金融業界(銀行・投資信託・保険会社)からの転職


ライター:奥野 佑樹
【PR】記事内に商品・サービスのプロモーションを含みます。

金融業界の転職事情

厚生労働省が発表した令和2年の雇用動向調査結果概況によると、金融業・保険業の離職率は7.7%となっており、他の業界に比べ低い水準となっています。

令和2年産業別入職率・離職率グラフ
(引用元:産業別の入職と離職(令和2年雇用動向調査結果の概要より)|厚生労働省

しかし、金融業界(特に銀行)では、若い世代を中心に離職される方がとても多く、新卒から3年で3割、5年で5割が離職すると言われています。

金融業界に勤めている人の転職登録者数
(引用元:銀行員から転職に成功した僕が教える!20代銀行員の具体的な転職先

若者の金融業界離れの原因として、保険や投資信託の厳しいノルマがよく挙げられますが、金融業界と密接な関係にある業界や企業で金融業界経験者の需要が高まっていることも、人材流出に歯止めをかけられない要因となっています。

金融業界と密接な関係にある業界や企業の例としては、以下のようなものが挙げられます。

  • コンサルティングファーム
  • 監査法人
  • 企業の管理部門
  • 不動産業
  • フィンテック企業、IT企業

コンサルティング業界や監査法人では、金融業界で培った知識やスキルを持つ人材が常に求められています。企業の管理部門においても同様で、企業財務を管理するCFO(最高財務責任者)候補として採用を行っている企業もあります。

不動産業界は、ローンや借入金などの金融商品を一緒に扱うことが多いので、金融業界に通じる業種でもあります。そのため、不動産業界への転職を目指す場合は、金融業界での経験に加えて、不動産の知識や宅建の免許を取得することで、市場価値を高められます。

さらに、近年増加するフィンテック企業やIT業界からの需要も大幅に増えています。ベンチャー企業やスタートアップ企業では、資金調達などの面で金融業界の知識を持つ人材が求められています。

金融業界は人材流出が課題。リテンション・マネジメントで引き止めも

人材流出が止まらない金融業界では、「リテンション・マネジメント」によって若手社員の流出を防ぎ、優秀な人材の定着率を高めようとする動きがあります。

リテンション(retention)とは、「保つ、保持する、維持する、継続する」という意味で、リテンション・マネジメントは「人材の引き留め施策」を意味します。

リテンションマネジメントの例としては、働く価値を生み出す「非金銭的報酬」を作ることで、働く価値を実感してもらうことが挙げられます。

例えば、ワークライフバランスの見直しや、キャリアアップにつながる支援などが挙げられます。企業文化や職場環境の改善に取り組んでいる企業もあります。

しかし、そのような取り組みをしている企業はまだ少ないのが現状です。そのため、地方銀行からエリートが流出するケースはよく見受けられます。

銀行からの転職は「金融知識が求められる企業」を狙う

金融とITを組み合わせたフィンテック関連企業

フィンテック(Fintech)とは、金融(Finance)と技術(Technology)を組み合わせた造語で、フィンテック企業は、金融とテクノロジーを組み合わせたサービスを提供している企業を指します。

フィンテック企業が提供するサービスには、次のようなものが挙げられます。

  • 決済・送金システム
  • 会計・財務管理ソフト
  • 仮想通貨取引 etc...

代表的な決済・送金システムとしては、スマートフォンを使ったキャッシュレス決済システム「PayPay(ペイペイ)」が有名です。
また、会計・財務管理ソフトの「freee会計」はご存知の企業も多いのではないでしょうか。

フィンテック企業はお金にまつわるサービスを提供しているので、最新のIT技術を活用した金融企業と言えます。

しかし、フィンテック企業にはITの専門家は多くいますが、金融業界の知識を十分に持っている人はあまり多くありません。そのため、フィンテック企業は、金融業界の知識を活かして、より良いサービスを提案できる人材を求めています。

IT関連の知識に疎くても、金融業界の知識さえあれば未経験からでもチャレンジしやすい環境が整っている企業が多いので、応募の際には入社後のイメージを明確に伝えるとよいでしょう。

銀行員からフィンテック企業への志望動機例

私は約5年間、銀行員として窓口業務や各種申請手続き、データ処理に関わる業務に携わってきました。

窓口業務の一環として、インターネット上で残高照会や振込ができる「Web通帳システム」の利用をお客様にお勧めしていましたが、海外では当たり前のように行われているにもかかわらず、日本のお客様の多くはインターネットを通じた金融サービスに抵抗があることが気がかりでした。
このような方々は、Webに馴染みのない業種の方が多く、また、高齢の方も多くいらっしゃいました。

そのような方々にもより簡単に、より安全に利用できるサービスを広めたいと思い、フィンテックサービスの最先端を行く貴社を志望しました。

銀行員として培った経験やスキルを活かし、ユーザー目線でのサービス設計やお客様への情報提供を通じて、貴社の事業に貢献したいと考えています。

ローン等の知識を有効活用できる不動産営業

金融業界も不動産業界も、お金が絡むことが多い業界という共通点があります。そのため、業務に活かせる知識や経験も多く、過去の経験も生かしやすいと言えます。

不動産は「現物資産」としての価値があるため、不動産の仲介売買や管理、投資用不動産の売買を扱う際には、お金に関する知識が不可欠です。

また、融資・ローンは不動産と強く関係しています。金融業界で培った知識を生かす機会も多くあります。

金融機関と債務者の間で締結される「抵当権設定契約書」等の契約には、担保設定が伴います。これは、不動産融資やファイナンスについても同様です。

特にデベロッパーなど大規模な不動産事業の事務では、契約書の作成や契約書の立会いに携わることも多く、金融機関で培ったスキルや経験を活かせる機会が豊富にあります。

銀行員から不動産業への志望動機例

私は地方銀行で約5年間、不動産投資ローンの担当者として働いてきました。

不動産購入のお手伝いをする中で、投資用マンションが年金や生命保険の代わりになることに魅力を感じ、そのメリットを一人でも多くの方に知っていただき、定年後のライフプランなど、資産の有効活用の方法を様々な方にお伝えしたいと思うようになりました。

前職で身につけた接客や不動産の知識を活かし、不動産投資のプロとしてお客様に寄り添い、即戦力として貴社の事業成長に貢献したいと考えております。

ベンチャー・スタートアップ企業の財務マネージャーという道も

ベンチャーやスタートアップ企業は、シードステージからExitを経て上場(IPO)を目指すにあたり、会計体制をさらに強化するために財務マネージャーを募集することがあります。

財務マネージャーは、知識だけでなく、銀行や融資先とのやり取りが多いため、金融業界での銀行経験者や法人営業経験者が求められます。

銀行員から転職する方も多く、特に地銀に見切りをつけ、スタートアップに参入する人が多く、全く縁のなかった業界に参入する人もいらっしゃいます。

しかし、他業界の転職となると、実際の業務で活躍できないことも多く、ギャップを感じて早々に退職してしまう方もいます。

転職するには、銀行では使わないExcelやPPTなどのスキルが基本スキルとして求められることが多いので、転職前に習得したり、活用できるスキルの棚卸しを改めて行ったりすることで、転職前にギャップを防ぐことが重要となります。

スタートアップ企業の財務マネージャーへ応募する際のコツ

スタートアップ企業を志望する場合、応募先企業を理解することが最も重要です。

スタートアップは、社会の課題を認識し、仕事を通じてその課題を解決し、社会に貢献したいと考えている人たちの集まりです。「自分が解決したい社会課題がある」「この課題を解決することで顧客に価値を提供したい」など、社会に対する志、つまり自分の想いを明確にし、志望企業のビジョンに共感を示すことが大切です。

志望動機を書く上で意識するポイント

  • 応募先企業でどんな力を発揮し、どういう分野で活躍できるのかを明確に
  • 今までの成果をアピールする場合は、どう課題解決したのかを掘り下げる
  • 志望企業のビジョンへの共感も明確に
  • 「経営者の目線」を意識して書くことで読み手に響く内容になる

証券・投資信託会社からの転職は「リテール営業の経験」を活かす

経営者との顧客折衝経験をM&A仲介企業で活かす

M&A業界では、昨今の中堅・中小企業の事業承継問題や、ベンチャー投資によるM&Aによるプレイヤーの急増により、求人数の増加が顕著になっています。

M&Aの件数は2011年の1,086件から2019年には3,000件と年々増加しており、M&AコンサルタントやM&Aアドバイザーなどの人材不足が深刻化し、各社で採用ニーズが発生しています。

これらM&A仲介企業の主なミッションは、案件(買い手・売り手)の発掘であるため、資金調達の過程で企業経営陣との交渉経験が豊富な金融業界出身者が重宝されます。

証券リテール営業からM&A仲介業への志望動機例

私は証券会社で約5年間、リテール営業や法人営業のサポートに携わってきました。

営業活動で経営者の方とお話する機会が多いのですが、資産運用の話に終始することが多く、事業承継の本質的な部分に踏み込んでいないように感じていました。

また、人口減少社会の到来と団塊世代の経営者の大量退職により、今後M&Aが増加することは確実であることから、M&A仲介にもっと積極的に関わりたいと思うようになりました。

貴社は地方銀行や地元の有力企業とのつながりが多いため、今まで培ってきた法人営業の経験とM&A仲介のスキルをさらに身につけることで、地方の活性化に貢献できると考え、志望しました。

業界への知見を活かしてコンサルティングファームを狙う

コンサルティングファームとは、企業が抱える課題に対して意見を出し、解決に導く企業を指します。

証券会社・投信会社から転職する場合、総合系コンサルティングファームでは、銀行・証券業界へのコンサルティングを行う部署で業界知識を持つ人材を募集しているところが多いようです。

コンサルティングファームの求人例
(参考:リクナビNEXT求人検索より

また、中小企業を主な顧客とするコンサルティングファームでは、経営者の懐に入り込む力、成長意欲を重視して、証券・投信出身者を経営コンサルタントとして採用するケースもあります。

証券会社からコンサルティングファームへの志望動機例

私は証券会社で約5年間、法人営業として営業企画や商品企画などの業務に携わってきました。

現職では、オーナー経営者の資産運用や、節税のための保険会社・不動産会社・資産運用会社の設立提案などに携わってきました。

貴社は、経営分野に力を入れているため、証券会社での営業企画や資産運用のサポート経験が活かせると思い、志望しました。

保険会社からの転職は営業力を活かす

他業界の営業

営業の仕事にやりがいを感じているが、職場環境やノルマ、福利厚生に不満がある場合、メーカーや食品業界など、他業界の営業でキャリアアップを目指すことも可能です。

保険会社の営業で磨かれたコミュニケーション能力、プレゼンテーション能力、交渉力などのスキルは、他業界の営業でも存分に活かすことができます。

応募の際は、営業実績を含めた経験を具体的にアピールすることで、採用担当者に好印象を与えることができます。

↓↓↓「営業職の転職」詳しい解説はコチラ↓↓↓

営業アシスタント

保険会社の営業に疲れた方は、営業アシスタントへの転職も選択肢のひとつです。

同じ保険会社でも、自動車保険など違う種類の保険の営業アシスタントとして働くことで、不満な労働環境やノルマから解放され、業界の知識も生かすことができます。

ただし、営業に比べると収入は低いことが多く、営業アシスタントとして成功すれば、営業マンへの転身を勧められる可能性もあります。

5秒で完了!転職サイト診断

転職診断ツールへのアクセス方法

このページを共有する