はじめに
人々の生活を支えるインフラ領域において、長らく都市ガス市場を独占してきた東京ガス。
しかし2017年4月、都市ガスの小売り自由化が行われ、市場の競争が本格化しました。
2018年4月には関東で約25万件の顧客が脱落(脱落とは顧客が他社に契約を切り替えることを意味する社内の隠語)したと言われ、そのほとんどが東京電力・日本ガスに流れた様です。
(参考:日本経済新聞)
しかし東京ガスも、最大の強みである電気とガスのセット販売を手掛けるグループ会社があることを生かし、都市ガスで失った件数の実に4倍超を電力で獲得するなど、改善を随時行っており、最大手と言われるグループ力を発揮しています。
そして2019年にはガス事業の売上高も小売り自由化前の2016年の売り上げを超える水準まで回復しました。
(引用:セグメント別データ|東京ガス)
ガス事業は今後もさらに競争が激化すると予想されており、様々なメディアでも注目を集めています。
今回は、今後今まで以上に競争に力を入れていくであろう東京ガスでチャレンジしたいとお考えの方に、東京ガスの転職情報や採用情報について詳しくご説明します。
東京ガス株式会社への転職についてのまとめ
- 口コミからの総合評価
- 3.55
東京ガスの転職レーダーチャート
東京ガス株式会社の特徴
- 国内都市ガスの最大手企業で、約4割のシェアを持つ業界トップ
- 生活に欠かせないインフラに携わる企業として、とても堅実な社風で真面目な人が多い
- 大企業病になることなく、人工知能(AI)を全社的に導入するなど、競争力を高めている
- 平均年収は656万円で、同業界の水準を100万円以上高い水準
- 平均残業時間は多くても25時間程度で、さらなる残業削減に取り組んでいる
- ダイバーシティの推進に力を入れており、育児休職や介護休職、リフレッシュ休暇などの取得数を公表している
(参考:東京ガス ダイバーシティ推進について)
東京ガス株式会社への転職でおさえておきたいポイント
- 中途採用は若干名のため、人材紹介会社を通じての募集のみ
(参考:東京ガス採用ページFAQ) - 東京ガスへの転職は転職エージェント、人材紹介会社の活用が必須
東京ガス株式会社の企業情報
ここからは東京ガスの基本情報をみていきます。
基本情報
事業内容 |
・ガス 都市ガスの製造・供給および販売、リキッドガス事業、LNG販売等 ・電力 電気の製造・供給および販売 ・海外 海外における上流事業、中下流事業 ・エネルギー関連 エンジニアリングソリューション事業、ガス器具、ガス工事、建設等 ・不動産 土地および建物の賃貸・管理等 ・その他 情報処理サービス事業、船舶事業等 |
---|---|
代表者 |
取締役会長 広瀬 道明 代表取締役社長 内田 高史 |
設立 | 明治18(1885)年10月1日 |
資本金 | 1,418億円(2019年7月末現在) |
従業員数 |
[単体]7,343人(2019年3月31日現在) [連結]16,708人(2019年3月31日現在) |
所在地 | 東京都港区海岸1-5-20 |
(参考:東京ガス 会社概要)
企業理念やビジョン
東京ガス株式会社の企業理念はこちら。
【経営理念】
東京ガスグループは、天然ガスを中心とした「エネルギーフロンティア企業グループ」として、「快適な暮らしづくり」と「環境に優しい都市づくり」に貢献し、お客さま、株主の皆さま、社会から常に信頼を得て発展し続けていく。【企業行動理念】
・公益的使命と社会的責任を自覚しながら、企業価値を増大させていく。
・常にお客さま満足の向上をめざし、価値の高い商品・サービスを提供する。
・法令およびその精神を遵守し、高い倫理観をもって、公正かつ透明な企業活動を行う。
・環境経営トップランナーとして、地球環境問題の改善に貢献する。
・良き企業市民として奉仕の精神を深く認識し、豊かな社会の実現に貢献する。
・絶えざる革新により、低コスト構造で、しなやか、かつ強靭な企業体質を実現する。
・一人ひとりの「能力・意欲・創意」の発揮と尊重により、「活力溢れる組織」を実現する。
(引用元:東京ガス 経営理念)
東京ガスは企業理念通り、現在まで「快適な暮らしづくり」「環境に優しい都市づくり」などインフラの整備に常に尽力し、社会貢献してきました。
社会貢献してきた経験・信頼が、東京ガスのブランド力に大きく働いています。
東京ガス株式会社の転職基礎知識
ここからは東京ガスの転職に関する基礎知識を見ていきましょう。
平均年収
656万円(43.2歳)(四季報調べ)
電力・ガス・エネルギー業界の平均年収:539万円と比較すると、100万円以上高い水準です。
(出典元:2019年版 業種別 モデル年収平均ランキング - マイナビ転職)
また参考程度に、競合の日本ガスと比較してみましょう。
日本ガスの平均年収は584万円です。(参考:四季報)
日本ガスも業界平均よりは高い水準ですが、東京ガスはされに高い水準です。
世代別平均年収
年代 | 平均年収 | 最高年収 | 最低年収 |
---|---|---|---|
20代 | 500万円 | 600万円 | 400万円 |
30代 | 500万円 | 700万円 | 450万円 |
40代 | 1000万円 | 1125万円 | 725万円 |
50代 | - 万円 | - 万円 | - 万円 |
(引用元:転職会議)
企業口コミサイト「転職会議」によると、上記のような世代別の平均年収となっています。
これは、平均的な世代別平均年収と比較すると、かなり高い水準です。
例えば、転職サイトdodaの「平均年収ランキング」によると、20代の平均年収は345万円、30代は442万円となっています。
全体の世代別の年収と比べても、東京ガスの年収は高い水準です。
また、20代と30代の平均年収に差がないため、若いうちから給与水準が高いことがわかります。
労働環境
- フレックスタイム制度を採用しており、コアタイムは10:00~15:00、また7:00~10:00・15:00~22:00をフレキシブルタイムとして自由に働ける。
- 朝型勤務を推進しており、始業・終業時刻をそれぞれ30分~1時間程度前倒しすることを推奨。夕方の会議の設定を自粛する等の取り組みも。
- 原則、20時以降の勤務は禁止だが、配属された部署・部門によっては残業が多いところも。大きなプロジェクトに関わっている場合など、労働基準に反する残業時間が発生する事もありうる。
- 有給取得については、企業全体が有給活用に前向きで、仕事の調整ができていれば特に不満を言われたことはない。
- 残業は必ず報告する事が徹底されており、残業代はほぼ全て給与に反映される。
福利厚生
- 基本的な福利厚生は完備(各種社会保険、各種貯蓄制度、融資制度、共済会、社員持株会など)
- 都内一等地のマンションやタワーマンションなどの社宅があり、結婚すれば基本的には10万以下で40歳まで利用できることも。
- 社内積立や持家積立などは利率が高く、貯金がしやすい制度も整っている
- 孫・子の学校行事、家族の介護・看護などの休職制度とともに、不妊治療休職制度もある
- カフェテリアプランの福利厚生サービスを契約しており、様々なサービスライフスタイルに合わせて利用できる。
残業時間
口コミサイトでは、月の平均残業時間は21.1〜24.2時間と25時間未満の水準です。
しかし配属された部署・部門によっては残業が多いところもあります。
また、大きなプロジェクトに関わっている場合など、例外的に残業時間が多く発生する事もありえます。
しかし働き方改革の推進で、残業管理には厳しくなり、原則20時以降の勤務を禁止しています。
有給消化率
口コミサイトでは、57.9%〜66.6%と60%前後の消化率です。
東京ガスでは、部署や部門にも依りますが、基本的に有給取得に前向きな企業文化を築きつつあります。
2018年から『働き⽅改⾰アクションプラン』を掲げ、年次有給休暇の取得促進のため、KPIを設定し、有給消化率の向上に取り組んでいます。
また、ダイバーシティの推進から休職制度は年々充実しています。
(参考:東京ガス ダイバーシティ推進について)
東京ガス株式会社の中途採用求人情報
ここからは東京ガスの中途採用求人情報を見ていきましょう。
東京ガス株式会社にはどのような職種があるのか
東京ガスには以下の職種があります。
文系職 |
・営業 ・原料調達 ・海外事業 ・コーポレートスタッフ |
理系職 |
・営業 ・パイプライン技術 ・生産技術 ・お客さま設備技術 ・技術開発 ・電力事業計画 / エンジニアリング ・原料調達 ・海外事業 ・ITソリューション |
プロフェッショナル職 |
・パイプラインメンテナンス ・緊急保安 ・ガス設備設計 / 施工管理 ・生産オペレーション / メンテナンス ・エネルギー提案営業 ・総務 ・経理 |
---|
(参考:東京ガス 文系理系職 採用)
(参考:東京ガス プロフェッショナル職)
東京ガスには文系職種・理系職種と別でプロフェッショナル職種があります。
文系職・理系職は、東京ガス全体の組織力強化を目指してローテーションが実施され、全体最適の視点をもって東京ガスグループの事業を推進していく人材を目指す職種です。
一方プロフェッショナル職は、特定の領域における業務経験を通じて得た技能・技術・知識や人望を活かし、当社の現場をまとめる、またはサポート業務を推進する人材を目指す職種になっています。
(参考:東京ガス 採用ページ FAQ)
求人の傾向・採用している職種
東京ガスでは、公式サイトでは新卒作用の募集のみしか行っていません。
中途採用は若干名のため、人材紹介会社を利用した採用のみの求人です。
非公開の職種も多いため、東京ガスへの転職には転職エージェントの活用が必須です。
実際の求人情報
東京ガスでは現状中途採用の公開されている求人はありませんでした。
そのためあくまで参考程度ですが、グループ会社の採用を紹介します。
東京ガスリビングエンジニアリング株式会社(東京ガスグループ)
【直行直帰OK】太陽光発電・電気自動車の充電設備などの電気工事に関わる設計・積算・施工管理
【仕事内容】
太陽光発電・電気自動車の充電設備・非常用発電機・蓄電池などの設置に関わる電気工事を行っていただきます。
【応募条件】
【学歴不問】電気計装工事の施工管理業務経験者 ◎社会人10年以上も歓迎!
■必須要件
電気計装工事の施工管理業務経験者
■歓迎条件
1級・2級電気工事施工管理技士、
第一種・第二種電気工事士の資格をお持ちの方
【勤務地】
本社 東京都港区芝4-9-4 芝浜ビル
※転居を伴う転勤なし
(参考:doda 東京ガスリビングエンジニアリング株式会社)
東京ガス株式会社の採用方針
東京ガスでは中途採用の枠は決して多くありません。
公式サイトでは求人を出しておらず、ほとんどの求人が未公開です。
そのため、一般的なキャリア採用・中途採用を目指すのであれば、転職エージェントの活用が必須です。
転職エージェントによって得意な業界や職種、企業規模などが異なりますので、まずは自分の希望に合う転職エージェントを見つけましょう。
東京ガスへの転職の際には、大手企業やメガベンチャーとも強いパイプをもっているリクルートエージェントやマイナビエージェントがおすすめです。
どちらも中途採用業界においては最大手のエージェントで、特に大手企業からの信頼は絶大なものがあります。さらに、人事部だけでなく事業部から非公開求人の依頼を受けているケースもあり、目当ての求人が得られる可能性が高いです。
(その他の転職エージェントについて詳しく知りたい方は1106人に聞いた、口コミで評判のおすすめ転職サイト・転職エージェントの情報も参考になります。)
学生向けの採用方法のため、参考程度に紹介しますが、東京ガスはフリースタイル採用という特別な採用枠を設けています。
『「東京ガスなんて興味ない。」 そんなあなたと出会うために。』というキャッチフレーズとともに、ユニークな選考を行なっています。
(参考:東京ガス フリースタイル採用)
東京ガス株式会社の選考に関する情報
東京ガス株式会社への転職難易度
東京ガスへの転職は転職エージェントの利用が必須で、若干名と明言されていることから、難易度は高いと考えられます。
福利厚生の充実度も魅力的で、希望者も多いので、倍率も比較的高いでしょう。
しかし一方で、AI活用など最新技術には前向きなので、今後専門職の採用が増えるかもしれません。
選考の流れ
東京ガスの中途採用は、現在転職エージェントを活用するしかなく、選考プロセスなどは情報が出ていません。
参考程度に新卒採用の選考ステップは、
エントリーシートの提出→筆記試験→面接
となっています。
(参考:東京ガス採用ページFAQ)
筆記試験の有無、種類
東京ガスの中途採用は、現在転職エージェントを活用するしかなく、筆記試験の有無などは情報が出ていません。
参考として、新卒採用では筆記試験が行われてます。
必須・推奨される資格
東京ガスの中途採用は、現在転職エージェントを活用するしかなく、必須・推奨される資格などは情報が出ていません。
面接で聞かれること
ここでは実際に面接を受けた方の口コミから、面接で聞かれたことを紹介します。
志望動機など、一般的な質問の他に特に聞かれた質問はこちらです。
- ームワークで成し遂げたことは
- 将来のキャリアプランは?
- あなたを漢字一文字で表現するとなにか
- あなたを色に例えると何色か
圧迫ではなく穏やかな雰囲気の面接が多いようです。
本人がどういう人なのか見るのが目的の質問も多く、リーダーとして活躍できるか、サポートのような役割が合うか、など適性を見る質問が多い様です。
東京ガス株式会社への転職に関する口コミや評判
最後に、東京ガスの現社員や元社員の口コミをご紹介します。
内情がわかると思いますので、参考にしてください。
・雇用の安定性はよい。人材が足りないところでは中途採用も行なっており、中途採用の方の昇格も見えるようになってきたので、そういう意味でもよいと思う。(企画・40代)
・ずっと国内だけでやっていたが、自由化をきっかけに海外にでるようになったのは大きい。絶対に事故を起こさないという自信があるので外国でも十分戦えると思う。(エンジニア・20代)
・コスト削減の徹底と電力ビジネスの展開、海外上流部門の成功が鍵。(営業・40代)
・電力ガス小売自由化で、都市ガスの独占販売ができなくなり、他の事業者との競争にさらされている。今までのように、黙っていてもお客様から来るというわけではなくなった。(技術系・20代)
・電気とガスの自由化に伴い、今後の競争次第では東電にガス部門として吸収されるのではないかと思う。(技術系・20代)
・報酬は平均より高めで、福利厚生が充実しているため、不満に思う社員は少ない。(経理・20代)
・年収は同年代の平均よりも高い方だと思う。入社から4~5年目くらいまでは横並びで評価される。(ITマネージャ・20代)
・総合職で入社した場合、年収は30歳までに800万を超えます。35歳までには1000万を超えると思います。(技術系・20代)
・35歳程度で職階が上がれば1,000万円程度に到達する。その後は実質的な管理職になるまで大きな昇給は見込めない。商社未満、メーカー以上と言ったところ。(営業・30代)
・給与について、どれだけ仕事をしようがしまいが、同じ給与をもらえ、残業代もきっちりでる。隠れて仕事をしない人にとっては最高の職場。(事務系・20代)
・年功序列で上の意見に対しYESマンが上に上がる印象です。あまり実力は加味されず、部署で何名上に上げれる等の政治的な力が大きいと思います。(技術系・20代)
・評価は年功序列であるものの、若年者は昇給しづらくなってきている。事業部ごとに昇給者の人数が決められ、
その中で昇給者が決められる。(研究開発・20代)
・IT系の部門であっても、ガスの国家資格を取得したかどうかで評価に響くのは、どうなのでしょうか。(業務で一切関係ないため)(ITマネジャ・20代)
・年次のミッションシートに掲げた目標を達成出来たか否か。
担当件数もここに具体的な数を設定するため、ミッションシートが評価基準と言っても過言じゃない。(メンテナンス職・20代)
・評価はかなりあいまい。営業の部署であっても成績を上げている人物がインセンティブなどもらえるわけではなく、あくまでも良くも悪くも決まった評価が下される。(技術系・20代)
・部門によっては、お客さま先でのエネルギー・ユーティリティ供給に関する課題解決に関わったり、関東圏にエネルギーを安定供給しているという自負を持てることがある。(コンサル・30代)
・インフラといった生活に無くてはならないものを扱うその責任を担うことは、他の業界では味わえない魅力だと思います。(技術系・20代)
・仕事に関しては都内であることもあり、難しい工事になることが多いので施主や建築への提案や折衝を行って上手く納める事はやりがいに繋がるかと(施工管理・20代)
・会社を上げて海外事業を推進している。海外赴任者の手当てが厚い。(営業・40代)
・とにかく社内に無駄が多く、どの部門であっても内向きの仕事から逃れられない。(コンサル・30代)
(引用元:キャリコネ、openwork、転職会議、カイシャの評判)
おわりに
今回は国内のガス事業で最大手の東京ガスについての転職情報をみてきました。
2017年4月の都市ガス小売り自由化で、ガス市場に本格的な競争が生じている現在、以前の保守的で余裕のある安定的な会社から、大きく変わりつつあります。
東京ガスが独自に採用している『フリースタイル採用』の導入は、今までにないビジネスやクリエイティブな面を今後強化したいという強い気持ちの現れなのでしょう。
福利厚生の充実度や、労働環境の良さなどを求めた転職先としても魅力的ですが、この転職を機によりアグレッシブに仕事に打ち込みたい、チャレンジしていきたいと考えている人にもぴったりの会社です。