営業職に興味があるけれど「営業職はきつい」という話を耳にして不安に思ってはいませんか。
この記事ではそうした方々の不安を解消すべく、営業職経験者にインタビューした「営業のつらさと楽しさ」「営業に向いている人といない人の特徴」についてご紹介します。
営業職が「きつい」といわれるのはなぜ?
今回は、営業職の実態を皆様にお伝えするために、営業職経験者のお二人をお呼びしました。まずは、お二人の営業職経験について伺いしてもよろしいですか。
初めまして、私は現在SEO会社の経営をしていますが、新卒で入社した会社では人事系営業として3年間勤務していました。
初めまして、私も不動産売買の個人営業として1年間、BtoBのWebサービス営業として10年間務めておりましたので、皆さんに何かお伝えできればと思います。
ありがとうございます。
お二人には事前にアンケートで「営業のつらさと楽しさ」「営業に向いている人といない人の特徴」について簡単にお答えいただいています。
「営業のつらさ」につては
- ノルマがきつい
- アポ取り・新規開拓がきつい
- 社内での立場が弱いのがきつい
- 自社の製品を売らなければならないのがきつい
- 残業がきつい
というお答えをいただいています。それぞれ詳しくお話を聞かせて下さい。
ノルマがきつい
まずは「ノルマがきつい」についてお話を聞かせてください。
確かに営業職といえばノルマというイメージがありますが、実際にノルマが達成できていないと上司にプレッシャーをかけられたりするのですか?
それを書いたのは私ですね。
私のいた会社では、達成できなくて上司に詰められるということはなかったですね(笑)
「ノルマがきつい」というのも「達成できそうもないノルマを課せられてきつい」というよりも「ノルマがあることで仕事が詰め込まれていってきつい」という感じですかね。
あぁ~、私のところでもそうでした。
他のきついポイントはノルマがあるせいで発生しているところもありますね。
それから、プレッシャーという意味なら社内では「売上げが多い人ほど発言権が大きい」という風潮はありましたね。
私はなかなか売上げを伸ばせなかったので飲み会とかでも肩身が狭かったんです(汗)
体育会系のノリというか、部活でうまい人の声が大きいみたいな雰囲気があるんですね。
ノルマが他のきついポイントの原因になるということですが、具体的には「アポ取り」や「残業」についてでしょうか?
そうですね、もちろん「アポ取り」や「残業」もそうですがその他も含めて、どれもノルマがきっかけになっていますね。
それぞれ順番にお話ししましょうか。
アポ取り・新規開拓がきつい
まずは「アポ取り」と「新規開拓」ですが、これは営業の中でも一番大変でしたね。
売り上げのノルマを達成するには新規の顧客が必要ですから、とにかく電話をかけてアポを取らなきゃいけないんですよね。
とはいえ、営業を受ける企業からしたら、急によく知らないところから電話がかかってくるわけだから、まず話すら聞いてもらえないことが多いんです。
何とかしてアポを取るために少しでも見込みのある営業先を探して電話してもなかなか上手くいかないんです。
そういうことが続くと「とにかく数が必要だ」となってしまって、見込み度の低いところに電話して、断られて、という悪循環になる。
私は毎日100件電話をかけてましたが全然売り上げになりませんでした。
毎日100件はすごいね。
でもアポ取りと新規開拓が大変なのはその通りですね。
何とかアポイントが取れて営業先に伺っても慣れないうちは何を話せばいいか本当に分からなかった。
うまく話せないからアイスブレイクもなしに、いきなり本題に入っちゃったりもしましたね。
担当者からすれば、なんで初対面のやつに自社の経営課題を突っ込まれないといけないの?って話ですよね。当然商談がまとまるはずもありませんでした。
そうですよね。
そういう経験が続くと段々と営業に行くのが怖くなってくるんです。
客先に行くたびに背中が汗でびっしょりになって、帰るときには足がガタガタになってた時期もありました。
社内での立場が弱いのがきつい
商談の話で言えば、営業は社内での立場が弱いのつらいですよね。
値引きやサービス内容の追加などで、どうにかして案件をまとめてきても、今度は社内のスタッフから苦情が来るんですよね。
「納期が短すぎる」とか「そんなサービスには対応できない」とかですね。
でもノルマがあるから顧客の要望にある程度応えて交渉をまとめないといけなくて。
自社と顧客で板挟みにされちゃうんです。
営業職って花形のイメージがありましたけど、そういう事情もあるんですね。
こちらも商談の話だと思うんですが「自社の製品を売らなければならないのがきつい」というのはどういったことなのでしょう?
自社の製品を売らなければならないのがきつい
これは仕方がないことではあるんですけど、商談の段階で自社の製品が顧客にとって最良でないのが分かっちゃうことがあるんですよね。
あとは、自社の商品に自信がないときですね。
そうなんですよね。
少し違うけど、本当は顧客に必要ないサービスを売り込みに行くのもつらいところがありますよね。
人をだまして売ってるみたいに感じちゃうと、仕事だと割り切らないとつらいですね。
体験したことがある人ならではのお話ですね。
残業時間についてはどうですか?
残業がきつい
正直、残業時間はかなり長かったですね。
営業先の企業に電話したり訪問したりできる時間は日中だけなので、日中は顧客に対応する時間に充てないとノルマが達成でないんですよね。
そういう事情なので、営業資料の作成など顧客対応以外の作業は、残業して夜にやるしかなくなるんですよ。
それはすごくありました。
私のいた会社は、日中に営業が社内にいると「なんでいるの?」という雰囲気になってたくらいです。
日中社内にいられないから、既存の顧客に必要もないのにアポを取ったりして無理やり予定を埋めたり、ひどいときはアポイントメントをでっちあげて外に出ていたりもしました。
ここまでのことはなくてもこれに近い状況になってる営業はいると思いますね。
そうなんですね。
なんだかお二人のお話を聞いているだけで苦しくなってしまいます。
営業職の楽しいところやいいところについてもお話ししていただいてもよろしいですか?
営業職の楽しさ
「営業職の楽しさ・利点」については事前のアンケートでは
- 成果が見える
- 直接顧客に感謝される機会がある
- いろんな業種の知識と人脈が得られる
- キャリアの役に立つ
というお答えをいただいています。まずは「成果が見える。」という点からお話しいただけますか。
成果が見える
営業の仕事は成果が数字ではっきりと表れます。
売れていないときは苦しい要素でもありますが、試行錯誤が報われてきたときにこれはかなりモチベーションになります。
インセンティブの制度がある場合はなおさらでしょうね。
大きな契約が決まったときは、これまでの苦労がすべて報われたという気持ちになりますよね。
あの達成感だけでつらいことは全部忘れられるといっても過言じゃありません。
直接顧客に感謝される機会がある
ありふれた話にはなりますが、顧客に直接お礼を言われたり、喜んでいる姿が見られるのはいいところですね。
社内で作業をする仕事では味わえない点ですから顧客と接する機会が多いことのメリットといえます。
いろんな業種の知識と人脈が得られる
顧客と接する機会が多いことのメリットでいえば、人脈は外せませんね。
前職や前々職の顧客から仕事入いることもありますし、いまだに飲み会に行く関係の方もいます。そういう機会があったのは感謝しています。
それでいうと、いろんな顧客のところに営業に行くことで、様々な業界の知識が入ったのは楽しかったですね。これもメリットですかね。
キャリアの役に立つ
多くの人に知っていおいてもらいたいのは、営業経験が転職市場で評価されることですね。
これは営業として売上げを伸ばせていた人も成績が振るわなかった人もです。
これは紛れもないメリットですね。
ありきたりな言葉になってしまいますが、営業職で経験したことは別の職種に移っても役立ちます。
私自身は、営業職時代になかなか結果を出せず、当時は苦し日々を過ごしましたが、それでも営業職を経験出来て良かったとは思っています。
まさにその通りだと思います。
営業職が辛くてやめていって社員を何人も見てきましたが、数年して再開したときにはほとんどの方がいい経験だったといっています。
もちろん私自身も営業職での経験は宝だと思っています。
ありがとうございます。
もちろんつらい点はありますが、十分それに釣り合うメリットもあるのですね。
それでは「営業職に向いている人と向いていない人」についてもお伺いできますか。
営業職に向いている人
「営業職に向いている人」については事前のアンケートでは
- 人と接するのが好き
- 業界や商材が好き
というお答えをいただいています。まずは「人と接するのが好き」という点からお話しいただけますか。
人と接するのが好き
営業はどんなものを扱うにしても、顧客と話す機会があります。「人と接するのが好き」な人は、営業の仕事自体を楽しめることが多いので向いているんじゃないでしょうか。
業界や商材が好き
あとは、業界や商材が好きという人は営業の適性があると思います。
自社の製品が好きである必要はないんですけど、業界や商材に興味がある人の話は面白いんですよね。
アパレルや車の販売員さんの話が面白くて、買い物に行ったときについ説明を聞きこんじゃうんことってあるじゃないですか。
営業に来る人がああいう感じだと興味もないのに話を聞いちゃうんですよ(笑)
すごく身に覚えがある話ですね。
営業職に向いていない人についてはどうですか?
営業職に向いていない人
「営業職に向いている人」については事前のアンケートでは
- 人と接するのが苦手な人
- 素直さがない人
- 抱え込んでしまう人
というお答えをいただいています。まずは「人と接するのが苦手な人」という点からお話しいただけますか。
人と接するのが苦手な人
人と接するのが苦手な人にはかなり苦しいでしょうね。
営業は商品を売り込むのが仕事ですから、「うまく話せる人」が有利だ思う方もいそうですが、実はそんなことはないんです。
営業にもいろんなタイプがありますので「聞き上手」というのもトップセールスマンの有名なスタイルの一つです。
ただ、どうあっても人と会って話をすることは避けられない仕事ですから「人と会うのが苦手」な人はやめた方がいいです。
素直さがない人
「素直さがない人」は人から可愛がられにくいんですよね。
何度も話に上がっていますが、人と接する仕事ですので、コミュニケーションが円滑に行われるに越したことはありません。
顧客から好かれるのは重要ですし、社内調整でも問題を起こすと営業はうまくいきません。そう意味で「素直さ」は大事だなと私は思っています。
抱え込んでしまう人
これはかわいそうなんですけど、
何事にも親身になって考えて、抱え込んでしまう人は営業をするのは難しいと思います。
これは重要ですよね。
最初に話していた営業のつらさって、ここが原因だったりするんです。
えっ!抱え込みすぎることがですか?詳しくお願いできますか?
一番わかりやすいのは「自社の製品を売らなければならないのがきつい」という点についてですね。
「たとえ他社により良い製品があるのがわかっていても、顧客が自社の製品を買って満足できるならそれでいい。」
「顧客にそこまで必要のないサービスでも、契約した顧客が満足できていれば問題ない。」
そういう風に割り切って考えてしまえば、この点でつらいことってなくなりますよね。
私は「アポ取り」の話で実感することがありましたね。
毎回電話の前にすごく考えこんじゃう社員がいたんです。
最初にお話しした「悪循環」に電話をかける前から陥ってしまってたんですよ。
アポ取りが大変なのは事実なんですけど、かけなければ始めらないものですからある程度割り切りも必要なんですよね。
「抱え込み過ぎと」いうとどうしてもすぐにやめてしまったその社員のことを思い出しますね。
そうなんですね。
営業職に向いていない人は特に意外な特徴も多っかたです。
営業を目指されるかたにとって参考になる話をたくさん聞かせていただきました。
今回はインタビューにご協力いただきありがとうございました。