転職エージェントから「カスタマーサクセス」という仕事を勧められました。転職しやすいと聞いていますが、辛い職種ではありませんか?
最近、カスタマーサクセスという職種をよく耳にします。これってどんな仕事なんでしょうか?
カスタマーサクセスとは
カスタマーサクセスとは、契約済みの顧客の成功を手助けする仕事のことです。
最近トレンドとなっているSaaS系サービス(クラウド型のツールやソフトウェア)は、低価格のサブスクリプション型(月額課金型)ですので顧客が長く継続してくれなければ利益はでません。
しかし新しいツールを導入しても「使い方がわからない」「思うように成果が上がらない」となれば顧客はすぐに解約してしまいます。
例えばあなたが飲食店オーナーだったとして、利益率を改善するために会計ソフトを導入したとします。
しかしデータ入力の方法がわからなかったり、苦労して入力しても出力されたレポートの見方がわらなかったりしたら「利用料と時間の無駄だな」と感じてしまうと思います。
そうならないようにサポートして契約の継続を目指すのがカスタマーサクセスの役割です。
カスタマーサクセスとカスタマーサポートの違い
でもそれってカスタマーサポートと何が違うの?
カスタマーサクセスの仕事はカスタマーサポートとよく比較されます。
両者の決定的な差は「能動的か受動的か」です。
カスタマーサクセス | カスタマーサポート | |
---|---|---|
特徴 | 能動的 | 受動的 |
役割 | 事業を成長させる | 疑問に対応する |
顧客へのコンタクト | 自分からする | 問い合わせがあったら対応する |
顧客の利用ログ | 見る | 見ない |
担当 | 顧客ごとに担当者をつける | 問い合わせ(インシデント)ごとに担当を割り振る |
運用スキーム | 属人的 | マニュアル的 |
評価基準 | どれだけ継続やアップセルをさせたか | 何件の問い合わせに対応したか |
社内的な位置付け | プロフィットセンター | コストセンター |
クレーム対応が中心になりがちなカスタマーサポートと異なり、カスタマーサクセスは「顧客の成功」を前向きに支援するためやりがいを感じやすい職種とも言われています。
会社からも「コスト(費用)」ではなく「プロフィット(利益)」を生み出すチームとして位置付けられます。(その分属人性が高く、数字で厳格に評価される仕事です)
カスタマーサクセスの概念はセールスフォース・ドットコムが、2000年初頭に提唱したと言われています。
日本では2010年代から注目されるようになり、昨今では大手企業からスタートアップまで幅広く導入されています。
なぜカスタマーサクセス職の導入が進んでいるのか
「カスタマーサクセス」の注目度は転職市場にも現れています。
LinkedInデータをもとに、2015年~2018年にカスタマーサクセスの人数は平均年率177%で増え続け、3年で8倍になりました。
(引用元:カスタマーサクセスの現状 2019:世界中で活躍するCSプロフェッショナルの今)
またリクナビNEXTに掲載されているカスタマーサクセスの求人は東京都だけで171件(2020年5月)。
新型コロナウイルスによる外出自粛の影響をほとんど感じさせません。
どうしてこれほどまでにカスタマーサクセスが必要とされるようになったのでしょうか。
理由は以下の通りです。
- そもそも日本の営業は忙しすぎた
- 見込み客の発掘からヒアリング→クロージング、受注後のフォローアップまで。これを1人の担当者に任せていた日本の営業ははっきりいって異常でした!受注後に専任の担当者をつけて役割を分担させたのは自然な流れです
- 安価なクラウド型・サブスクリプション型サービスの普及
- 大型案件を狙いにいくのではなく、安価で多数の取引先との契約を継続させる仕組みが必要になりました
- きめ細やかなサポートを実現するテクノロジーの普及
- Web会議ツールやヘルプデスク専用のツールなど、能動的に顧客をバックアップする体制を強化するテクノロジーが一般的になったことがカスタマーサクセスの業務を成立させました
カスタマーサクセスの仕事内容の特徴
- 導入企業のほとんどがBtoBのサブスクリプション型ビジネス
- 顧客との関係が「売って終わり」ではなく「売ってからが始まり」となるサブスクリプション型サービスでこそ輝く職種です。また、顧客との継続的なコミュニケーションを取りやすいBtoBが主なフィールドとなります
- 業務が比較的マニュアル化されている
- 自宅でできる
- リモートワークでもできる仕事です。そのためか、新型コロナウイルス流行後も求人が減っていません
- 「継続率」で評価されることが多い
- 担当顧客の継続率で評価され、それにオプションなどのアップセル額が上乗せされる評価体系が一般的です
- CRM(顧客管理ツール)と併用される
- 導入経緯を一元化管理したり、対応状況をチーム全員に可視化したりするために利用されます
カスタマーサクセスの年収とキャリアパス
仕事内容を理解していただけたところで、年収についてです。
カスタマーサクセスの折衝相手はIT部門や医療機関の担当者など専門職であることが多く、インサイドセールスなどと比べて高い業務理解が求められるため、年収は高めです。
年収にすると500万円(月給32万円+賞与)前後が中央値となっています。
カスタマーサクセスはキャリアの広がりが大きい仕事
カスタマーサクセスはキャリアアップしやすい仕事です。
フィールドセールスへの出世
カスタマーサクセスは導入した顧客が直面する悩みや業界特有の事情を把握しやすいポジションであるため、成果をあげるとクロージング担当のフィールドセールスとしての飛躍を期待されるケースがあります。
当然成果を上げれば年収は大幅アップ。(賞与を含めて800~1,000万円が中央値となります)
顧客開拓はインサイドセールスがアシストしてくれますから、顧客のクロージングに集中できるまさに花形ポジションです。
マーケティング部門への異動
カスタマーサクセス職はもっとも顧客に近いポジションといっても過言ではありません。
それゆえに、見込み客の心理を理解した現場出身者としてマーケティング部門に配属されることもあります。
この場合、セミナーや自社のWebメディア上で顧客の成功体験を自ら語ったり、業界のカンファレンスにゲストスピーカーとして登壇するような個人としての活動も増えていくことでしょう。こうなれば会社にとって欠かせないポジションを築くことができます。
カスタマーサクセスとして転職するには
まず、必ずリクルートエージェントを使ってください。
エージェントの評価は賛否両論あるかと思いますが、カスタマーサクセスの求人数はリクルートエージェントがダントツです。
カスタマーサクセス職の募集が多い転職エージェント
転職サービス名 | カスタマーサクセスの求人数(2020年5月) |
---|---|
リクルートエージェント | 2,078件 |
doda | 211件 |
マイナビエージェント | 16件 |
リクナビNEXT | 171件 |
続いて効果的なアピール方法について解説します。
カスタマーサクセスはこれから本格的に普及していく職種です。
「カスタマーサクセスとして勤務してきた経験があります!」という方はおそらくほとんどおられないのではないでしょうか?
もちろん企業側もそれを承知していますからご安心ください。ポイントさえおさえれば未経験や第二新卒でも十分転職可能です。
具体的にカスタマーサクセスの募集で高く評価されやすいのは以下のような経験です。
※ クリックで解説にジャンプします
順番に解説していきます。
(1)法人営業経験
カスタマーサクセスは顧客と継続的に関係する仕事ですから、営業経験は高く評価されます。ほとんどがBtoBですので特に法人営業出身者は狙い目です。
実際に、法人営業からカスタマーサクセスへ転職された方の体験談が気になる方は、下記のリンクをご確認ください。
法人営業経験者の転職体験記
26歳、人材紹介会社から大手人事コンサルティングファームへの転職 | エリートネットワーク
法人営業経験をアピールする場合の志望動機例
CRMのセールスパーソンとして3年半勤務いたしました。
1-2年めこそ目標未達でしたが、3年めは10社のお客様にご導入いただき110%での達成となりました。
安価で導入しやすいのが売りのパッケージとはいえCRMの導入にあたってはハードルが多いので、担当者様の負担を減らせるよう導入前の仕様策定や導入後の運用まで踏み込んでお手伝いしていたのがなんとか達成できたポイントだと思います。
しかしあくまでセールス職である以上契約後に踏み込んだお手伝いをすることはできません。私が本当にやりたいのはお客様の成功を後押しすることでした。
今回の御社の募集はSFAのカスタマーサクセス職ということで、システム導入支援に関わってきた経験を生かしながら運用面まで踏み込んだ仕事ができるものと考え、ご応募いたしました。
単に成果をアピールするだけでなく、「何が秘訣だったのか」を説明する。上記の例はそれが転職理由にもなっていて美しい。
(2)システムやツールの導入を支援した経験
カスタマーサクセス職と顧客の最初の接点はシステムの導入サポートです。
ここで担当顧客から信頼を得られるかどうかが今後に大きく関わってきます。そのためシステムの導入サポート経験は転職活動のアドバンテージになります。
実際に、システムやツールの導入を支援した経験がある方の体験談が気になる方は、下記のリンクをご確認ください。
システム・ツールの導入支援経験者の転職体験記
音響システムのソフトウェア技術者、UXデザインコンサル会社へ | エリートネットワーク
導入サポート経験をアピールする場合の志望動機例
新卒入社から1年半、◯◯銀行で法人向けインターネットバンキングのカスタマーサポートを担当しておりました。
銀行のネットバンキングは導入プロセスが複雑なので、セットアップキットを送付しても対応できない中小企業経営者が多いです。それを電話でサポートするのが仕事でした。
丁寧にわかりやすく説明することが重要な業務で、それは自分に向いていると感じていたのですが、この仕事はセットアップが完了すれば達成でそれ以降お客様とのやり取りはありません。もっと継続的にお客様と関わって、お客様とサービス双方の売上に貢献できる仕事を探しています。
今回は中小企業向けの会計ソフトの導入からサポートするカスタマーサクセス職の募集ということで、これまで導入支援をしてきた経験を活かしながら自分の想いを実現できる環境と考えご応募いたしました。
「もっと継続的にお客様と関わって」という部分がカスタマーサクセスの特徴を暗に表現しており好印象。
(3)お客様が同じ業界にいた、もしくはお客様の立場だった
お客様が同じ業界にいた、もしくはお客様の立場だったのであれば、顧客の心理を分かっているためカスタマーサクセスとして即戦力になりやすいと評価されます。
転職先の分野 | 代表的なSaaS | お客様 |
---|---|---|
ヘルステック | YaDoc、CLINICS | 医療機関 |
HRテック | interview maker、HARUTAKA | 人事部門 |
CRM・SFAなどの営業支援 | Salesforce、Zoho | マーケティング |
ヘルプデスク、カスタマーサポート | Zendesk、Mail Dealer | システム部門 |
名刺管理 | Sansanなど | 営業企画 |
会計・請求書発行 | freeeなど | 総務・経理部門 |
お客様が同じ業界にいた場合の志望動機例
私は新卒採用向けのポータルサイトの入稿担当者として3年間勤務して参りました。
発注者である人事部門の方から電話とメールでヒアリングし、原稿を校正してサイトに反映させるのが仕事です。私はできるだけ電話でのヒアリングにこだわるようにしていました。思いもよらないホンネや訴求点が見えてくることが多かったからです。
しかし「ポータルサイトでいくら集客してもリソース不足で面接で会うことがかなわない」という顧客の声を多数耳にしており、ポータルサイトだけではこの問題の本質的な解決は難しいと感じました。
御社のWeb面接サービスは兼ねてから耳にしており興味をもっておりましたが、カスタマーサクセス職としてならば採用フローに対する理解や人事部門の方々と直接やりとりしてきた経験を活かせるものと考え、ご応募いたしました。
「人事部門がお客様」の例。単にポータルサイトの入稿だけをしていた場合は厳しいが、業務の中で直接お客様にコンタクトをとっていたことをうまくアピール材料にしている。
求人掲載数業界No.1「リクルートエージェント」
利用者の口コミ
- 34歳 男性
最大手だけあって面談にいくといきなりすごい量の求人票を提出されます。
- 28歳 女性
やっぱり求人数は魅力的。地方にも営業所があって対応が良いのは他と違うところ。
- 30歳 男性
求人票はたくさんいただけるのですが数が多すぎて、吟味するのに少し時間がかかりました。