自動車業界の転職


ライター:中村めぐみ

国の統計によると、日本の自動車業界の製品出荷額は約62兆円。自動車関連産業の労働者人口は542万人とも言われています。自動車業界は、国内No.1の雇用を創出している産業です。

2018年の主要製造業の製造品出荷額等
(参照:2018年の主要製造業の製造品出荷額等 / JAMA

自動車業界といえば、ブランド力の高い完成車メーカーのイメージがあり、転職のハードルが高いと考えている方も多いでしょう。

しかし、自動車を作るために必要な部品は数万点にものぼり(※)、そのサプライチェーンを支える企業も含めると、国内で約7,600もの製造所があります。

さらに、カーディーラーなども含めると自動車業界全体としては、中途採用のチャンスはむしろ多いほうです。

これまでお仕事を頑張ってきた方であれば自動車業界へのキャリアチェンジのチャンスはあります。

今回は自動車業界の転職について、お伝えします。

 

完成車メーカー

日本国内の完成車メーカーのTOP4といえば、「トヨタ自動車」「本田技研工業」「日産自動車」「マツダ」の4社です。

求人サイトdodaを確認したところ、大手4社からまとまった数の求人票が出ていました。
文系/理系/クリエイティブ/現場職の職種別にざっくり分けると以下の通りです。

トヨタ 本田技研工業 日産 マツダ
文系職種 5 21 13 2
理系職種 67 4 13 40
クリエイティブ 0 0 0 4
現場職 0 3 1 2

(参考:doda
※2020年9月調べ

文系職種:営業・調達・経理・知財など
理系職種:モノづくりエンジニア・ITエンジニア・研究・生産技術・生産準備など
クリエイティブ:販促品やプロモーション動画などの企画立案
現場職:工場の現業職種など


求人数では、日本No.1のトヨタ自動車が一位でした。
一方で、マツダの技術職求人数はトヨタ自動車にも匹敵し、文系職種で言えば本田技研工業、日産自動車はトヨタを上回る数の求人がありました。

また、各社以下のような特徴がありました。

トヨタ自動車:求人への要件定義が細かく、高い専門性が求められている。
       勤務地は、愛知県豊田市の本社が大半
       コネクティッドカー(通信システムを搭載)の技術職求人は、大手町勤務あり
本田技研工業:埼玉、東京の求人が多め
日産自動車:神奈川県愛甲郡の求人が殆ど
マツダ:広島本社勤務の求人が100%
    大手4社のなかでは唯一クリエイティブ職の求人があった。

また、文系・理系職種では、一定の英語力が求められていました。(TOEIC500~730点以上とする求人が大半でした)

「完成車メーカーで働けるなら日本全国どこでも行く」という方は、ご自身のキャリアと近い求人へ柔軟に応募して良いでしょうし、東京近辺で働きたい方であればトヨタ、本田技研工業を視野に入れることをおすすめします。

部品・素材メーカー

自動車製造に使われる部品・素材は多岐にわたります。

素材 使われる箇所、部品(例)
普通鋼 車体
特殊鋼 エンジン構成部品、ターボ、マフラー、ホイールハブ、ボルト
ラジエーター
アルミニウム ナンバープレート、配管、ホイール、コンロッド、ブレーキペダル
樹脂素材 デッキボード、燃料タンク、ホイールキャップ
ガラス フロントガラス、サイドウインドウ
ゴム タイヤ、防振ゴム、オイルシール、メカニカルシール、Vベルト

国内には約7,600もの自動車部品製造所があり、自動車メーカーのグループ会社と独立系に大別できます。

  1. 自動車メーカーのグループ会社
  2. 独立系企業

メーカー系にはグループ企業として安定している良さがあり、独立系には特定のメーカーに依存せず市場を開拓できる良さがあります。
代表的な部品メーカーは以下の通りです。

トヨタ系 デンソー、アイシン精機、豊田自動織機
本田技研工業系 ケーヒン、ユタカ技研、テイ・エス・テック
日産系 カルソニックカンセイ、ジャトコ、鬼怒川ゴム工業
マツダ系 倉敷化工、トーヨーエイテック、日本クライメイトシステムズ
独立系 日本精工、NTN、NOK、矢崎総業、曙ブレーキ

自動車業界では、完成車メーカーに直接納入する取引先をTier1、Tier1に納入するメーカーをTier2、Tier2に納入するメーカーをTier3と呼び、業界全体のサプライチェーンを形成してきました。(上記の企業は全てTier1です)

サプライチェーンを形成する企業においては、Tier1であることは大きなステータスとなります。
完成車メーカーと取引をはじめるためには、高い水準が求められる品質監査に合格しなければいけないためです。

近年、Tier1の企業では、顧客起点で製品を開発し、自社有形・無形資産を組み合わせて納入する「Tier0.5戦略」も提唱されており、海外メーカーではボッシュ、コンチネンタル社がTier0.5へのチャレンジを推進しています。
また、Tier2に属する企業群が、「Tier1.5」を理念に掲げ高品質製品をアピールすることもあります。
たとえば、群馬県にある勤続プレスメーカー池田製作所は「Tire2でありながら、一次メーカーと変わらない品質意識を持ち提案する」ことを強みとし、他社との差別化をはかっています。
(参照:提案型企業 Tier1.5 | 池田の強み | 池田製作所

また、国内大手科学総合繊維メーカーの帝人は、これまでの「素材メーカー(Tier2)」という立ち位置から、部品供給メーカーのTier1となるべく、部品開発に力を入れています。

自動車部品、素材メーカーの選考へ応募する際は、少なくともその企業がどのレイヤーに属するか、またはポジションをどのように転換しようとしているかをよく参考にすると良いでしょう。

コラム

特定の系列に所属せず経営基盤を築く独立系メーカー。
しかし、担当業界によって目に見えないステータスがある場合も。
とあるオイルシールメーカーで自動車業界を担当する友人は、建設業界を担当する先輩から冗談交じりに、「お前は一軍(自動車担当)だからいいよなぁ…」と言う冗談を言われていたそうです…切ない。

タイヤメーカー

輸送用機器の製造に欠かせないタイヤメーカー。自動車のみならず、航空機、二輪車、トラック、バスなどの種類に応じたタイヤを製造、販売します。

タイヤメーカー 世界ランキング

  1. ブリヂストン
  2. ミシュラン
  3. グッドイヤー

国内タイヤメーカー ランキング

  1. 住友ゴム
  2. 横浜ゴム
  3. トーヨータイヤ

タイヤメーカーは大手に需要が集中しており、部品メーカーほど企業数が多くなく、その分求人数も少ない傾向です。

カーディーラー

完成車の販売やアフターサービスをするカーディーラー。
新車ばかりではなく中古車も扱い、アフターサービスを行います。

営業職 商談、集客、接客
整備・エンジニア職 車の品質検査、整備
事務職 お客様の案内、接客

自動車業界のなかでも、営業・接客・販売がメインになりますので土日休みではないことが多いです。しかし、好きな車に囲まれて仕事ができる楽しさや、直接お客様に販売する喜びが得られます。

まとめ:求人の探し方

自動車業界の転職をまとめると、

  • 自動車産業は国内No.1であり、多くの求人がある
  • 完成車メーカーだけではなく、Tier1,2の部品メーカー、素材メーカーがねらい目
  • タイヤメーカーは求人数が少ない傾向あり
  • 接客、販売に強みがある方はカーディーラーの営業、内勤も検討の余地あり

また自動車業界は、各種大手求人プラットフォーム、エージェントサービスに一定の求人がありますので、下表を参考に是非求人を探してみてくださいね。

完成車メーカー、タイヤメーカー doda
リクルートエージェント
リクナビNEXT
マークラインズ
素材、部品メーカー リクルートエージェント
マークラインズ
リクナビNEXT
ディーラー リクナビNEXT

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