総務省の統計によると、日本国内において、スマートフォンを含めたモバイル端末の普及率は95%に届く勢い。誰もがインターネットで情報収集をする時代になりました。そこで今求められているのは、Webサイト(企業・行政機関サイト、ECサイト、オウンドメディア等)の製作進行、企画を管理する、Webディレクターという職業です。
今回は、これからWebディレクターを目指す未経験の方向けに、Webディレクター職についてお伝えします。
Webディレクターとは?
Webディレクターの定義は2種類あります。
1つ目は、Web制作会社において、企業や行政機関からの依頼を受け、要望に沿い、使いやすく見栄えのよいホームページ、ECサイト(ショッピングサイト)、オウンドメディア等の制作の進行、企画を指揮する、Web専門のディレクターです。
2つ目は、自社でWebサービス、Webメディアを運営し収益を得ている事業会社において、Webのコンテンツ施策を行うディレクターです。
技術、クリエイティブ職種との違い
Webディレクターの仲間であるWeb系職種といえば、WebデザイナーやWebライター、Web系のコーダーなど、クリエイティブ/技術系の職種が挙げられます。これら専門職との違いは、Webサイト制作、運営のマネジメントをするか否かです。
Webディレクターとして数年のキャリアを積んだ後は、Webプロデューサーや経営層など更なる上流側へキャリアアップするのも夢ではありません。そのためには、自分がどんなディレクターとして活躍したいのか、働く環境についてイメージしてみましょう。
制作会社と事業会社の違い
繰り返しになりますが、Webディレクターとして働く上で1つの分岐点となるのは、「制作会社か」「事業会社か」による違いです。
両者の大きな違いを一言でまとめると、「仕事の成果地点」です。制作会社では、クライアントへWebサイトを制作、納品をするのがゴールとなる一方、事業会社では、自社のWebサービス運営によるKPIの改善が成果になります。
その他の違いをまとめると下表のとおり。
制作会社のディレクター | 事業会社のディレクター | |
---|---|---|
仕事内容 | Webサイトの制作 | Webサイト、サービスの制作~運用 |
顧客 | 企業・行政機関 | 自社サービスのユーザー |
目的 | 依頼を受けて、Web制作を行う | KPIの改善 |
感覚 | 納品して完了 |
特定のWebサービスと じっくり付き合う |
主なコミュニケー ションの相手 |
クライアント 社内のチームメンバー |
社内メンバー |
求められる スキルの傾向 |
アート、クリエイティブ 納期管理 営業、提案スキル |
企画・マーケティング KPI改善(Web解析) |
こういう方に おすすめ |
モノづくりが好き ディレクターとして経験を積みたい |
手掛けたWebサービス=我が子 のようなものと感じたい |
制作会社、事業会社どちらを目指せば良い?
ここまで、Webディレクター職において、制作会社と事業会社で業務内容が異なることをお伝えしました。
転職先として人気なのは、比較的ゆったりとした時間感覚で働けて、自社サービスをじっくり育成できる事業会社です。一方制作会社のディレクターは、提案、営業などクライアントとの折衝が多岐にわたり、時に厳しい交渉になる傾向にあり、転職先として敬遠する方も多い様子…。
とはいえ制作会社に入るメリットもあります。Webサイトの提案力や、予算、スケジュールなどの管理能力を磨きたいのであれば一度は制作会社のディレクターの経験を積みましょう。1つのサービスに長期的に関わりたい場合は、事業会社のディレクターを目指すと良いでしょう。
ちなみに一度制作会社に入ったからといって、事業会社へ転職できないわけではありません。むしろ制作会社でWebスキルを磨いたディレクターは、事業会社でも歓迎されています。人材が流動するスピードが速いのも、Web業界ならではですね。
Webディレクターの年収は?なるために必要な資格は?
平均年収:452万円
男性 481万円
女性 412万円
20代 366万円
30代 464万円
40代 530万円
50代~ 573万円
(出典元:doda 平均年収ランキング 最新版)
Webディレクターの年収を調査したところ、平均は452万円との結果が。日本全体の平均年収、414万円と比べると比較的高いものとなっています。
ただこれはあくまで平均であり、未経験で入社する場合は、みなし残業代込みで21万円~と、新卒レベルとなるのを覚悟しておきましょう。
とある実際の求人票↓
それでは、未経験からWebディレクターになるために、必要な資格はあるのでしょうか?
Webディレクターになるにはどんな資格が必要?
Webディレクターになるために必須の資格があるわけではありません。
Webディレクター試験、Webリテラシー試験など、Webディレクターとして働くにあたって必要な知識が身につく検定などはあります。しかし、これらはあくまで話のネタになる程度で、それによって評価されることはほぼないに等しいため、熱心に取得をする必要はないと言えるでしょう。
未経験者歓迎のWebディレクター求人は全体の5%以下。その傾向は?
インターネット広告の費用は、5年連続で成長率10%以上をキープしており、2019年にはついにテレビメディア広告費上回りました。インターネット広告の市場規模が拡大していくなか、Webディレクターの需要も増加していくでしょう。
(引用元:2019年 日本の広告費|電通)
それでは、未経験からWebディレクターになるためには、どのようにお仕事探しをすれば良いのでしょうか?
結論から言うと、未経験からのWebディレクター転職は、なかなか狭き門との情報が…。
ここで、リクルートが運営する大手求人サイト、「リクナビNEXT」を見てみましょう。
リクナビNEXTで、Webディレクター職を含む求人を検索したところ、全体の件数は1,172件。
(引用元:リクナビNEXT)
このうち、未経験を歓迎している求人は53件でした。
(引用元:リクナビNEXT)
それでは、未経験者OKのWebディレクター求人の内容はどうなっているのでしょうか?
未経験者OKのWebディレクター求人の内訳は?
未経験者OKのWebディレクター求人を調査したところ、制作会社/事業会社の割合はちょうど半々くらいでした。
そして求人を眺めているうちにわかったのは、なんと事業会社求人のうち、半数以上がエージェント経由でしか応募ができないものだったのです…!!
ここから推測が混じりますが、事業会社でWeb専門部署を持っている企業は、より、新しいメンバーが「社風に合う人材か」を重視しています。スキルのみならず人格面も含め厳しい選考になるため、書類選考前に程度足切りができるエージェント求人に偏る傾向にあると思われます。
つまりここまでをまとめると、制作会社でWebディレクターになりたい場合はリクナビNEXT、Green、Wantedlyなどの転職サイトへ。
事業会社に行きたい場合は、リクルートエージェントがおすすめです。
またどちらかといえば、リクルート系、dodaなどで取り扱う求人は、安定志向の方におすすめです。
もしベンチャー志向の場合は、ベンチャー求人が多く集まる転職サービスの利用をおすすめします。
制作会社or事業会社 | 安定志向 | ベンチャー志向 |
---|---|---|
制作会社の ディレクター志望 |
リクナビNEXT | Green,Wantedly |
事業会社のディレクター志望 |
リクルートエージェント マイナビエージェント |
Geekly |
リクルートエージェント、マイナビエージェントの口コミとアンケートはこちら
Webディレクターへの転職、なかなか決まらない場合はどうしたら?
そうはいってもなかなかWebディレクターへの転職が決まらないこともあります。その場合、若いうちだけ使える手段ではありますが、アルバイトなどでアシスタントディレクターから入るのも一つの手です。
たとえば、IT・Web業界特化の求人サイト「Find Job!」では、Webアシスタントディレクターの求人が、時給1,200円~2,000円で募集があります。まずはアシスタントディレクターから経験を積み、その後ディレクター職で正社員を目指すのも一つの手ですね。
(とはいえやはり、アシスタントから正規のディレクターになるまでには数年を要するので、正社員での採用を決めるのが一番良いと思います。)
まとめ
今回は、未経験からWebディレクターになりたい方に向けて、事業会社、制作会社の2つの側面から転職方法をお伝えしました。
ポイントは、
- 折衝力やプロジェクト管理力を磨きたい場合は、制作会社を目指す(求人サイトから応募可)
- 自社サービスやユーザーに深く関わりたい方は、事業会社を目指す(転職エージェントの求人が多数)
- なかなか決まらない場合は、アルバイト採用もあり…といえばあり。
この記事をお読みの方が、Webディレクターの転職へ一歩を踏み出すきっかけになれましたら幸いです。