このページは第二新卒の転職に関する考察記事です。第二新卒向け転職サービスの比較をご覧になりたい方は、第二新卒におすすめの転職サイト・転職エージェント比較ランキングへどうぞ。
イメージと違った・・・
やっぱり未練を断ち切れなくて、仕事に身が入らない。
大学卒業後に新卒で入社した最初の会社がイメージと違う。
初めて社会人として仕事をしてみて、自分が会社に求めるものにようやく気づいた。
もう営業は嫌だ。内勤として出直したい・・・
厚生労働省の調査では、2016年3月新規大卒就職者の三年以内離職率は全体で32%となっており3人に1人が三年以内に転職しています。
転職が一般的になった昨今、第二新卒としての転職活動を検討している方も多いのでは。
(引用元:新規学卒就職者の離職状況|厚生労働省)
そもそも第二新卒とは
第二新卒とは、一般的に入社3年以内に初めての転職活動をする社会人を意味します。
「第二新卒」の転職のメリット
- 「未経験歓迎」の求人に応募しやすい(書類選考は高確率で通過できます)
- ビジネスマナーや基本的なOAスキルを身に付けているので特にスタートアップは入社しやすい
- スキルや経験ではなくポテンシャルを見てもらえる
「第二新卒」の転職のデメリット
- キャリアプランが明確になっていないと転職に失敗しやすい。
※大手企業へのリベンジ転職は難しい - 未経験での応募になるため年収が下がりやすい
- 「すぐに辞めてしまうのでは」と思われやすい。志望動機に工夫が必要
なぜ「第二新卒」という言葉が生まれたのか
「第二新卒」の語源は2004年までさかのぼります。
その前年にかけての2000年〜2002年前ごろ、ITバブルが崩壊し日本の新卒採用市場は一気に冷え込みました。
2004年から景気が回復し始めると新卒採用を絞っていた大手企業が人手不足になり、人材紹介会社や転職サービスに100人単位での若手人材募集を発注したのです。
特にメガバンクや大手電気メーカーが積極的に22~24歳の若手を刈り取りました。
依頼を受けた転職サービス各社(特にリクルートや学情)は、「第二新卒」というキーワードを急速に普及させました。
これが第二新卒の成り立ちです。
第二新卒でも、大手への転職は狭き門
ところがその後、2008年のリーマンショックによって日本の採用市場は再び氷河期を迎えます。
この影響は当然第二新卒にも及び、2008年~2009年にかけての一時期ぱたっと第二新卒というフレーズを聞かなくなりました。
※筆者による概念図
こうして景気の波に遅れて引っ張られるのが大手企業の第二新卒需要なのです。
ですから、大手へ再就職できるかは景気次第なのです。
まったく第二新卒を取らない企業も
しかも、景気に関係なく第二新卒をまったく採用しないという企業もあります。
大手総合商社(いわゆる御三家)や電通がそうです。
新卒で入社が叶わなかったあこがれの会社に入りたい・・・ステータスを手に入れたい、合コンでモテたい、会社のお金で飲みまくりたい!といくら願ったとしてもこういった企業への転職は叶いません。
筆者は明治大学の出身ですが新卒で総合商社への就職が叶わず、京セラの海外営業として入社したものの諦めきれずに3年目にリベンジ転職を志して転職エージェントに相談した同級生がいます。
結局転職エージェントから折の良い返事はもらえず、ずいぶん肩を落としていました。
幸い彼の場合は退職してからの転職活動ではありませんでしたが、もし勢い余って会社を辞めてしまっていたらと思うとゾッとしてしまいますね。
大企業へのリベンジ転職はおすすめできない
結局、大手に転職できるかどうかは
- 景気次第
- 応募先次第
であることを理解していただけましたでしょうか?
そもそも過去の就職活動をいつまでも引きずって生きていてもあなたにとってプラスになることは何一つありません。
ビジネスパーソンにとって就職はゴールではなくスタートです。
あこがれの電通や三菱商事もいざ就職してみたらものすごく過酷な現場かもしれません。人間的にまったく尊敬できない上司の元に配属されてしまうかもしれません。
反対に、今の職場でまったく違った世界が見えてくるかもしれません。
あなたの知らない中小企業の中にあなたが本当に輝ける場所があるかもしれません。
リベンジ転職からは何も生まれません。過去ではなく「これから」を見据えて転職しましょう。
唯一の例外は「地銀→メガバンク」コース
補足ですが、地方銀行の営業を2~3年経験した方はメガバンクへ入行する例は割と多いです。
メガバンクは第二新卒の大量採用をもっとも積極的に行っているからです。(ただしこれも好景気の時に限る)
本当はメガバンク志望だったけど滑り止めとして地銀へ入行した、という方にはチャンスはあります。
もちろんそれがその人の職業生活にとっての幸せかと問われれば、それはまた別の話です。
経験を積んだバンクマンであれば同じ感想をお持ちいただけるかと思いますが、筆者としては、地銀→メガバンクの転職はすすめません。特にリテール職であれば地方銀行の方がメガバンクよりも位置づけは上で、幹部候補です。
大事なのは自分自身の市場価値であって、所属企業の格ではないのです。
実は第二新卒の採用に積極的な振興スタートアップ
実は第二新卒の採用にもっとも積極的なのは振興のスタートアップ企業です。
第二新卒の強みのひとつが「一通りのビジネスマナーや社会常識、OAスキルを習得していること」です。
この点が採用・教育コストをかけにくいスタートアップ企業にとって魅力となります。
スタートアップ企業は「成長意欲」と「ポテンシャル」を重視しますから、これらを明確にアピールできれば内定は近いです。
「大手企業のしがらみや重厚長大の組織体系に嫌気が指した」という方にはおすすめの転職先です。
ただしこれまでのように年功序列での給与アップは望めませんし、相応の年収ダウンにも覚悟が必要です。
第二新卒の転職を成功させるポイント
ちょっと待って!
第二新卒が安易に転職を考えるのはとっても危険です!転職活動をはじめる前に考えて欲しいことがあります。
現状不満で心機一転は危険。本当に転職すべきなのかをよーく考えて。
筆者は新卒でうっかり社員15名のベンチャー企業に入社してしまいました。
そんな境遇ですから以下のような後輩の話を聞いたとき衝撃を受けました。
- 毎日定時に帰っている、NTTグループの超ホワイト企業
- (私の経験と比べると)かなりの高給をいただいている
- 入社3年め
- 本人いわく「縦割りの会社だし、あまり華やかな部署ではないから辞めたい」
さすがにこのときは全力で止めました。今どきこんなに恵まれた職場はありません。
また、現状の不満を言うだけで「会社を退職して何がしたいか」を明確に語れないこの彼が転職活動でうまくいくようには到底思えませんでした。
少なくとも第二新卒の転職先として有望なスタートアップ・ベンチャーは彼のような人材を必要としないでしょう。
なぜなら「やりたいことがわからない」人ほど企業情報の収集が不足して「なんとなく良さそう」「面接の雰囲気が良かった」「企業理念に惹かれた」などの曖昧な理由で入社を承諾しやすいからです。
大手ホワイト企業からの転職。なんとなく自分のやりたいことができていないような気がして退職し、耳障りの良い事を言われて入社した会社が超ブラック体質の営業会社のだった。
後悔しても後の祭り、前職の影を追い求めて転職を繰り返す日々・・・
世の中にはこんな残念な転職事例がたくさんあるのです。
きっかけは「現職が嫌だ」でも構いません。
しかし、「転職で何を変えたいか、何を目指したいか」を必ず明確にしてから応募先を選ぶようにしてください。それが明確に見えてこない方は、今転職すべきではないということなのです。
ちなみに先程お話した大学の同級生はその後、彼は転職を諦めたようで京セラでの仕事に没頭。30代にしてマネージャになり、同年代では最大級の評価を受けながらバリバリ働いています。
NTTグループで働いていた後輩もまた転職すること無く2年後を迎え、リーダー職に昇進しました。
年収アップが目的なら
とにかく年収をあげたい。
自分のやりたいことや願望に向き合った結果、この方のように「年収アップ」が究極の目的だというハングリーな方もいらっしゃるでしょう。
そういった方にこそ一度思いとどまって欲しいと思います。
なぜならビジネスパーソンは26~31歳の間に年収アップの最盛期を迎えるからです。
以下のグラフは転職で年収アップした人の年齢別グラフです。
(引用元:転職で年収アップするのはこんな人(doda))
年収アップしやすい年齢は27~29歳。転職活動をはじめるのはこれぐらいの年齢でも遅くはありません。
社会人経験を活かして、自分がいきいきと働ける職場を見極めよう
転職の方向性がきちんと定まったら、学生時代には無かった広い視野で応募先を見極めてください。
第二新卒を厚遇しているのはスタートアップ企業だけではありません。
知名度はないけど世界シェアの高い製品を開発している製造業や、地方にある伝統的な企業なども第二新卒としての有力な候補となります。
例えば創業50年を超える熊本の胡麻メーカーは経営陣の交代を機に、オンラインや動画を使ったマーケティングに力を入れて販路を拡大することを決定しました。その役割を担う人材を若い感性をもった第二新卒に期待しています。
あるいは、京都にある日本茶メーカーは海外向けのeコマースに活路を見出して、「日本の文化を世界に伝える」をコンセプトとしています。せっかく英語を使えるのに、前職では活用できなかった、という方にとってはうってつけの職場になり得ると思います。
会社の看板、知名度に踊らされることなく、「自分が活躍できるかどうか」「自分のスキルやモチベーションが同じ方向を向いているかどうか」で応募先を見極めること、これが第二新卒の転職を成功させるポイントです。
転職エージェントの言葉に惑わされるな!
第二新卒の転職ではよく転職エージェントがおすすめされます。
ほとんどの方が初めての転職でしょうから、筆者も基本的には賛成です。
しかし注意しなければならないのが、転職エージェントは人材を転職させることで料金をもらう商売であるということです。
ですから、キャリアアドバイザーの中には本当にあなたが求める職場ではなく、内定をもらいやすい会社をすすめる人もいます。
第二新卒は未経験歓迎の応募でも内定を取りやすいため、特にこういったオファーが多くなります。
転職活動が長引いて疲れてくるとこういった提案に流されやすくなりますので注意してください。
これはサービスの違いによるものではなく人材サービス業界特有の問題ですから、残念ながらどの転職エージェントを選んでも起こりうる問題です。
ですから転職エージェントは割り切って求人数が多く、サポートが手厚いサービスを選びましょう。この観点で筆者のおすすめはリクルートエージェントとdodaです。転職エージェントとしては非公開求人数がNo.1とNo.2で、国内の求人票はほとんどこの2社に集約されます。
あまりにもキャリアアドバイザーが頼れないようでしたら交代を申し出ることも可能です。
とにかく応募先は自分の目で見て、調べて、自分の意志で決めること!これが大切です。
第二新卒の転職Q&A
Q.20代で転職するのに抵抗があります。
いまや転職が当たり前の時代。20代で転職することは珍しくありません。
以下のグラフは厚生労働省の調査によるもので、折れ線グラフが上にあるほど転職者比率(就業者に占める転職者の割合)が高い、ということです。
年齢階級別転職者比率(2018年)
(引用元:厚生労働省による労働力調査2018年)
年代 | 転職者比率(就業者に占める転職者の割合) |
---|---|
15~24歳 | 11.3% |
25~34歳 | 7.0% |
35~44歳 | 4.5% |
45~54歳 | 3.6% |
55~64歳 | 4.3% |
65歳以上 | 2.3% |
こうしてみると20代に近ければ近いほど転職率が高いことがおわかりいただけますでしょうか。転職をする人はむしろ20代と30代に集中しています。
ですから今の時代20代での転職は当たり前。まったく恥ずかしいことではありません。
Q.第二新卒の志望動機で注意点は?
たしかに面接担当者は「またすぐに辞めてしまわないか」「当社に入社したいと心の底から思っているのか(志望動機に嘘はないか)」を気にしていますので、こういった懸念を打ち消すような自己アピールをしましょう。
そのために、しっかりと企業研究(職種研究)をして、募集職種がどんな業務なのか、をよく把握してから面接に臨んでください。やりがいだけでなく、仕事の辛い部分やネガティブな情報まで知っておくと面接に活きています。
未経験でウェディングプランナー
私は専門学校を卒業してから1年間アパレルショップの販売員として勤務してきました。
最初は自信もありませんでしたし、ずいぶん苦労したのですが、お客様ひとりひとりとの会話をメモしてリピート来店の時にお声がけするようになってから、だんだんとお客様が付きはじめまして、直近の3ヶ月は毎月ノルマを達成できています。
ご指名でお越しいただくお客様のひとりに、私が全身をコーディネートした方がいらっしゃいます。
その方は「人生が変わった」と喜んでくださり、今でもたびたびお店を訪れてくださいます。
そうした経験をする内に、「もっとお客様の人生に踏み込んだ商材を扱いたい」と思うようになり、お客様にとって特別なライフイベントのお手伝いをするウェディングプランナーを志望しています。
ウェディングプランナーはご契約に対する目標をもって活動するという風に伺っておりますから、未経験ではありますがアパレルショップの販売員としての経験を活かしてなるべく早く活躍できるようになりたいと思っています。
<POINT>
- 就業期間は短いながら「苦労を自分の工夫や努力で乗り越えた経験」でガッツをアピール
- 現状不満ではなく将来に言及した前向きな志望動機
- ウェディングプランナーが単なるあこがれの職業ではなく、「実態を分かっていて、それでもチャレンジしたい」という決意を強調
Q.転職回数が何回までなら大丈夫?多いと不利なの?
これは明確に不利です。
20代の求職者に許される転職経験回数には限度があります。
この年代の転職者が転職を繰り返しやすい(いわゆるジョブホッパー)こともまた常識であり、「すぐにまた辞めてしまう根性なしなのではないか」という警戒心は常につきまといます。
ですから20代の転職ではできる限り転職回数が少ない方が望ましいです。具体的には以下の通り。
年代 | 許容転職回数 |
---|---|
22~23歳(第2新卒) | 0~1回 |
24~26歳 | 1~2回 |
27~29歳(即戦力) | 2~3回 |
転職回数がこれを超えている場合、面接では間違いなくそれらの退職理由を問われるはずですので、しっかりと準備をしておきましょう。
特に在職期間が極端に短い(半年未満)会社については具体的な状況まで掘り下げて聞かれる可能性が高いです。
Q.ブラック企業を見分ける方法は?
就職四季報が意外と便利です。ここに出ている「3年後離職率」や「平均勤続年数」が参考になります。
定価2,000円(税別)とちょっと高額ですが、ブラック企業を回避できると思えば安いもの。本屋さんやKindleで購入可能です。
企業分析にも役立ちます。
もうひとつの目安として「若手とベテランのバランス」があります。
社員が20代と40代に集中していて、間となる30代が極端に少ない企業は要注意。
若手を大量に採用しているのに長続きしない(=労働環境になんらかの問題がある)可能性が高いです。
平均年齢だけでは参考にならないので注意が必要です。
Q.第二新卒で年収アップは可能?
第二新卒での転職は未経験の業界や業種へのチャレンジとなります。
このため年収アップは難しく、むしろダウンすることの方が多いです。
Q.未経験でも入りやすい職種や業界は?
まず職種として最有力なのは「営業」です。
特殊な資格を必要としないため、健康で清潔感があれば誰でも受け入れてくれる傾向にあります。
次点としては意外に思われるかもしれませんが「エンジニア・プログラマ」です。
もちろんいきなり一次請けの会社に転職するのは困難です。SESといって、一定期間の研修期間を終えた後に客先常駐として勤務する働き方となります。
(参考:IT業界転職の真実。大手SIerの存在と、未経験からの転職可否)
業界としては無形商材で人柄や熱意を重視されやすい「人材業界」(派遣、研修、採用サービスなど)やWeb系スタートアップは未経験での採用にも積極的です。いずれも「成長意欲」が強く求められますので、入社後も好奇心をもって働き続ける覚悟が必要です。