ビッグデータの活用やAI・機械学習技術がもたらすアドテクノロジーの進歩
The Breakthrough Company GO代表取締役、三浦崇宏氏はこう言っている。
2018年、AIとブロックチェーンに代表されるテクノロジーの変化。スマホとSNSによるコミュニケーションの変化。そして、働き方改革。誰の目にも明らかなスピードで社会はそのあり方を変え続けている。
そんな変化の中で、僕たちがいる広告業界を、視野が狭い人は『沈みゆく船』だと捉えるけれど、視野が広い人は『大航海時代』だと捉える。自分のいる場所を船と見るか、海と見るかで、解釈も行動もだいぶ変わる。
(引用元:崖っぷちの広告業界、変革の鍵は「メディアのベンチャーキャピタル」化(三浦 崇宏) | 現代ビジネス | 講談社)
広告業界は大きく2つに分類され、マスメディア4媒体(テレビ、ラジオ、新聞、雑誌)とインターネット広告に分かれています。
2019年におけるデバイス別接触時間を調べた博報堂・メディア環境研究所の調査によると、「テレビ・ラジオ・新聞・雑誌」の接触時間と「スマートフォン・PC・タブレット端末」の接触時間は50:50との結果が出ています。一見、どちらも同じように需要があるように見えますが、実際に使われる広告費には大きな変化が出始めています。
株式会社電通の「2018年日本の広告費」によると、広告費自体はマスメディア4媒体に軍配が上がるも、前年比ではマスメディア4媒体が96.7%と減少傾向、インターネット広告費が116.5%で、インターネット広告費がうなぎ昇りの状態になっています。
2018年だけではなく、インターネット広告費は5年連続で2桁成長となっていることから、マスメディア4媒体を超える日もそう遠くはないと言われています。
では、なぜインターネット広告がここまで成長できているのでしょうか?
その背景には、「アドテクノロジー」の進歩がありました。
「アドテクノロジー」とは…
「advertising(広告)」と「technology(技術)」を組み合わせた言葉。
この記事では、マスメディア4媒体の現在と、三浦氏が提唱している「大航海時代」であるインターネット広告のビッグデータの活用やAI・機械学習技術がもたらすアドテクノロジーの進歩について解説します。
マスメディア4媒体は低迷しているのか?
株式会社電通の「2018年日本の広告費」によると、マスメディア4媒体は前年比96.7%で減少傾向にあるとお伝えしましたが、減少傾向だからと言って低迷しているわけではありません。広告費だけで見ると、2018年の総広告費6兆5,300億円の内、41.4%にあたる2兆7026億円はマスメディア4媒体の広告費になります。これには広告制作費も含まれていますが、まだまだ広告業界を牽引する存在であることは間違いない証拠だと言えます。
もう1つ特筆すべき点は「ラジオ」の成長で、広告費の構成比こそ多くはないものの、広告業界大手の博報堂の2020年3月期の月次を見る限り、マスメディア4媒体の中でも一番の成長率を誇っています。ラジオに関して言えば、スマートフォンでラジオを聞ける「radiko」アプリの普及も関係しており、月間ユニークユーザー数とプレミアム会員数を堅調に増加させ、オーディオアドを本格的に開始していることもあり、「ラジオ」広告費は全体を通して成長していると言えます。
ラジオだけではなく、他の媒体に関してもインターネットとの親和性が求められる時代になっているため、マスメディア4媒体の業界であってもインターネット広告に関する知識は求められるようになっています。覚えていて損はないと言えるでしょう。
前年比の増減では新聞・雑誌が大幅に落としているものの、広告費の比率が高いテレビに関してはほぼ横ばいの状態となっています。インターネット広告費の伸び幅は大きいが、マスメディア4媒体が低迷しているわけではないことはこのデータからも明らかだと思います。
インターネット広告はトレンドの移り変わりが早すぎる
マスメディア4媒体に比べ、伸び幅の大きく、2019年にはテレビメディア広告費上回ったインターネット広告ですが、急成長の要因にトレンドの移り変わりが早いことが挙げられます。今回は、その1つの要因として動画広告の普及をご紹介します。
(引用元:2019年 日本の広告費|電通)
今では、インターネットを見る端末もPCではなく、スマートフォンやタブレットが主流になっています。さらに、動画共有・配信サービスの利用も増えており、総務省の「平成27年 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」では、75.2パーセントの人が動画共有・配信サービスを利用しているという調査結果が出ています。動画サイトやニュースアプリ、SNSのコンテンツの合間に表示さされる動画広告の市場は、一気に拡大しているのです。
ビッグデータの活用やAI・機械学習技術がもたらすアドテクノロジーの進歩
ビッグデータはご存知でしょうか?
ビッグデータとは、「事業に役立つ知見を導出するためのデータ」と総務省が定義しています。インターネット広告に当てはめると、インターネットの普及とITの進化によって生まれた、事業に役立つ知見を導くためのデータということになります。このビックデータの活用先は、Googleの検索結果に表示される広告や、Amazonのレコメンド表示などに用いられています。
そのビックデータを、AIに処理させることが出来るようになってきました。AIの機械学習やディープラーニングの発展により、従来なら不可能であった膨大なデータの管理や解析が可能になったのです。ディープラーニングの発明と、2010年以降のビッグデータ収集環境の整備により、企業が持っている大量のデータも効率よく分析し整理し、企業にとって有用なデータのみを抽出できるようになりました。さらにAI、特に機械学習やディープラーニングの分野は、現在も凄まじいスピードで進化を続けています。
移り変わり、成長の早い業界ではありますが、新しいことに次々とチャレンジしたい方にとってはピッタリの業界だと言えます。
しかし、一部ではこんなことも言われています。
2022年までに、広告プロセスの80%が自動化され、自動化が占める割合はこれをもって最大に達するという見解もあります。
残りの20%は、ブランドバリュー、ストーリーテリングなどの要素と、絶対に人間にしかできない体験的な施策が占めるため、完全に自動化とは行きませんが、インターネット広告運用の8割は機械で出来るようになってしまうとのことでした。
これが進んでしまうと、インターネット広告の運用者の需要はかなり減少してしまうかもしれません。ただ、前述した通り、残りの20%は人間にしか出来ない作業なので、全く無くなることはありません。
未経験でも入りやすいインターネット広告業界
マスメディア4媒体・インターネット広告どちらにも言えることですが、学生時代には全く覚えられない知識を要する業界です。專門学校があるわけでもありません。なので、新卒以外でも未経験者の採用が積極的に行われている業界でもあります。
筆者はインターネット広告業界しか経験していないため、マスメディア4媒体に関しては言えませんが、インターネット広告業界の「未経験に対するサポート」はどの広告代理店でも手厚く行われていました。また、知識はインターネット上に教材が多く存在しているため、勉強しやすいのも特徴です。自分の持っているスキルを表すための資格も充実しており、未経験からの転職でも学ぶべきことや、目指すべきところなどがわかりやすくなっています。
リクナビNEXTで「インターネット広告」で検索すると314件ヒットしました。未経験歓迎以外も含まれておりますが、大多数が未経験歓迎になっていました。
また下記は、リクナビNEXTで実際に掲載されていた求人票の一部を抜粋したものになります。このように、未経験者歓迎を掲げている求人票は他にも多数存在していました。ぜひ、一度リクナビNEXTで検索し、実際の求人票を確認してみてくださいね。
広告業界まとめ
マスメディア4媒体の業界とインターネット広告業界、どちらも衰えることのない伸びしろのある業界です。どちらの業界もまだまだ余力はありますが、インターネット広告の方が伸びしろが大きいので、マスメディア4媒体を上回るのは時間の問題かもしれません。その反面、自動化が進むと仕事が奪われてしまう懸念もありますが、どちらに進んでも消えることの無い需要であることは確かだと思います。
広告業界への転職におすすめの転職エージェント
筆者がWebマーケティング業界で転職活動をした2019年夏頃は、広告業界の人手不足のようでした。どの転職エージェントに登録しても、紹介される求人数に驚きました。それほど、広告業界の人手不足が広がっているということだと思います。
今回は利用した中でも広告業界に知見があり、詳しくお話してくれたキャリアアドバイザーがいた転職エージェントをご紹介します。
doda
dodaのキャリアアドバイザーは広告業界專門の方で、面談の際も業界に関する細かい部分までお話して頂けました。他の転職エージェントでも專門の方と面談させていただきましたが、dodaがずば抜けて知見が合ったように思えました。紹介される求人数も豊富で、多すぎて見切れないほどのメールが届きました。この中から自分に合った勤務地や、各条件を見つけ出し、応募することが広告業界で良い転職をするポイントになるのではないでしょうか。
リクルートエージェント
リクルートエージェントもキャリアアドバイザーは專門の方が担当になっていただけました。dodaとは違い、インターネット広告寄りではなくマスメディア4媒体寄りだったので今回はあまり合いませんでしたが、マスメディア4媒体を希望している方にはマッチしていると思いますのでこちらもご紹介させていただきます。
転職エージェントはこの2社を併用することをおすすめします。キャリアアドバイザーのサポートやサービスは各社のいいところだけを利用するのがいいと思いますが、求人情報だけはどうしても差が出てしまいます。というのも、どちらも同じ求人情報が載っているわけではありません。より良い条件の企業に転職するためにも、2社の求人情報を見てみることをおすすめします。