印刷業界の転職事情。凸版印刷とDNP(大日本印刷)の違いとは?


ライター:Sota Katakawa

現在、印刷業界は最大手の2社(凸版印刷、大日本印刷)が合計で国内シェアの約75%を占めています。その他に存在する中小の印刷会社のほとんどがこれらのグループ会社や下請け・孫受け企業です。ここでは、そんな印刷業界への転職をお考えの方向けに、大手2社の動向と、実際の求人例、職務経歴書に記載する自己PR文のサンプルを紹介します。

 

凸版印刷と大日本印刷(DNP)でシェア75%。

ご存じの方も多いでしょうが、そもそも印刷業界は最大手の2社(凸版印刷、大日本印刷)が合計で国内シェアの約75%を占めており、その他に存在する中小の印刷会社のほとんどがこれらのグループ会社や下請け・孫受け企業で、「印刷関連の案件は上流をたどればほとんどこの2社が本流」という状態です。

書籍・雑誌の販売金額が9年連続で前年割れ、広告出稿も苦戦と市場縮小に歯止めがかからない業界ですから、好待遇を求めるならこの2大企業への転職を目指すのが王道です。印刷業界をより深く理解するためにも、まずこの2社の理解を深めていきましょう。

売上高

売上高(1.5兆円前後)も営業利益率(3%前後)も全く拮抗状態両者のセグメント別売上高は以下の通りです。
これを見ると事業構造も非常に似通っていることがわかります。

セグメント別売上グラフ

凸版印刷:「印刷(情報コミュニケーション)」約58.9%、「生活環境産業」約27.4%、「エレクトロニクス」約13.6%
大日本印刷(DNP):「印刷(情報コミュニケーション)」約54.9%、「生産・産業」約27.8%、「エレクトロニクス」約13.4%、「清涼飲料」約4%

(引用元:凸版印刷投資家情報大日本印刷投資家情報

営業利益率

ところが利益に目移すと両者の違いが見えてきます。

営業利益率グラフ

凸版印刷:「印刷(情報コミュニケーション)」約54.2%、「生活環境産業」約28.0%、「エレクトロニクス」約17.8%
大日本印刷(DNP):「印刷(情報コミュニケーション)」約31.0%、「生活環境産業」約17.3%、「エレクトロニクス」約48.6%、「清涼飲料」約3.2%

(引用元:凸版印刷投資家情報大日本印刷投資家情報
※ 印刷業界における「エレクトロニクス事業」とは主に電子看板用のディスプレイや半導体などのメタルマスク(ステンシル。基盤につけるフレームのこと)の製造事業を指します

凸版印刷が主力である印刷事業で大きな利益をあげているのに対し、大日本印刷(DNP)はここ数年で急激にエレクトロニクス事業へのシフトを加速させ、その利益率は全体の48.6%となっています。

凸版印刷が印刷技術を絡めたBtoB案件を得意としているに対して、大日本印刷は提案力を活かして印刷以外の領域での受注を増加させているという戦略の違いが数字に表れています。
(もともと凸版印刷が最大手として「技術の凸版」と言われたのに対し、大日本印刷は後発で「営業の大日本」と言われていました。
そのせいか凸版印刷は内向き、大日本印刷は外向きのカルチャーと言われます。)

この前提が転職活動においても重要な意味合いを持ちますので、よく覚えておいてください。

凸版印刷 → あくまで印刷が利益の柱。
大日本印刷 → 新規事業のエレクトロニクスの存在感が増している。

印刷業界トップ2への転職を目指すなら

繰り返しになりますが、印刷業界での転職で好待遇を求めるならこの凸版印刷と大日本印刷を選択肢から外すことはできません。

そして、前提として印刷業界の求人は以下の3点がほとんどです。これは凸版印刷も大日本印刷も変わりません。

  • 営業
  • Web系求人
  • 開発系求人(PGというよりはSE・PMとしての募集が多い)

あなたがこのいずれかの経験を持っているのなら、印刷大手への入社チャンスは大です。
その上で、凸版印刷と大日本印刷の求人それぞれの特徴を見ていきましょう。

凸版印刷への転職を希望するならエージェントの非公開が頼みの綱

凸版、DNP共に本社の求人は新卒重視で、リクナビNEXTのような公開制の求人サイトにはなかなか出回りません。
このあたりは伝統的な日本企業らしいところです。
関係筋によると両者共にライバル関係にあるために求人による新規事業や顧客情報の流出にかなり気を使っているそうです。

特に凸版印刷ではこの傾向が強く、公式ホームページの採用ページにも経験者採用の情報がめったに掲載されません

※ 2020年2月現在の求人情報(公式ホームページより)

凸版印刷:公式サイトでの告知なし
大日本印刷:空間ディレクター、金融機関向けサービス開発PM、ペーパーレス化PDサービス開発SEなど4件

しかし、実際には非公開求人という形での募集はかなり実施されています。

例えばリクルートエージェントには以下のように凸版印刷の公式サイトに無い複数の求人票を紹介可能であることが案内されています。

凸版印刷株式会社の求人情報
※ 応募にはリクルートエージェントへの登録が必要です。

ですからもし「凸版印刷への転職を目指したい」という場合はリクルートエージェントマイナビエージェントなどの大手転職エージェントの非公開求人を頼りましょう。公式ホームページでは見つからない案件の紹介を多数受けることができるはずです。

募集事業に関連する業界の経験者やメーカー系技術者の方におすすめの進路です。

凸版印刷の決済ビジネスの新規事業開発への志望動機の例


御社が新規事業として決済ビジネスを立ち上げられると伺ったのがきっかけです。私は決済代行会社の加盟店開拓営業として5年間勤務し、3年目から今日まで毎四半期連続での目標達成を継続しています。

新規開拓のためにECサイトのコミュニティやEC開発者の集いを回るなど地道な努力が実を結んだ結果だと考えています。

営業としてキャッシュレス決済の現場を見てきた経験から感じたことといたしましては、加盟店側に導入がスムーズな決済プラットフォームが必要不可欠であるという点です。その点では今業界で先行している◯◯や◯◯にもまだまだ課題があると思います。

凸版印刷さんはEC事業者などの顧客も数多く抱えていらっしゃいますので、私の経験を活かして新規事業の立ち上げ段階から貢献できるものと思い、応募いたしました。


印刷業界営業職向け職務経歴書ダウンロード

自己PR例~信頼関係構築のための情報収集~

新卒から3年間、オンライン採用代行サービスの営業職に従事致しました。新規獲得の基本はテレアポです。これが最初のハードルで、最初は闇雲に1日100コールこなしましたが、ご迷惑になるばかりでまったくアポになりませんでした。そこで業界新聞を取って、新しい人事制度や採用の仕組みを取り入れた企業に「記事を見て電話しました」とご連絡するようにしました。すると受付突破率がほぼ100%になり、毎日コンスタントに新規アポが取れるようになりました。

その結果として、20xx年は予算達成率xxx%を実現致しました。

しかし、オンラインのチャネルを活性化させると、今度は「オフラインの採用パンフレット、採用イベントとの連携もしたい」という顧客の声を多く耳にしており、自社サービスではこの問題の本質的な解決は難しいと感じました。そこで今後は、商材を問わずオンラインとオフラインの両方で、顧客と一緒に想いを形にできる印刷業界での就業を希望しています。

POINT

印刷業界の営業職を目指す営業出身の方が、職務経歴書の自己PRで伝えるべきことは3つあります。

① 営業成績
② プロセス(どうやってその成果を実現したか、どんな苦労があって、どのように乗り越えたか)
③ ①と②を印刷業界でどうやって活かすつもりなのか

この3つを押さえることで、印刷業界への志望意欲と、これまでの経験がつながっていることをアピールできる内容になります。例文を参考に自分なりにカスタマイズしてみましょう。

自己PR例~現状分析に基づいた企画営業力~

現職では3年間、PR代行会社にて、広報代行サービスの営業職に従事致しました。〇〇エリアにおける〇〇業界の新規開拓プロジェクトにおいては、当初は30社訪問するも1社も成約に至れず、従来のサービスラインナップを根本から見直す必要があることを認識致しました。そこで顧客ニーズと自社サービス、既に導入されている他社サービスの差分を分析し、サービス企画部門と連携することで、ターゲットの業界に特化したサービスを開発致しました。

その結果として、新商品を〇〇社のクライアントに採用頂き、20xx年は予算達成率xxx%を実現致しました。

今後は、現職で培った企画力を、業界を問わずに発揮していきたいと考える所存です。御社の求人を拝見し、業界分けがされていない枠組みのなかで、自分自身の提案力を発揮できる点を魅力に感じ応募致しました。

自己PR例~アフターフォローの徹底による関係構築力~

現職では3年間、中小企業に対するセキュリティ関連のソフトウェアサービスの営業、販売を担当致しました。競合の多い分野のため、契約継続率の向上のために、セキュリティ関連分野の情報提供ならびに要望のヒアリングなど定期的なアフターフォローを徹底致しました。

その結果として、20xx年は契約継続率が前年比10%アップを実現致しました。

しかし自社プロダクトの枠組みでは、お客様からのフィードバックの全てに応えられない点にもどかしさを感じております。そこで今後は、オンライン・オフラインの施策が充実しており、お客様のご要望にアプローチできる印刷業界にて、企画営業職としての転職を希望しております。

大日本印刷の狙い目はグループ会社

一方で、大日本印刷は前述の通り新規事業の開発に取り組んでおり、どちらかといえばグループ小会社の中途採用案件が豊富です。

例えば大日本印刷グループのDNPコミュニケーションデザインというWebサービス関連の子会社ではWebディレクターやプロジェクトマネージャーをかなりの高待遇で募集しています。

本業の印刷とデジタル広告を組み合わせ、広告をトータルで支援する事業としてグループ会社間のシナジーを強化したいという思惑があるものと思われます。

リクナビNEXTの実際の求人の例

DNP求人票1
DNP求人票1

上記のような案件に対しては「インターネット広告代理店の営業として受注が◯円」「Web制作会社でディレクターとしての制作実績が◯件」など、印刷業界以外での実績の方がむしろ好材料となります。

実際、大手印刷会社のプロパーにはデジタル広告に精通したプレイヤーがほとんどおらず、こうした子会社の社員のノウハウのほとんどが中途入社の方頼みとなっている実態があります。

したがって、「印刷業界は未経験だけど、現職での経験を活かしてチャレンジしたい」という方にとっては最高の受け皿となってくれるはずです。

前述の通り大日本印刷グループ会社の求人はリクナビNEXTで十分発見できますが、さらに凸版印刷本社の求人をフォローするためにリクルートエージェントにも登録しておくと完璧です。

大日本印刷の小会社のWebディレクターへの志望動機の例


私は不動産系サイト制作会社で2年間デザイナー、3年間Webディレクターとして経験を積んでまいりました。主に大手デベロッパーから受託した新築マンションPR用サイトの制作ディレクションを担当しています。

仕事にはやりがいがあるのですがクライアントの想いや要望をヒアリングしながら、サイト作りを行いたいのが本音です。新築マンションのサイトは成功パターンが確率されており、デザインもサイト構成もほとんど同じテンプレートで制作されるため、正直なところそういった仕事の仕方が求められていないという実情があります。

御社は大日本印刷のグループ会社として、映像やクリエイティブに優れた作品を数多く手がけられています。制作実績も拝見しましたが、◯◯と✕✕では全く異なったアプローチとなっており、いずれもブランド側が本当に伝えたいことを直感的に訴えるクリエイティブで、とことんヒアリングして作られたものであることがすぐに分かりました。

こうした仕事への憧れの気持ちも半分あるのですが、私は高級マンション系サイトのデザイナー出身のディレクターですので、御社が得意とされているハイブランドのクリエイティブ案件のディレクション領域で即戦力としてお役に立てるものと考え、今回ご応募させていただきました。デザイナー時代のポートフォリオも持参いたしましたので、ぜひご覧ください。


印刷業界Webディレクター向け職務経歴書ダウンロード

自己PR例~モチベーションを保つディレクション力~

新卒から〇年間、Webデザイナーを経験した後、Webディレクター職として、〇件のWebサイトの企画、制作管理を行いました。短納期のプロジェクトが多かったため、メンバーのパフォーマンスを最大限に引き出すことが最初のハードルで、最初は定期的にミーティングをする取り組みをしていましたが、報告内容が形骸化してなかなか成果が出ませんでした。そこで新しいプロジェクトがはじまる段階で、チームメンバーと個別にミーティングを行い、今後仕事を通してどのようなスキルをつけていきたいかを共有してもらい、プロジェクトで達成すべきことを確認しながら、成長を感じられるようなタスクの割り振りを心がけていました。すると、忙しい中でも、メンバーの間のコミュニケーションが活発になり、困っていることがあれば早期解決できるようになりました。

その結果として、20xx年からは、大幅に納期遅延をすることもなく、プロジェクトを進行できるようになりました。

今後はこの経験を活かし、より幅広いクライアントの想いや要望をヒアリングしながら、Webサイト作りを行いたいと考えています。御社は大日本印刷のグループ会社として、映像やクリエイティブに優れた作品を数多く手がけられています。制作実績も拝見しましたが、◯◯と✕✕では全く異なったアプローチとなっており、いずれもブランド側が本当に伝えたいことを直感的に訴えるクリエイティブで、とことんヒアリングして作られたものであることがすぐに分かりました。

私は高級マンション系サイトのディレクション経験もあり、御社が得意とされているハイブランドのクリエイティブ案件のディレクション領域で即戦力としてお役に立てるものと考え、今回応募致しました。

POINT

印刷業界のWebディレクターを目指す方が、職務経歴書の自己PRで伝えるべきことは3つあります。

① 現職での実績(「インターネット広告代理店の営業として受注が◯円」「Web制作会社でディレクターとしての制作実績が◯件」)
② 自信のある分野と、手掛けたプロセス
③ ①と②を印刷業界でどうやって活かすつもりなのか

この3つを押さえることで、印刷業界への志望意欲と、これまでの経験がつながっていることをアピールできる内容になります。例文を参考に自分なりにカスタマイズしてみましょう。

自己PR例~クロスメディアで相乗効果を上げる企画提案力~

現職ではマーケティング代行企業の企画ディレクターとして勤務し、3年間で消費財を扱うクライアントxx社のキャンペーン企画サイトと、印刷物のリリースを担当致しました。予算の限られているプロジェクトが多かったので、WEBと印刷物の見せ方、読ませ方の違いを勘案しながらデザインや機能を提案し、両媒体を同時に制作することで、コストダウンにも協力致しました。

その結果として、クライアントより「Webと印刷物の相乗効果で、ブランド認知が高まった」という喜びのお声を頂いてまいりました。

今後はこの企画提案力を、トレンドのSNSマーケティングにも広げていきたいと考えております。御社は〇〇エリア老舗の印刷会社として、地域に密着した営業基盤を持ちながら、印刷物とWeb、SNSマーケティング支援を組み合わせた案件を多く手掛けられています。入社後は、私のこれまでの強みであるクロスメディアの提案力にSNSマーケティングを加え、〇〇エリアの良さを広めるプロフェッショナルとして貢献したいと考え今回応募致しました。

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