最近はデジタルマーケティングの普及で営業パーソンの非効率性を指摘する論調が目立ちますが、筆者はそうは思いません。
時代に合わせて販売のあり方が変わっても、営業という仕事はむしろその重要性を増しているように感じられます。
世の中「営業」を下に見る風潮があるけど、それは経営を分かっていない人
自社に営業組織がある人は営業の大切さを分かっている
営業はリード獲得と提案活動に分かれる・提案活動は経験でカバーしやすい
・リード獲得ができる営業は希少人材なので最近はリード獲得はマーケ組織が担うことが多い
— 吉岡諒🔥SEO@ウィルゲートCOO/共同創業者 (@seoamigo) April 9, 2020
求人の量は昔と変わらず多く、ある程度経験があれば転職が比較的容易とされる営業職ですが、問題は転職した後。
商材や商圏が変わることによって苦労や挫折を経験する方も多いです。
そのため採用サイドとしては「最初は現状維持で採用して、半年~1年間実績をあげてもらってから年収を判断したい」のが本音だったりします。
ですから入社時から年収アップを勝ち取るためには「なんとしてもこの人がほしい」「この人なら売上を変えてくれそうだ」と感じてもらうことが重要。
そのためのポイントは4つあります。
ポイントが多いので必要なところだけ御覧ください、クリックで解説にジャンプします
順番に解説していきます。
(1)「営業は数字で語れ」の嘘
よくこの手のコラムで見かけるアドバイスとして、営業はとにかく数字。職務経歴書では具体的な数字で成果を盛り込んでというものがあります。
これ、半分本当で半分ウソです。
私も採用側として営業職経験者をたくさん見てきましたが、それぐらいのことはもはや常識でどの応募者でもやっています。
- 売上◯万円で新人賞受賞
- 四半期目標達成率200%
- 受注率40%を達成。部門MVPを獲得
などなど。もちろんこの実績・成果自体は素晴らしいです。営業パーソンの努力と才能の結晶といえるでしょう。
でもこと転職に関して、採用側は「ふーん」という感じです。なぜなら採用側はあなたの職場環境も商材も市場も知りませんから、この凄さがいまいちピンとこないのです。
なんなら採用側には真偽する確かめる術はありません。
ですから200%達成でも300%達成でもその数字自体に意味はありません。
だから採用側はどうするか。
面接でその過程(プロセス)を質問します。
採用側が気になっているのはその営業が持つ努力体質です。
特に異業種への転職の場合、どんなスーパーセールスもなれない環境に苦労するのを知っていますから、それを乗り越える人かどうかをこれまでの成果ではなく過程(プロセス)を質問から見極めようとするのです。
だから、応募者側として重要なのは、
- どうやってその成果を実現したか
- どんな苦労があって、どのように乗り越えたか
- その学びは次の職場でどうやって活かすつもりなのか
を明確にして面接に臨むことです。
例えばこんな感じです。
過程を伝える自己PR文例
セミナーなどのリードもありましたが、新規獲得の基本はテレアポです。
これが最初のハードルで、最初は闇雲に1日100コールこなしましたが、ご迷惑になるばかりでまったくアポになりませんでした。
そこで私は業界新聞を取って、新しい人事制度や採用の仕組みを取り入れた企業に「記事を見て電話しました」とご連絡するようにしました。
すると受付突破率がほぼ100%になり、毎日コンスタントに新規アポが取れるようになりました。
単に「テレアポで苦労した」「がむしゃらにがんばった」経験ではなく、工夫して乗り越えたことを具体的に伝えているのがポイント。ちなみに上記は筆者の実体験です(笑)
転職市場では、「営業は数字だけでなく過程でも語れ」であることを覚えておいてください。
(2)同業種 or 異業種?
同業に転職するか、異業種に転職するかは悩ましい問題だと思います。
- 同業他社(ライバル会社)への転職 → ナシ
- 競業避止義務(※)に抵触する恐れがありますし、そうでなくともライバル会社同士の上層部間で繋がりがあって業界から総スカンを食らう可能性もありますので避けた方がよいです。
- 同業界・異業種への転職 → 超おすすめ!!
- 現状の不満を解消しつつ年収アップが実現されやすく、一番おすすめのコースです。
- 異業界・異業種への転職 → 覚悟できるなら可
- 年収ダウンは必至。また未経験同然の立場でゼロからやり直す覚悟が必要です。
一番のおすすめは同業界・異業種への転職です。
これは例えば中古マンションのセールスから新築マンションのデベロッパー、Web制作の営業からWeb広告の営業、CRM開発のIT営業から名刺管理ソフトウェアのIT営業など。
理由は3つです。
- 業界の全体像がわかっている。→ 業界内で競争力のある会社を選びやすい。
- お客様が変わらない(マンションだったらファミリー層、Webならマーケティング部署など) → 経験が評価されて年収アップしやすい。なにより入社後早期に活躍しやすい。
- 競業避止義務に抵触しない
ちなみによくBtoC、BtoBという括りで訴求する方がいらっしゃいますが、定義が広すぎるのでアピールポイントになりません。
採用側もそういった見方はしていません。
たとえば同じBtoCでも一戸建ての営業と生命保険のセールスではまったくの別モノですよね。
※ 労働法における競業避止義務とは
一般の企業において、従業員の退職後に競業他社への就職を禁ずることを定めた、誓約書や就業規則に含まれる特約(競業禁止特約ともいう)
競業避止義務 / ウィキペディア(Wikipedia)より引用
同業界、異業種転職の志望動機の文例
最初は苦労しましたが、人事向けノウハウブログを開設したりHR系の勉強会に参加したりしている内に知り合った方々からお仕事をご紹介いただけるようになりました。
しかし「ポータルサイトでいくら集客してもリソース不足で面接で会うことがかなわない」という顧客の声を多数耳にしており、自社サービスだけではこの問題の本質的な解決は難しいと感じました。
御社のWeb面接サービスは兼ねてから耳にしており興味をもっておりましたが、今回求人を拝見し、これまで培ってきた経験やHR界隈での人脈が活かせるものと思い応募致しました。
新卒採用向けのポータルサイト→Web面接採用の間をつなぐ存在である「HR」という文脈を盛り込むのがポイント。
(3)営業からマーケティングを目指すならインサイドセールス
最近、IT業界などでインサイドセールス(内勤営業)という職種が増えています。これは一次リードに対してのフォロー、受注確度の確認やヒアリング、アポイント獲得などを行うもので、CRMやSFAの一貫として位置付けられています。
BtoB(特にIT業界)で導入が進んでいるポジションです。
これに対してお客様にお会いしてプレゼンやクロージングを担当する営業(私達が一般に想像する営業)のことをフィールドセールス(アウトサイドセールス、外勤営業)と呼びます。
単純な年収だけでいえばこのフィールドセールスの方が上です。
インサイドセールスは電話やメールでのフォローがメインで、ルーチンワークに近い仕事も多いからです。
ですからやっぱり営業はお客様にお会いしてなんぼ、という方はそのままフィールドセールスを突き詰めていく方がよいと思います。
しかし!
インサイドセールスにはインサイドセールスにしか無いキャリアの展望があります。
それはマーケティング職への道が拓ける(ひらける)こと。
インサイドセールスはメルマガの配信やMA(Marketing Automation)など、特にWebマーケティングと親和性の高い仕事です。
そのためインサイドセールスはゆくゆく、マーケティング部門と同化していくであろうと言われています。
そのためマーケティング職を目指す営業にとって最高の登竜門となります。
こちらは、実際にマーケティング職をにらんで営業職からインサイドセールスへ転職された方の転職体験記です。
営業を経験したからこそ感じたインサイドセールスの真価 | マーキャリMEDIA
前職では、不動産会社で戸建て分譲住宅販売の営業職についておりましたが、マーケティング活動に対して予算を確保している企業ではなく、営業マンがリード獲得やナーチャリングなど、受注に至るまでのすべての業務を担当していたそうです。
そうした営業手法に疑問を感じていたところ、インサイドセールスの求人を見て初めてこの職種の存在を知ったといいます。
営業としてのの経験を活かしつつ、マーケティングとしての知識を一から学べることに魅力を感じて応募、首尾よく合格し転職されました。
この方のように、実際に「マーケティングの知識ゼロ」「ITの知識ゼロ」といった状態の方でも、営業職の方ならインサイドセールスとしてスタートしてマーケターの道に進むこともできるのです。
そして、国内のCRMアプリケーション市場の拡大により、需要の高まっている職種でもあり求人数も増加傾向にあること追い風も吹いています。
(引用:国内CRMアプリケーション市場売上額予測 2020年~2024年|IDC Japan 株式会社)
なお、インサイドセールスの求人はdodaに多いです。
(リクルートエージェント181件、マイナビ32件に対してdodaは334件、いずれも2020年3月時点)
インサイドセールスは比較的新い職種で外資に多いポジションであるため、外資に強いdodaに求人が集まっているようです。
インサイドセールスとして応募する志望動機例文
1-2年めこそ目標未達でしたが、3年めは34社のお客様にご導入いただき111%での達成となりました。
安価で導入しやすいのが売りのパッケージとはいえCRMの導入にあたってはハードルが多いので、担当者様の負担を減らせるよう導入前の仕様策定や導入後の運用まで踏み込んでお手伝いしていたのがなんとか達成できたポイントだと思います。
CRMを経験したことでマーケティングの世界に強い関心を持つようになっており、営業経験もいかして今後はマーケッターを目指していきたいと考えていたところです。
そんな中、今回の募集は新規にリリースされるSFAのインサイドセールス募集ということで、これまでの営業経験を活かして成果を上げながらマーケティング領域の知見を広げるのにぴったりの職場だと考え、ご応募いたしました。
なぜインサイドセールスなのか、が過去の経験と今後の展望の両面から伝わるようになっていると説得力が増します。
(4)プロフェッショナル or 管理職?
営業職には月給30万円の壁があります。この壁を突き破ってキャリアを突き詰めるなら進路は2択です。
どちらを選ぶかは価値観次第ですが、成果報酬の世界は肉体的にも精神的にも非常にハードであるため私としては管理職コースをおすすめしたいところです。
管理職を見据えた転職ならリクルートエージェント
まず一点目ですが、将来的に営業部門の管理職になることを見据えて転職するのであればリクルートエージェントをおすすめします。
なんといってもリクルート自体がかつては最強の営業集団と言われた企業ですから、営業職として転職するにあたって最高のアドバイスをもらえるはずです。
営業の転職に強い
人事部だけでなく事業部から非公開求人の依頼を受けているケースもあり、常時30万件以上の求人を掲載しています。営業所が多く、地方求人でも頼りになります。
利用者の口コミ
- 34歳 男性
最大手だけあって面談にいくといきなりすごい量の求人票を提出されます。
- 28歳 女性
やっぱり求人数は魅力的。期待を裏切らない内容でスムーズに転職できました。
- 30歳 男性
求人票はたくさんいただけるのですが数が多すぎて、吟味するのに少し時間がかかりました。
プロフェッショナルとして生きる方におすすめしたい、外資という選択肢
次に2点目ですが、成果報酬(コミッション、歩合)の割合が高い業界には「生保」「金融」「不動産」などがあります。
御存知の通り結果がものをいうハードな世界ですが、その分リターンは最高峰。
特に外資のセールスパーソンは顕著で、トップセールスでは年収が2,000万円を超える方もいます。
ただし外資への転職ルートはやや特殊です。
なぜなら大手の外資系企業はダイレクトリクルーティング(ダイレクトソーシング)を重視しているからです。
ダイレクトリクルーティングとは転職エージェントの仲介を受けずに、必要な人材を自社で発掘し、アプローチすることです。
そのため例えばリクルートエージェントのような大手エージェントに登録しても、有力な外資系企業の求人票を受けることは困難です。
外資系企業ではダイレクトリクルーティングのためにリクルーターと呼ばれる専門部隊を組織しています。
リクルーターの役割は現場サイドからの要望に合う人材(転職予備軍)を発掘し、採用プロセスへ導くことです。
Amazon、Microsoft、Salesforceなどの日本法人では、社内に10~30人のリクルーターを配置しています。
大手外資系企業への転職の最短距離は彼らリクルーターの目に留まる事です。
リクルーターに接触することができれば、「どんな求人票(Job Description)があるのか」「合格するにはどんなアプローチが有効なのか」を知ることができます。
この外資系リクルーターが人材の発掘に利用しているのが、レジュメバンクと呼ばれる転職サービスです。
これは一般的な転職エージェントと異なり、あなたが登録した履歴書が人事やリクルーターに匿名で閲覧されるサービスです。
中でもビズリーチはGAFAのリクルーターも利用しているといわれています。
外資への転職をお考えなら登録しておく価値は十分あります。
ビズリーチ
外資系リクルーター・ヘッドハンター多数
登録ヘッドハンター約3,800人。中にはGAFAなど大手外資のリクルーターも。
利用者の口コミ
- 36歳 男性
外資のリクルーターがとにかく多い。レジュメはしっかり書くことをおすすめする。
- 30歳 男性
自分のタイミングで転職活動を進められるのは良い。転職が決まるとお祝いが貰える。
- 28歳 女性
大手企業の人事もかなり見ているようなので一定以上の経験がある方には向いていると思う。私には不向きだったかな。
営業職の転職まとめ
長くなりましたのであらためてポイントをまとめます。
入社時から年収アップを勝ち取るためには「なんとしてもこの人がほしい」「この人なら売上を変えてくれそうだ」と感じてもらうこと
↓
- 「営業は数字で語れ」ではなく「過程で語れ」
- 同業界・異職種への転職がおすすめ
- 営業からマーケティングを目指すならインサイドセールス
- 管理職志望ならリクルートエージェント、プロフェッショナルならビズリーチ
最後までお読みいただきありがとうございました、皆様の転職活動の成功をお祈りしています。
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