転職エージェントとはじめて面談をする方は、事前準備や当日の流れについてわからないことだらけで不安だと思います。
そこで今回は、これまでに、大手総合系、業界特化型系、小規模のエージェントなど合計10社の転職エージェントと面談した経験のある筆者が、その目的の再確認と、心構えについてのアドバイスを紹介します。
転職エージェントとの面談とは
転職エージェントとの面談とは、求職者が、転職エージェントのキャリアアドバイスやカウンセリングを受けたいときに、転職エージェント内のキャリアアドバイザー(キャリアコンサルタント、キャリアカウンセラーとも言う)と対面もしくは電話、オンラインで面談をすることを言います。
転職エージェントとの面談では、キャリアカウンセリング、応募書類の添削、求人紹介を無料で受けられます。
数年前までは対面の面談が主流でしたが、現在はコロナウイルス感染拡大防止のために、電話、オンライン面談に対応してくれるエージェントも増えています。
また、海外転職のサポートをする転職エージェントは海外拠点を設けていることも多く、Skype、wechatなどオンライン面談が主流です。
面談を予約する方法
転職エージェントとの面談を予約する方法は2通りあります。
公式ホームページから申し込みをする
サポートを依頼したい転職エージェントの公式ホームページから申し込みをする方法です。
リクルートエージェント、dodaのような大手エージェントから、中小規模のエージェントまで対応しています。
この方法のメリットは、自分が気になるサービスに直接申し込めることです。一方デメリットは、あなたの経歴やスキルによっては、サポートを断られてしまう可能性もあることです。
しかしそれはあなたに市場価値がないわけではありません。
たまたまそのエージェントが持っている求人と、あなたの経歴や希望の相性が悪かっただけです。
著者は全く同じ時期に大手エージェント5社に面談を申し込んだところ、3社はすぐに返信が来ましたが、2社からは「求人を案内できない」とのことで、面談ができませんでした。
(マイナビエージェントから来たお断りメール)
※リクルートエージェントはさまざまなスキル、経歴をお持ちの方に合う求人を持っています。私自身、いつ面談を申し込んでも断られたことがありません。
転職サイト経由で、転職エージェントからのスカウトに返信する
リクナビNEXTなどの転職サイトに登録すると、そのサイトに常駐している転職エージェントから面談のオファーが届くことがあります。
オファーメールに返信することで申し込みをする方法です。
この方法のメリットは、待っているだけで、面談オファーをもらえることです。そして、相手からのオファーに応える形になりますので、転職サポートを断られる可能性がほぼありません。一方デメリットは、中小規模のエージェントからのオファーが多いので、大手エージェントのサポートを希望する方には不向きです。
また、中小規模のエージェントでは、優良求人を保有しているとは限りません。
リクナビNEXTに登録すれば、あなたの経歴に興味を持ったエージェントからの面談オファーを受け取れますよ。
前日までの準備
1.書類(履歴書、職務経歴書、キャリアシート)
履歴書、職務経歴書に加え、エージェント指定のキャリアシートがあれば前日もしくは当日までに準備します。
大手のエージェント(例:リクルートエージェント、dodaなど)は、独自のプラットフォームがあれば、指定フォームから職務経歴書をアップロードします。
中小規模のエージェントでは、メールに直接添付して提出します。
※当日は、自分用として一部コピーを持参しましょう。
レジュメを作成する上でのポイントは、「気合を入れすぎないこと」です。
後で詳しくご紹介しますが、面談の中ではかならず、担当アドバイザーからこれまでのキャリアへのヒアリングがあります。その内容によって、「もっとここをアピールするべき」など、アドバイスと修正依頼があります。
ですので完璧に仕上げたつもりで持っていくと、添削されたときにテンションがガタ落ちてしまいますので、「今の自己ベスト」の状態で持っていくと良いでしょう。
2.服装
服装は必ずしもスーツである必要はありません。担当キャリアアドバイザーがあなたが普段働いている姿をイメージしやすいように、普段会社に行っている格好が望ましいでしょう。
普段、作業服、制服を着用して働いている方は、スーツかビジネスカジュアルが無難です。
ビジネスカジュアルの一例(男性)
ビジネスカジュアルの一例(女性)
これまで私はスーツ、私服の両方で面談に臨みましたが、どちらの場合も求人紹介や書類添削のサービスは問題なく受けられました。
3.質問への答え
面談の時間は約30分~1時間ですが、時間があっという間に過ぎてしまいます。
短い時間を有意義なものにできるように、以下の質問に対する答えを準備しましょう。
よく聞かれる質問は、
- 転職先の希望職種、業界(とその理由)
- 避けたい業界、職種(とその理由)
- 希望年収、給与
- 福利厚生
- 希望地域、転勤の可否
- なぜ転職を希望したか
- これまで転職した理由
- 今回の転職で何を変えたいか?
- 具体的に気になる会社はあるか?
- 応募したくない会社があるか? など
当日の流れ
エージェントによって一部異なりますが、当日の流れは以下のようなものです。
所要時間
対面の場合も、電話・オンライン面談の時も、所要時間は約1時間~1時間半ほどです。
自己紹介(5~10分程度)
最初に軽く挨拶と、キャリアアドバイザーの名刺を渡されます。
「自分も渡した方がいいのかな?」と戸惑うかもしれませんが、会社対会社のやりとりではありませんので、名刺をこちらから渡す必要はありません。
キャリアシート、履歴書に基づいた職歴の確認(30分程度)
エージェント指定のキャリアシート、あるいは履歴書の内容に基づいて職歴の確認を行います。
その際、キャリアアドバイザーが書類に対してアドバイスをくれますので、面談後に反映して提出しましょう。
今後の活動についてアドバイス(15分程度)
経歴を確認した後は、今後の転職活動やキャリアについての希望のヒアリングがあり、それらに対してプロの目線からアドバイスを受けられます。
具体的な求人案内、応募の案内(10分程度)
面談の内容によって、現実的に紹介できる求人があればこの時点で求人票をもらえます。
友人がリクルートエージェントに行った際は大量の求人票を貰えました。
システムについての案内(10分程度)
大手のエージェントでは、求人紹介がシステム化されています。たとえば、たとえばリクルートエージェントなら「PDT(パーソナルデスクトップ)」、dodaではLINEでのチャットサポートなどエージェント独自の仕組みについて説明があります。
転職エージェントと面談をする目的
転職エージェントと面談をする目的は5つです。
1.転職エージェントのサービスを開始するため
転職エージェントが求職者に提供するサービスは、主に「求人紹介」「書類添削」「面接対策」の3つです。これらのサポートを受け取るために、一度は面談をする必要があります。
転職エージェントに申し込んでから、面談の日程を決めるまでには最短で3日、平均1週間ほど。最長で2週間ほど必要です。
(私がdodaに登録した際は、多くの方が転職を考える時期でしたので、混みあっており、予定が合うのが2週間後でした)
早く転職したい方は、なるべく早い日程で面談を設定しましょう。
2.職務経歴書を「人事に刺さる」内容にするため
転職活動のために必要な書類といえば、「履歴書」と「職務経歴書」。しかし、過不足なく言葉にできている方は少数派です。はじめての転職であればなおさらです。
転職エージェントとの面談では、キャリアコンサルタントがあなたの経歴をヒアリングしたうえで、言葉足らずな部分や、改善点を教えてくれます。
書類添削に強みがあるエージェントは、リクルートエージェントです。
リクルートエージェントでは、卒業年月日など細かい部分まで見てくれます。
また、面談初日だけではなく、転職活動をはじめてからも、お願いすれば都度、職務経歴書へアドバイスをもらえます。
外資系転職に強みがあるエージェントでは、「RGF Professional Recruitment Japan」がおすすめです。
職務経歴書の内容だけではなく、「この段落を上に持ってきたほうが良い」と構成レベルのアドバイスをくれました。
3.今後の転職活動の方向性を決めるため
転職エージェントとの面談では、これからの希望についてもヒアリングしたうえで、希望と現実の落としどころを見つけてくれます。
JAC Recruitmentと面談した際は、
「今のあなたの経歴だと、このレベルの求人(年収400万円~500万円くらい)が目指せます。そして、更にキャリアを積めば、更に上(700万円くらい)を目指せます。英語力を上げることが重要です」と、具体的な求人票を見せてもらいながら、今後の方向性についてアドバイスをしてくれたので、転職活動だけではなく数年後の未来もイメージしやすかったです。
4.キャリアアドバイザーに本気度を伝えるため
面談は、転職エージェントに本気度を伝える場でもあります。
転職エージェントには、転職活動をはじめたばかりの方や迷っている方など、さまざまな求職者が面談に訪れます。転職エージェントは、企業から成功報酬をもらうビジネスモデルのため、転職への温度感が低い求職者は後回しにされてしまいます。
そのため本気度が伝わるように立ち回りましょう。
本気度を伝えるポイントは、
- 転職で何を変えたいか明確にする。
- いつまでに転職したいかを言う(3ヶ月以内と回答するのがベター)
- 言いにくい事情も包み隠さず伝える。
この3つです。
5.キャリアアドバイザーと合うかを見極めるため
面談は、これからお世話になるキャリアアドバイザーとの相性を見極める場でもあります。
キャリアアドバイザーは、転職のプロとはいえ普通の会社員なので、コミュニケーションが上手い人も下手な人もいます。「転職の面談に行ったらキャリアアドバイザーに嫌なことを言われた」という話をよく聞きます。
もちろんあなたのためを思って耳が痛くなるようなアドバイスを伝えてくれることもあります。そのため、一概には言えませんが、合わないな…と感じてしまったらそれが全て。別のエージェントに切り替えることも視野に入れましょう。
仮にキャリアアドバイザーが合わないと思っても、転職エージェントは数多ありますので問題ありません。合わないと思ったら次に行きましょう。
面談のポイント
実は前の職場を解雇されました。転職理由を言いにくいんだけど、隠すべき?
解雇された、非正規雇用歴が長いなど、言いにくいの事情を抱えている場合も、転職エージェントにはなるべく正直に話しましょう。
転職エージェントは、求職者に言われたことをそのまま企業に伝えるわけではありません。うまくオブラートに包んだうえでよりよいサポートが受けられる可能性があるからです。
正直に話すのはあなたのためでもあります。転職エージェントとのお付き合いは、転職が決まるまで最大3ヶ月~半年にも及びます。
その間、隠し事をしてサポートしてもらうよりも、正直に話してサポートしてもらったほうが、あなた自身が気持ちよく転職活動ができるでしょう。
スキルや職歴に自信がない場合はどうすれば?
スキルや実績がないと感じている場合も、その気持ちを担当アドバイザーに素直に伝えましょう。
転職を考えている方のうち、自信を持っている方は実は少数派です。実績やスキルがあるにも関わらず見落としている場合、転職エージェントは話をしっかり聞いたうえで強みを引き出してくれる場合があります。
また、あなたがまだ20代であれば、スキルや実績が求められない第二新卒枠やポテンシャル採用求人を紹介してもらえる場合があります。その際、「素直である」ことは大きなプラスポイントとしてはたらきます。
ですから、不安は素直に打ち明けましょう。
正直、現職に不満だらけなんだけど、どう伝えたらいい?
転職を考えているということは、少なからず現職に不満があるということで、キャリアアドバイザーもそれを理解しています。
そこで重要なのは、不満を不満のまま伝えるのではなく、どうしたいかを伝えることです。
たとえば職場の人間関係が不満であれば、
「今、パワハラ気味の上司で毎日憂鬱だから、穏やかな社風の会社に転職したいんですよね」
休日が少ないことが不満であれば
「今、プライベートの時間がまったく取れないので、年間休日〇〇〇日以上の会社に転職したいと思っています」
このように、不満+希望をセットで伝えましょう。転職により、何を改善したいかを伝えることで、よりよいサポートが受けられる可能性が高まります。
まとめ:面談を有意義な時間にするために
今回は、転職エージェントとの面談について伝えました。
繰り返しになりますが、転職エージェントとの面談で果たすべき目的は
- 面談を無事終了させ、転職エージェントのサポートを受けること
- 職務経歴書を人事に刺さる内容にすること
- 今後の活動についてアドバイスをもらうこと
- キャリアアドバイザーに本気度を伝えること
- キャリアアドバイザーとの相性を見極めること
この5つです。忙しいなか、せっかくの時間を使うわけですから、有意義な時間になるようにしっかりと準備、心構えをして臨みましょう。