製造業からの転職


ライター:奥野 佑樹
【PR】記事内に商品・サービスのプロモーションを含みます。

製造業の概況

製造業は離職率が低い

厚生労働省の「令和2年上半期雇用動向調査結果」によると、令和2年上半期の常用労働者の平均離職率は8.6%でした。

製造業の離職率は5.1%で、離職率の低さは金融・保険業、建設業に次いで3位となっており、他の業界と比べても離職率が低い業界として位置づけられています。

製造業の離職率が低い理由は、製造業には自動車や電化製品などのメーカーは大企業が多く、大企業は従業員の待遇が良く、離職を考える人が少ない傾向にあるためと考えられています。

また、大企業でなくとも多くの工場労働者はシフトが固定されており、残業が少ないことも離職率の低さに寄与していると言われています。

離職率は低いものの、製造業は多くの人材が必要となるため、多くの中小企業で人材確保のためにさらなる待遇改善が進められている業界です。

製造業の年収は高めだが上がりにくい

製造業の平均年収は平成30年で519.5万円となっており、全国平均より約80万円ほど高くなっています。

年収は年齢やスキル、職種、役職などによって大きく異なりますが、業種や地域、学歴などによる年収の差も一般的に見られます。

厚生労働省の「令和元年賃金構造基本統計調査の概況」によると、生産労働者の平均月収は年齢とともに上昇しにくく、事務職、技能職は上昇しやすい傾向があるようです。

年齢 生産労働者(男性)
年齢別平均月収
管理・事務・技術労働者(男性)
年齢別平均月収
20~24歳 20.0万円 21.5万円
25~29歳 22.9万円 25.7万円
30~34歳 25.4万円 30.3万円
35~39歳 27.7万円 35.7万円
40~44歳 29.8万円 40.1万円
45~49歳 31.6万円 43.9万円

それでも転職するなら「同一業界内での転職」がおすすめ

待遇改善も進められており、年収も他の業種よりも高めな製造業ですが、それでも今の職から転職を考えているなら、同一業界内での転職をおすすめします。

あらゆる業界の転職において、最も有利となる転職方法は「同業種内での転職」です。

転職する理由が製造業特有のものでないのであれば、製造業の幅の広さは転職に活かしやすい魅力です。

製造業ならではの専門スキルをできるだけ活かすことで、大きくキャリアアップできる可能性があります。

製造業から確実に転職するなら同職種がおすすめ

製造業出身者の多くは、競合他社や異業種の同職種へ転職することで転職しやすく、キャリアアップしやすい傾向にあります。

これは、競合他社や異業種のメーカーに転職することで、これまで培ってきた経験が大きな強みとなり、即戦力として輝ける可能性が高いからです。

ただし、同じような業界にいると、転職を決意した理由によっては、悩みや不満の改善が難しい場合もあるので、転職先の環境には注意が必要です。

同じような失敗を繰り返さないためにも、事前に働き方や職場環境について応募前に調べておくことが重要です。

同職種転職の例

ライン業務から生産管理

製造業における生産管理とは、生産計画に基づいて製品を生産するために、製造工程を総合的に管理することを指します。

生産計画の立案、購買計画の作成、原材料の調達、工程計画の作成、工程管理、さらには品質管理まで、生産管理の仕事は多岐にわたります。

生産管理の仕事はライン作業などの経験が活かしやすいことから、生産管理職はキャリアアップの場として適しています。

ライン業務から生産管理への自己PR例

私は約5年間、自社製品であるエンジン部品やブレーキ部品の生産ラインに携わっています。

ライン業務だけでなく、ブレーキ部品の生産ラインを新たに立ち上げるプロジェクトにメンバーとして参加し、生産ラインの設計、製造設備の手配、生産管理などを経験いたしました。

しかし、新規製造ラインでは各工程の進捗は担当者のみで確認し、チェックも人任せだったため、課題の共有に時間がかかっていました。
そこで、生産管理システムの導入にも携わり、結果として製造生産性を30%向上させることに成功しました。

貴社では、2つの生産ラインでOEM生産を行っていると伺っています。これまでの経験を活かし、生産工程の緻密化・管理を行うことで、貴社の生産管理に貢献できると考え、志望いたしました。

設備保全担当からフィールドエンジニア

工場で設備や機械の修理・設置を行う部署を担当している方は、そのスキルを活かしてフィールドエンジニアへの転職をおすすめします。

フィールドエンジニアの主な仕事は、客先での機器の設置やメンテナンスです。

設備保全の担当を行っていれば、仕事の場が自社内ではなく客先となるだけなので、今までのキャリアを存分に活かすことができます。

設備保全からフィールドエンジニアへの転身の注意点は、工場内で業務が完結していた設備保全担当者よりも、柔軟なフットワークが求められることです。

顧客との面談やスケジュール調整も、企業と直接行うことになるため、コミュニケーション能力に自信のあれば、おすすめの職種です。

設備保全担当からフィールドエンジニアへの自己PR例

現職では、家電製品やデジタル製品に使用される部品の生産ラインで、約3年間、設備保全を担当しています。

この3年間で10種類以上の設備保全を担当し、さまざまな製品の仕様や機能を短期間で習得するスキルや、機械部品の構造、電気部品の特性などの知識を身につけてきました。

また、設備導入の際、担当者とのやりとりを通じて、相手の意図を汲み取り、状況を正確に伝える能力が身についたと感じています。

貴社が扱う医療機器は多くの人の命と健康を守るものであり、高度な知識と技術が必要だと考えています。
これまで身につけた機械に関する知識、メンテナンススキル、お客様との折衝力、交渉力などを活かし、貴社の業務でも力を発揮していきたいと考えています。

出荷業務から物流関連企業

工場で出荷業務を担当している場合は、扱う商材を変えるというのもおすすめの転職方法です。

特に近年はECサイトの普及に伴い、物流センターの求人も増加しています。

  • フォークリフトの免許
  • データ入力作業の効率化
  • 在庫管理の経験

などの経験やスキルがあれば、物流関連企業で大きくキャリアアップを狙うことができます。

特に製造業で培った改善活動のノウハウは、物流業でも役に立つため、自己PRの材料になります。

現場作業から建設業

製造業の現場でホイストクレーンや玉掛け作業を日常的に行っているような方には、建設業への転職をおすすめします。

現場作業の経験やスキル、資格は建設業でもそのまま活かせることが多く、建設業は製造業よりも手厚い福利厚生に加え、基本給が大幅にアップすることから、キャリアアップを見据えた場合のおすすめの転職先と言えます。

「一生現場で働きたい」「体力勝負の仕事が好き」「収入を増やしたい」という方には、ピッタリの業界です。

現場作業から建設業への自己PR例

前職では、工場内のライン業務担当として、住宅パネルの製造に携わっておりました。

社内では、効率化のため分業が徹底され、月間○棟ものパネル製造を行いました。
分業が徹底されたことで効率化が図れたものの、自身の希望であるお客様に寄り添った設計を行うことが困難になってしまったことから、転職活動に至りました。

貴社では、営業・設計・施工管理がチームを組み、各案件を一貫して手がけられているとお聞きしました。
貴社であれば、今までの経験を活かしつつ、顧客に寄り添った家づくりを行えると思い、ご応募いたしました。

製造業から他業種への転職は「ホワイト」か「ブルー」かで変わる

ホワイトカラーは「同じ顧客層」を軸に他業界への転職を目指す

ホワイトカラーの転職の近道は、「顧客層が同じ」企業を狙うことです。

例えば、営業職の場合、顧客が個人なのか企業なのかで転職先を検討します。

顧客が個人であれば、店頭販売や訪問販売を行い、保険や金融商品などを扱う企業になり、顧客が法人であれば、パソコンや事務用品、産業機械などの有形商材や、人材派遣業などの無形商材を扱う企業になります。

営業以外でも、「社内向けor社外向け」といった違いがありますので、同じ顧客層をベースに、他の職種を目指してみることをおすすめします。

ブルーカラーは改善活動の経験を活かす

ブルーカラーとは、肉体労働を行う会社員のことで、「ブルーカラー=作業着」が語源となっています。

ブルーカラーの職種例として、製造現場、建設現場、工場の整備士、警備員、トラック運転手などがあります。

ブルーカラーはホワイトカラーに比べると年収が低く、危険な作業も多いため、ブルーカラーの仕事から脱却したいと考える人は少なくありません。

そこで、ブルーカラーの経験を活かして他の職業(ホワイトカラー)に転職したい場合は、ブルーカラーならではの改善活動の実績をアピールすることをおすすめします。

特に、改善活動の中でマネジメントの経験があれば、ホワイトカラーへの転職がぐっと近づきます。

ここでいうマネジメント経験は、プロジェクトマネジメント経験のことで、プロジェクトリーダーとしてプロジェクトの目標に向かって部下やメンバーをマネジメントした経験のことを指します。

プロジェクトマネジメントの経験をアピールする際には、履歴書にプロジェクトの全体像や目的を明記するとともに、自分自身でどのようなタスクを設定し、それをどのように行動目標や役割分担に落とし込んだかをわかりやすく記載することが重要です。

社内で初めて取り組んだプロジェクトや、QCサークル等のメディアで取り上げられた例など、客観的に難易度が高いマネジメントができているとわかる経験があれば、履歴書や面接でアピールするとよいでしょう。

5秒で完了!転職サイト診断

転職診断ツールへのアクセス方法

このページを共有する