ハローワークとは、全国に約550ヶ所ある国の行政機関です。
正式名称は「公共職業安定所」といいます。
ハローワークでは、就職や転職に関するさまざまなサービスだけでなく、職業訓練や雇用保険の手続も提供しています。
この記事では、転職活動でハローワークを利用するメリット・デメリットや、ハローワークを通した転職活動の流れについて解説します。
前提:転職活動でハローワークはこんな方にオススメ
(1)地元で働きたい人
ハローワークは全国に544箇所(本所436箇所、出張所95箇所、分室13室)あります。
(引用元:公共職業安定所(ハローワーク)の主な取組と実績(平成29年7月).pdf|厚生労働省 職業安定局)
全国各地に存在しているため、地元企業の求人掲載数に強みがあります。
ハローワークでは、求人データベースを全国で共有しています。
どの拠点に行っても、共通の画面から、全国で全く同じ求人票を検索閲覧することができます。
そのため、自宅付近でお仕事を探したい方や、地元に戻って働きたい方に適しています。
地元から別の地域に転職したい場合、地元のハローワークでも他地域の求人を閲覧することは出来ますが、担当地域以外の企業には直接連絡できないため、注意が必要です。
筆者が利用した際は、応募先企業の地域にあるハローワークまで出向いて応募することになりました。
その際、細かい手続きなどで何度もその地域のハローワークに行く必要があったため、非常に不便な思いをした覚えがあります。
他の地域で転職活動する際は、一般的な転職サイトを利用したほうがスムーズに行なえます。
大手転職サイトの「リクナビNEXT」や「マイナビ転職」が求人掲載数が多くオススメです。
また、ハローワークの求人票はインターネット上にも公開されています。
一度ハローワークを利用し、求職者番号を発行してもらうことで、インターネットを通じて全ての情報を閲覧することが可能です。
詳しくは「ハローワークインターネットサービスは自宅から利用できる?その方法とは?」という記事で解説しています。
(2)職歴が無い・短い人 または 転職回数が多い人
ハローワークに掲載される求人票の多くは、未経験を歓迎する求人票になります。
未経験者歓迎の求人票は、多くの場合、職歴が短い方やスキルに自信が無い方でも応募できる条件になっています。
また、フリーターや第二新卒向けの専門窓口「わかものハローワーク」を開設している拠点もあります。
「わかものハローワーク」では、正社員就職を目指す若者を対象に、さまざまなサービスを無料で提供しています。
そのため、これまでのキャリアに自信がない方にとって、利用しやすい環境が整っています。
今までのキャリアやスキルがある方は、ハローワークよりも転職エージェントで年収アップを目指すべきです。
転職エージェントでは、キャリアカウンセリングを行ってもらえるため、今後どのように働いていくべきか相談することも可能です。
転職エージェントは「マイナビエージェント」や「リクルートエージェント」などが有名です。
保有している求人数も多いため、最初に利用する転職エージェントとしては最適です。
ハローワークに未経験者OKの求人が集まる理由
採用コストを抑えるため
企業では、未経験者を雇う場合のコストをなるべく低く抑えたいと考えています。
特に採用に大きなコストをかけられない中小企業では、その傾向が顕著です。
一般的に、求人広告を出す場合、どんなに安くても20万円以上のコストがかかります。
一方、ハローワークには無料で求人を掲載できるため、採用にコストをかけられない企業にとって利用しやすいサービスです。
企業側に補助金が出るため
ハローワーク経由で人材を採用すると国から補助金が出る制度あります。
しかし経験者は、求人サイトや転職エージェントで仕事探しをする傾向があります。
そのため、ハローワークには比較的ハードルの低い、未経験者OKの求人を出し、採用を積極的に行っている企業があつまります。
転職でハローワークを活用するメリット(転職サービスとの比較)
ハローワークで転職活動を行うメリットをご紹介します。
地元企業の求人掲載数が豊富
全国の各市町村544箇所に設置されているハローワーク。
ハローワークには地元企業の求人が多数揃っています。
地元で転職をお考えの方は、他の転職サービスよりも、多くの企業がハローワークで表示される可能性があります。
職業訓練が受けられる
ハローワークでは無料の職業訓練を申し込むことが出来ます。
職業訓練校は、求職中の方を対象に、公共職業訓練を提供しています。
一定の条件を満たせば、補助金を受け取ることも可能です。
職業訓練で受けられるコースは、簿記、Webデザイン、自動車整備などさまざまです。未経験はもちろんブランクのある方にも利用するメリットがあります。
職業訓練について、「ハローワークの職業訓練とは?受講する注意点や転職について解説」という記事で詳しく解説しています。
相談員のサポートが受けられる
ハローワークでは、転職活動やキャリア形成にまつわるサポートも充実しています。
たとえば、専門の相談員に、求人応募に関わる相談や手続きを依頼することができます。対面で転職相談ができるのは、一人で行う転職活動と違いとても心強いです。
地元企業の求人情報などの情報収集にも最適。相談員の当たり外れはありますが、民間の転職サービスにも劣らないサービスを受けられます。
採否が必ず通知される
ハローワーク経由で応募した場合、企業からは必ず採否の結果通知を受け取れる仕組みとなっています。
そのため、応募した際に、書類選考の結果連絡が来ないなどのトラブルは全くありません。
結果もすぐに通知されるため、たとえ不採用だったとしても、次の選考に進みやすくなっています。
転職でハローワークを活用するデメリットと対処法
メリットもある反面、ハローワークの利用にもデメリットがあります。
情報が少ない
ハローワークで一度でも求人票を確認したことがある方はわかると思いますが、必要最低限の情報しか載せていません。
画像などの情報もないため、職場の雰囲気やイメージを知る手段はインターネットで検索するほかありません。
ハローワークの情報だけでは、応募すべき/しないべきの判断材料が足りないので、必ず「企業名」で検索しましょう!
ハローワークの情報だけでは足りないので、必ず「企業名」で検索!
載せていた求人情報と実際の募集内容に差異がある
すべての求人情報で起こるわけではありませんが、実際に応募した際に確認すると条件が違うことがあるようです。
情報が古く更新されていないというケースもあります。
応募の際に、相談員に条件の確認を行ってもらうといいと思います。
応募前に条件に変わりが無いか、相談員にチェックしてもらうこと!
大手企業の掲載は少ない
ハローワークでは大手企業の掲載は明らかに少なくなっています。
理由として挙げられるのは、大手企業が中途で採用する場合、経験者を優遇して採用を行っていることが背景にあります。
大手企業に限らず、経験者を採用したい企業はハローワークに求人を掲載していることが少ないため、転職サービスを利用する必要があります。
大手企業への転職を目指すなら「転職サービス」を!
ブラック企業リスクが高い
ハローワークでは、採用に予算をかけられない企業が求人票を掲載することが多くあるため、ブラック企業リスクも高くなっています。
そのため、掲載されている求人票の企業に対し、より深くまで企業研究をしなければいけません。
ブラック企業を見分けるポイントはいくつかあるので、利用する際は次の記事のチェック項目をご参照ください。
コラム:デメリットがあるのは他の転職サービスも同じ
ハローワークのデメリットとして挙げられていることが、他の転職サービスでも同様にデメリットとなることがあります。
ここではその一例をご紹介します。
自主性が必要
ハローワークの転職は「自らが積極的に動かなければいけない」というデメリットを記載されているサイトを複数見ましたが、これは転職活動を行うのであれば、どのサービスを利用しても同じことが起こるため、ハローワークだけに言えるデメリットではありません。
民間の転職エージェントを利用することで、書類添削や面接対策・企業とのやり取りを代行してもらうことはできますが、あくまでサポートの一環です。
転職サービスを利用しても本人が積極的に動かなければ転職活動が進まないのは同じことです。
ただ、ハローワークのサポートと比べ、民間の転職サービスの方がサポートが手厚い印象があります。
少しでも転職活動の負担を減らしたい!という方は、転職サービスを利用することをおすすめします。
どの転職サービスを利用していいのかわからない…という方は、転職Do独自の診断ツールをご用意いたしましたので、ぜひご活用ください。
相談員の対応にばらつきがある
相談員の対応に差が出てしまうのも、ハローワークだけではなく転職サービスを利用しても同じことが起こる可能性があります。
転職サービスの場合、キャリアアドバイザーが担当に付いてくれますが、その担当キャリアアドバイザーとの相性が悪いと、希望する職種の求人票が紹介してもらえなかったり、うまくサポートが受けられないことがあります。
上記2点はハローワークのデメリットとして書かれていることが多く見受けられましたが、他転職サービスを利用する上でも起こり得るので注意が必要です。
ハローワークで相談員が合わなかった場合は、担当の変更を申請するか別日にもう一度訪れてみましょう。
ハローワークを利用した転職活動の流れ
ハローワークで転職活動する前に確認しておきたいこと
ハローワークでは、失業手当などの給付金を申請する役所でもあります。
転職活動には何かと費用もかかりますし、失業中は収入が無いので焦って転職先を決めてしまいがちです。
焦ってしまうと正常な判断をすることも難しく、相手側にも焦っていることが伝わってしまうのはデメリットになります。
なので、ハローワークで転職活動を行う前に、自分が受けることが出来る手当や給付金を確認してみましょう。
詳しくは「ハローワークで手続き可能な手当・給付金」にまとめています。
ここからは実際の転職活動をハローワークで行った場合の流れを解説します。
登録
最寄りのハローワークに行きましょう。
ハローワーク内に入り、案内の方に初回の利用であることを伝えると、登録をはじめることができます。
求職申込書を記入し提出すると、ハローワークカードが発行されます。ハローワークを利用する際はこのカードが必要になりますので無くさないようにしましょう。
求職相談
登録が終わると、窓口にて求職相談を行います。
転職に関するさまざまな悩みや不安を相談したり、希望の職種に関する求人票を探すお手伝いをしてもらえます。
自分がどのような仕事に向いているかなどの相談もできるので、まずは気軽に相談してみましょう。
求人票の検索
求人票は相談員がピックアップしてくれる他、ハローワーク内のパソコン端末で専用の求人票検索が行なえます。
求人票検索で気になった求人票があれば印刷し、相談員に話すとその企業に募集要項など変更が無いか確認してもらえます。
応募の際に紹介状が必要になるため、求人票を元に企業に直接連絡をすることは避けましょう。
(企業からハローワークを通してほしいと言われてしまいます。)
選考~面接
ハローワークで発行した紹介状を持ち、面接へ向かいます。
面接に不安がある方は、相談員に相談するか、ハローワークで行っている各種セミナーを受講しましょう。
ハローワークで転職を成功させるコツ
常に求人を掲載している企業は避ける
常に人材を募集している企業は、人の出入りが激しい可能性があります。
ハローワーク上だけではなく、企業の情報をインターネットで検索するなどして調べるようにしましょう。
可能であれば他の転職サービスとの併用を
地元企業に転職するなら一番の求人数を誇るハローワークですが、大手企業への転職や経歴・スキルを活かした転職を行いたい場合はハローワークでは事足りない部分があります。
この2つに該当する方は、可能な限り転職サービスとの併用をおすすめします。
自分の経験やスキルに適した転職サービスを調べるには、転職Do独自の診断ツールがおすすめです。こちらをご活用ください。
自宅からハローワークの求人検索が行える「ハローワークインターネットサービス」
ハローワークの求人情報は、ハローワークに設置されているパソコンからだけではなく、自宅のパソコンからも閲覧することが可能です。
利用時に求職者番号が必要となりますので、ハローワーク利用開始の受付時にもらった「ハローワーク受付票」は大事に取っておきましょう。
ハローワークインターネットサービスについてはこちらの記事で解説しています。
ハローワークの評判・口コミについて
転職Do独自に、ハローワークで転職活動を行ったことがある方に対してアンケートを実施しました。
アンケートでは、
- Q1:あなたの担当になったハローワークの職業紹介サービスの相談員はどうでしたか?
- Q2:ハローワークの職業紹介サービスに掲載されている求人票はどうでしたか?
- Q3:ハローワークで転職活動を行った際のエピソードをお聞かせください。
- Q4:最後に、ハローワークの職業紹介サービスについて5段階で評価してください。
上記4つの質問に回答してもらいました。
詳しくはこちらの記事にまとめました。
上記の記事では、各地のハローワークの口コミを検索する方法もご紹介しています。
まとめ
ハローワークで満足の行く転職を行うことは可能です。
地方によっては正社員求人が少ない等、問題点も多いですが掲載されている求人数は豊富です。
掘り出し物求人を見つけられるように、相談員の方に協力してもらえるよう話してみましょう。
ハローワークの評判・口コミ
ハローワークの評判・口コミについて、転職Do独自にアンケートを実施。361名の回答の中から、相談員や求人票について、さらに転職活動のエピソードを厳選して紹介します。