインを得るためには投資金額を上回る形で投資先企業の株式を売却する必要があります。これができる主なタイミングがIPO(新規上場)とM&A(企業買収)になります。IPOの場合は株式市場で新たな株主にVCが保有する株を売却することで、M&Aの場合には買収先企業に株を譲渡・売却することでEXITします。

ベンチャーキャピタルの種類

「ベンチャーキャピタル」とひと括りにいっても、資本や出資の方針などによっていくつかの種類にわけられます。主なVCの種類と特徴は以下のとおりです。

独立系VC

親会社がいない、資本的に独立したベンチャーキャピタルです。投資先との事業シナジーがないため、純粋な投資を行うことをメインにしています。
アクセラレーターやインキュベーターと呼ばれる、創業から間もないスタートアップ企業に比較的少額の投資を行うことを得意とする会社や、スタートアップからある程度成長した企業に億単位以上のまとまった投資を行う会社など規模は様々です。
代表企業に、グロービスキャピタルパートナーズ、JAFCO(ジャフコ)、ANRIなどがあります。

金融機関系VC

銀行や証券会社・保険会社を親会社に持つベンチャーキャピタルです。企業のスタートアップ期よりも上場がある程度見えてきたタイミングでの投資が多く、投資する事業の領域が幅広く、銀行など親会社の金融機関に支えられ、潤沢な資金力をもっていることも特徴です。
銀行系では三菱UFJキャピタルやみずほキャピタル、証券系では大和企業投資や野村キャピタル・パートナーズ、保険系ではニッセイ・キャピタルや三生キャピタルなどがあります。

政府・大学系VC

大学や研究所から生み出された様々な技術や研究を事業化する段階での投資を行います。政府系のなかでもVCによって特色が異なり、公的な側面が強く「企業を育成する」ことに重きをおいていたり、投資先の経営に口を出さない傾向にあったり、投資の基準が明確で投資を受けやすいといった特徴があります。
政府系ではINCJ(産業革新機構)や中小企業投資育成株式会社、DBJキャピタルなど、大学系では東京大学エッジキャピタル UTECや大阪大学ベンチャーキャピタル慶應イノベーションイニシアティブが知られています。

地域特化系VC

主に特定地域の産業を活性化することを目的としたVCで、ファンドには地方銀行が参加しているケースも多くみられます。また農林や漁業など特定領域に関わる事業に特化したファンドがあったり、必ずしもIPOを前提としない支援を行ったりと地域密着型ならではの特色があります。
北海道ベンチャーキャピタルや新潟ベンチャーキャピタル、Hack Ventures(大阪)などがあります。

事業会社系VC(CVC)

コーポレートベンチャーキャピタル(CVC)と呼ばれる事業会社系のベンチャーキャピタルは、事業会社が自社の経営戦略的や、事業との相乗効果、自社事業を活性化させることを目的に設立されたVCで、近年増加の傾向にあります。
伊藤忠テクノロジーベンチャーズやサイバーエージェントベンチャーズ、NTTドコモ・ベンチャーズなどがあります。

ベンチャーキャピタル業界の現状とは!?

起業後進国とも言われる日本では、起業無関心者の割合が7割 (アメリカの3倍以上!)を超えるほどそもそも起業に興味関心がない人が多く、また政府の起業家支援制度の周知不足や社会的にも起業家を応援する潮流のなさもあいまって内的・外的要因ともに欧米諸国に比べるとスタートアップ界隈の盛り上がりに欠け、起業を志す人の数も少ない状況です。
そのなかにあっても着実にスタートアップ起業は増加しており、それに伴ってスタートアップへの投資件数や投資金額は2013年以降国内市場で右肩上がりに増加しています。


(引用元:一般社団法人日本ベンチャーキャピタル協会 ベンチャーキャピタル最新動向レポート(2018年)

またリーマンショックの起きた2008年に国内IPO数が劇的に減少し2009年に底を打ったあと、近年はIPO数が増加傾向にあり、記憶に新しいところでは2018年にフリマアプリのメルカリや携帯キャリアのソフトバンク、クラウド会計ソフトのfreeeが上場するなどいわゆる「大型上場」も増えています。


(引用元:最近のIPOの動向と東証の 上場支援活動について 国内IPO社数の推移

活況なベンチャーキャピタル業界

増加するIPO動向を背景に、投資経験を積んだベンチャーキャピタリストの独立をはじめ新たにVCが設立される動きも加速しています。W venturesやXTech Venturesなど新興VCの増加もあり、VC市場における設立ファンド数・ファンド金額は増加~堅調な推移をみせています。


(引用元:一般社団法人日本ベンチャーキャピタル協会 ベンチャーキャピタル最新動向レポート(2018年)

ベンチャーキャピタル業界の転職事情

VCへの転職にあたって知っておきたい基礎的な情報をまとめました。

ベンチャーキャピタル業界の平均年収

ベンチャーキャピタルは、会社によって年収水準は大きく異なります。
例えば大手独立系VCのジャフコでは、平均年齢43歳で平均年収は1,246万円 と、上場企業の年収ランキングでも30位に位置するほどの高水準です。一方同じく上場企業であるフューチャーベンチャーキャピタルでは平均年齢41歳で639万円 と、この2社だけをみてもおおよそ2倍の差異があります。
それでも国税庁の調査で日本人の平均年収は 441万円 とされていますので、高年収の業界ということは間違いありません。

ベンチャーキャピタルで求められるスキルや経験とは?

創業間もないスタートアップ企業からIPO直前の企業まで、様々なフェーズのベンチャー企業と関わるベンチャーキャピタリストには、幅広いスキル・素養が求められます。

・情報収集能力

ベンチャーキャピタルでは、投資先候補100社と面談しても、実際に投資に結びつくのは1~2社と言われています。そのため、ベンチャーキャピタルでは常に新たな投資先を見つける必要があります。投資先候補を見つける方法は主に「紹介」「企業側から打診を受ける」「自社から声をかける」の3つです。とはいっても紹介してもらったり企業側から打診を受けたりするには、ベンチャーキャピタリストとして実績を積み、顔が広く信用のおける人でないと難しく、駆け出しのベンチャーキャピタリストは自ら人脈を開拓する必要があります。

BRIDGEやTechCrunch、アスキーStartupなどのスタートアップ系メディアはもとよりSNSを有効活用して起業家を探しながら自らも情報発信してコミュニケーションをとることも必要です。
とあるベンチャーキャピタリストはRSSリーダーを活用して大量の情報に触れ、SNSを頻繁にチェック・更新していますが、「呼吸するように」意識せずにやっているそうです。

・関係構築力・ネットワーク力

いち早く投資先を見つけるという意味でも起業家との太く長いネットワークを構築する力は必須となります。またVC業界での横のつながりや、投資先の課題を解決できるソリューションを持つ企業・人物と日頃から関係を持っておくなど、自身の仲間をいかに多く持っているか、広くネットワークをもっているかが問われます。

・財務分析・ファイナンス力

財務諸表を見る・分析する力から資本制作などのファイナンスに関する知識、財務戦略を構築する能力は投資判断にあたって欠かせない能力です。

・経営・マネジメント能力

創業間もないスタートアップを支援する場合には特に、投資先企業への経営面のアドバイスや事業の拡大に伴う組織開発面での助言を求められるケースが多くなります。

上記のほかにも営業力や論理的思考能力・ベンチャーに対する熱意など、専門家が集まる少数精鋭のベンチャーキャピタルで求められる能力は高くなります。

ベンチャーキャピタルに転職するために必要な資格

VC業界で働くにあたって必須といえる資格は実はありません。特定の資格を保持していなくても高い能力を持っていることをアピールできれば十分転職のチャンスはあるといえます。
ただし持っていて有利になる資格は存在します。

  • 海外への投資案件を扱うVCであればTOEICなど語学に関する資格
  • 証券アナリストや公認会計士など財務分析を専門的に行うことができる資格
  • 経営に関する知識や能力を持つプロフェッショナルとしてのMBA(経営学修士)

これらの資格を持っているとVCへの転職活動がスムーズに運ぶ可能性があります。

ベンチャーキャピタル業界に転職するには?

dodaやリクナビNEXTなどいわゆる転職サイトにVCの求人が掲載されることもありますが、公開されている求人数は他業界と比較して圧倒的に少ないです。またビズリーチやJACリクルートメントといったハイクラス向けの転職エージェントに頼る手もありますが、条件にあう求人案件が必ずしも見つかるとは限りません。

VCに転職するなら直接アプローチ!

特に新興独立系VCや著名なベンチャーキャピタリストは自らTwitterなどのSNSで情報発信をしていることが多く、情報収集能力の一端を垣間見せることにもつながりますので、直接応募したほうが転職につながる可能性があるかもしれません。業界へのリサーチ力や専門性も重視されますので、業界の著名人の動向はつぶさに把握しておくべきです。

 

求められる経験やスキルが高く、転職へのハードルも高いベンチャーキャピタリスト業界ですが、金融機関のなかでもVCは将来性のある企業への投資から投資先企業の成長、最終的にはIPOと多くの企業に寄り添いながら企業がステップアップしていくさまを間近で感じられるのは他の仕事では得難い経験で、そこにベンチャーキャピタリストの面白さがあります。

興味を持っている方は直接話を聞いてみるところからはじめてみてはいかがでしょうか。

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