未経験で広報になるには?資格は不要!仕事内容とキャリアパス・将来性
広報は、企業経営と密接に関わる仕事です。文系職種のなかでも花形といえるでしょう。
この記事を開いたあなたは、未経験から、広報職への転職にご興味がおありですね?一方で、具体的に広報に求められる役割や、他のマーケティング関連職種との違いをバッチリ理解しています!という方はそう多くないのでは…?
そこで今回はそんなあなたのために、未経験から広報になるために知っておきたい業務内容、求人の探し方をお伝えします!
広報の仕事は、企業と社会の接点づくり
広報業務とは、PR活動の一部に位置づけられる活動です。
「PR」は、Public Relationsの略称で、日本語では「社会(一般の人々)との関係性づくり」と訳されます。つまり、広報の概念=社会(一般の人々)と、企業の接点づくりをするお仕事です。
広報の仕事で代表的なものといえば、ニュースリリースの発信です。ニュースリリースとは、報道機関※に向けた情報提供をいいます。企業活動や新商品の発売情報などを、ニュースリリースによりわかりやすく整理してメディアへ発信し、企業/ブランドイメージをアップしたり、取材を獲得したりするのが、広報の仕事です。
新聞社、放送局、出版社、通信社のことです。また、新聞、テレビ、雑誌、ラジオを4マス媒体といいます。
広報と広告の違い
ちなみに「広報」と混同されがちな用語として、「広告」があります。広報と広告の違いは何でしょうか?結論から言うと、無料で紹介してもらうのが広報、有料で宣伝枠を買うのが広告です。
アメリカマーケティング協会による広告の定義は、「広告主の名を明らかにして、アイデア、製品そしてサービスを有料の形で人を介さずに提示し、また勧めるもの」とされており、日本の広告業界や関係者もこの定義をおおむね受け入れています。
たとえば、新製品を発表する場合、広報活動(プレスリリースの発信)は、あくまで報道機関への情報提供が目的であり、番組や記事を直接購入したり、その配信日時を指定したりすることはできません。とはいえ取り上げてもらえれば、中立的な立場から情報が発せられることで、信頼性の高い情報発信ができます。
一方、広告であれば、企業が広告を出したい媒体に対して広告費を払うことで、あらかじめ設定された広告枠に情報を流すことができます。具体的には、テレビやラジオCM、雑誌のページ、インターネット広告(リスティング広告・記事広告等)がこれに該当します。
広報の具体的な仕事内容とは
それでは、広報の仕事には何が該当するのでしょうか?実は、広報の仕事は「自社や製品の知名度をアップする」だけにとどまりません。
分類 | 業務の内容 | 目的 |
---|---|---|
メディアリレーション |
プレスリリース プレスセミナー 記者懇親会 プレスツアー プレスキット |
メディアと良好な関係を構築 メディアを通じて自社、 自社製品の認知を拡大 |
自社メディア運営 |
企業サイト 広報誌 オリジナルコンテンツ (オウンドメディア、SNS) |
自社による媒体を運営して、 自社をアピール 自社ファンとの 強固な関係性づくり |
記者発表 |
記者発表会 プレスパーティー |
特に重要なテーマを披露する |
社内広報 |
社内広報誌の制作 広報活動の報告 情報交換 |
社内の相互理解を促進 広報活動の報告 |
専門領域の広報 | IR、環境、採用広報 | 専門部署と連携する |
危機管理 |
記者会見 メディアトレーニング |
重大な問題が起きたとき、 対処法をまとめて支援する |
大手企業では、それぞれの業務ごとに担当者を置いていますし、スタートアップでは一人の担当者がこれらすべてを担当することになります。
大企業の広報と中小企業の広報
大企業の広報と中小企業の広報の大きな違いは、「メディアリレーションの難易度」です。
既に社会的に影響があり、一定の価値があるとみなされる大企業では、取材獲得の難易度は高くありません。メディア側から取材依頼のアプローチがあります。
一方、中小企業では、プレスリリースを送り続けても反応がない、ということが少なくありません。
そのため転職市場では、中小企業でメディアリレーションを成功させた、という経験が高く評価されます。
今求められる人材~Webを使用した広報活動~
広報活動の裏では、緻密な数値分析が行われています。特に近年では、インターネットにおける広報活動、認知拡大により価値を最大化しようとする取り組みがあります。
。少し前の話ですが、BuzzFeed JapanのSNSチームが運営する女子向けアカウント「Buzzfeedkawaii」のTwitter分析方法が公開され、一時期話題になりました。(現在削除済)
BuzzFeed Kawaiiは、スマートフォンでTwitterを閲覧するユーザー向けに、トレンド情報が一目でわかるよう作りこまれた画像を発信し、高いエンゲージメントを獲得しています。2019年11月のフォロワー数は45万人超え。最初は予算ゼロ、ノープロモーションで達成したんだとか。すごい。そして、この偉業の裏側では、1ツイートごとにエクセルで管理表を作成し、エンゲージメント率や、RT率などを詳しく分析していたそうです。
広報の仕事内容は、地道な作業の積み重ね
お伝えしてきたように、広報職の仕事内容は、メディアとの関係性づくりから危機管理まで多岐にわたり、華やかなイメージとは裏腹に、日々の地道な作業が大半を占めるのをおわかりいただけましたでしょうか。
華やかな舞台の裏では日々、正確な情報をわかりやすく発信し、社会と関係性をつくることや、コンプライアンス、そして数字の積み重ねとの戦いが繰り広げられているのです。
BuzzFeedkawaiiのように、SNSの運用で成功している場合は、ユーザーの反応から、消費者の声を直接拾い上げ、商品企画に反映させたり、経営層に情報を提供したりするのも可能となり、頼りになる広報担当者として一目置かれることになるでしょう。
それでは、そんな広報職の年収はどれほどでしょうか?
広報職 転職データ
平均年収
dodaの調査によると、広報職の平均年収は472万円。
日本の平均年収の414万円よりも高く、マーケティングの職種の中ではやや低く抑えられる傾向にあります。
職種 | 年収 |
---|---|
広報 | 472万円 |
マーケティング | 490万円 |
マーチャンダイザー | 491万円 |
リサーチ/市場調査 | 514万円 |
営業企画 | 530万円 |
(引用元:平均年収ランキング 最新版)
とはいえこれはあくまで平均値です。
スタートアップ企業の広報の場合はより安く抑えられる傾向にありますし、敏腕広報・PR担当者として出世すれば年収1,000万円でも夢ではないでしょう。
求人サイトのリクナビNEXTから未経験者歓迎の求人の年収をいくつか抜粋してみました。
月収20万円~ 専門学校の事務&広報
月収25万円~ 美容業界広報
月収30万円~ 英会話スクール広報
(引用元:リクナビNEXT)
結果、月収は20万円代~30万円と幅広いのがわかりました。また未経験者歓迎の求人の特徴としては、「未経験でも、業界に対して熱い思いを持つ方」を歓迎要件に挙げている企業が多い様子。広報が会社の顔である以上、モチベーションが高く、笑顔の多い方を採用したいという思いが強いようです。
また中小企業、ベンチャー企業の求人では、広報職と相性の良いスキル(たとえばPhotoshop,Illustrator)などのスキルを持つ人材は月収も高めになる傾向がありました。外資系企業では、英語力を条件に挙げている求人が多いようです。
未経験OKの広報職求人を探すには?
実際に今から応募できる未経験者歓迎の広報求人を探すにはどうすれば良いのでしょうか?
未経験者を歓迎している広報職の求人は、そう多くはありません。そもそも広報職自体が人気職種ですし、大手企業では1つの求人票に対して数百人の応募があるのも珍しくないとの情報も。また、どの職種でもそうですが、大手企業では未経験者よりも経験者を採用する傾向です。
そのため、大手企業の広報職になるのは一旦選択肢から除外し、諦めましょう。そして、中小企業、ベンチャー企業として経験を積むことをおすすめします。
大手求人サイト、リクナビNEXTで求人件数を探したところ、広報職の求人165件のうち、未経験者を歓迎しているのは33件です(2019年11月調べ)。
この厳しい戦いを勝ち抜くためにアピールするポイントとしては、何らかの関連スキルを活かして、外資系企業、中小企業、地方求人のいずれかを目指す方法です。
外資系の企業では、汎用性の高いスキルと英語力が求められています。広報職としては未経験でも、関連する経験や、企業が求める経験にマッチしたものをお持ちであれば採用の可能性があります。(そして外資系では、未経験でもお給料が比較的良い傾向にあります)
中小企業では、幅広い業務を担当できる、広報担当者が求められています。未経験であっても、広報用の素材(プレスリリースの文章や画像、SNS投稿など)を一人で作成できれば、即戦力として採用される可能性があります。またインターネット活用はどの企業も力を入れようとしている分野です。Web系のスキルは身に着けやすいため、他社のプレスリリースを読んで勉強したり、画像を処理したり、SNS用を運用してみたりなどして、他の応募者と差をつけるのをお勧めします。
もしあなたが、地方で働きたい場合は、地方に移住してその土地や、地方企業ならではの魅力を発信する広報になるのをおすすめします。地方で働くメリットは、都心部に比べて生活コストが安くなることです。時間感覚的にも、比較的ゆったりしたなかで働けるでしょう。デメリットはトレンドが収集しにくいこと、生活コストが安い分給与も低く抑えられる傾向にあることです。
未経験から広報担当者を目指す際、志望動機には何と書けば良い?
ここまで、未経験OKの広報求人を探す方法をお伝えしました。実際に応募する際に、必須項目になるのが志望動機です。とはいえ、未経験からではPRするネタもないですよね…。そこで今回はこの記事をお読みのあなたのために、志望動機を捻りだす方法をお伝えします。
たとえば、この求人に応募したいとします。
こちらは実際に求人サイトに掲載されていた実際の求人票です。典型的な中小広報の求人内容となっています。仕事内容として、
- SNSの更新、管理、分析、リアクション
- Web更新、外注先への指示、折衝
- 当社のファンを増やすための施策の企画、進行
が挙げられています。特にWebに重点を置いているのがわかりますね。
このような求人に応募する際、自己PRとして必要なのは、求人の研究ならびに、あなたのスキルの棚卸しに加え、その2つが「つながっていますよ」とアピールをすることです。具体的な言い方の一例をお伝えすると…
たとえば、プライベートでSNS利用に自信があるなら…
たとえば、営業出身なら…
たとえば、ECサイトの運営経験があるなら…?
このように、求人票に書かれている要件の一文一文を詳しく読み解き、自分の経験やスキルと結び付ける作業が必要と言えるでしょう。一見むずかしそうに思えるかもしれませんが、広報は求められる役割が幅広いからこそ、つなげようがあります。ぜひ時間のある時に、あなたの経験と、広報に求められる役割が重なっている部分があるかを考えてみてくださいね。
- 業界専用テンプレで選考通過率UP
- 面倒な「自己PR」文もカンタンに。忙しい転職活動を効率化
- 作成するだけで、自然と転職のコツが身につく
- Wordが無くても大丈夫。Googleドキュメント版で手軽に編集可能
その他、応募先企業の業種を絡めてアピールする方法もあります。
志望動機の例~応募先企業の業種を絡めてアピールする場合~
現職では化粧品販売業で運用型広告を担当しています。主に広告管理画面上でのデイリーでの調整や、ランディングページ改善が業務のメインです。化粧品の店頭販売がメインだった御社が、これからWebを使った広報に力を入れていくとお伺いし、同じ業界でWebマーケティングを経験してきた私の経験が活かせるのではないかと思い応募いたしました。
この路線で転職活動をする場合、そもそも「現職と同じ業種・業界の応募先を探す」というのがポイントになりますね。
まとめ
今回は、広報職の役割の定義と、求められる役割の重要性や特徴、未経験から広報担当者を目指すためにはどうすれば良いかをお伝えしました。未経験から広報担当者になるには、決して楽ではありません。しかし、不可能ではありません。この記事をぜひお気に入りに登録して、未経験からの転職にお役に立ててくださいね!