ハローワークの適職診断(キャリアインサイト)について、実際に筆者が受けた体験や結果を元に、就職活動においてどれ程有効なのかを調査しました。
これからキャリアインサイトを受ける方にとって参考になれば幸いです。
適職診断(キャリアインサイト)とは?
適職診断(キャリアインサイト)とは、パソコンを利用して簡単な質問に答えることで、職業選択に役立つ適性評価や適性に合致した職業リストの参照、短期・長期キャリアプランニングなどを実施できる総合的なキャリアガイダンスシステムです。
この診断でわかること
キャリアインサイトの目的は、利用者が自分の個性を理解し、その上で将来の進路や職業について考える素材を得られるように支援することを目的としたプログラムです。
自分がどのような環境での仕事が適しているのか、どのような働き方が適しているのかを客観的な視点から評価してもらうことで、自分が気付かなかった職種への適正などを知ることが出来ます。
適職診断(キャリアインサイト)を受けるべき人の特徴
キャリアインサイトを利用すべき人の特徴は次のようになります。
- 応募職種に一貫性のない人、職種を絞り込み過ぎていて、選択すべき範囲が狭まっている人
- 現職での適性に迷いがある人
- 同じような職種に応募し続けているが、なかなか採用に結びつかない人
- もともとの性格や緊張等からあまり流暢に話せないタイプの人や言葉の少ない人
特に若年者で、職種の絞り込みができていない場合に、どのような職種に興味をもてるのかという手がかりを得るために活用するケースが多いようです。
また、中高年齢者の場合には、過去の職種にこだわりすぎる傾向があり、検討している職種が狭まっていることがあるので、検討する職種の範囲を広げるために活用することができます。
診断結果を元に、ハローワークの相談員の方に就職相談を行うことや、ハタラクティブなどの若年者向け転職エージェントでの面談に利用することが可能なため、就職活動の一番初めに行うことが望ましいと思います。
今回私は、現職での適性に迷いがあり、可能性の幅を広げるために適職診断を受けてみました。
適職診断(キャリアインサイト)の利用方法
適職診断(キャリアインサイト)は、全国各地のハローワークで受けることができます。
ハローワークによって、予約が必要な場合があります。
(私の近くのハローワークでは予約は不要でした。予約が必要な地方もあるため、必ず事前確認しましょう。)
事前に電話で構いませんので、キャリアインサイトを受けたい旨を伝えましょう。
ハローワークでは、総合受付でパソコンの利用申請を行い、キャリアインサイトを受けます。
ここで注意なのは、キャリアインサイトの所要時間が1時間~1時間半ということです。
ハローワークの閉館時間の2時間前にはキャリアインサイトによる診断を開始できるようにしておきましょう。
キャリアインサイトの診断は、各項目ごとに簡単な質問に答えるだけとなります。
回答も非常にシンプルなため、初心者でも迷うこと無く利用できると思います。
万が一システム上の問題が発生した場合は、総合受付に申し出ましょう。
※パソコンの利用申請。キャリアインサイトにチェックを入れる。
適職診断(キャリアインサイト)でわかること
※キャリアインサイトTOPページ
能力の評価
能力の評価では、8つのカテゴリーに分けられた能力についての分析が行なえます。
- リーダーシップ
人と交渉したり、指導、監督、集団をまとめる能力 - ボランティア&サポート
相手の気持を理解し、世話、用語、教育、援助する能力 - プランニング
イベントの企画、実行、運営をしたり、物事をてきぱきと処理する能力 - スポーツ&エクササイズ
身体作業や戸外での活動、持久力や体力、素早く行動する能力 - リサーチ&アナライズ
文章の読み書き、集約など、情報を理解し分析、まとめる能力 - コンピュート&アカウント
計算したり、帳簿をつけたりするなど、数字を扱う能力 - ハンドメイキング
道具や機材を使ってものを作ったり、修理、操作する能力 - アート&クリエイト
文学、美術、音楽、演劇などの創造的な活動を行う能力
これらの能力をパーセンテージで評価します。
自分の自身のある領域と自身のない領域がはっきりするので、得意な活動・仕事の領域とそうでない領域を把握し、どのような職種に適正があるのかを診断します。
参考に、私の結果はこちらになります。
自分の自身のある分野がそのまま結果に反映されるため、スキルの有無に関わらず適正を出してしまっているので、必ずしも出来る仕事だと捉えないほうがいいかもしれません。
診断すべてを通して言えることですが、あくまで参考程度に捉えましょう。
職業興味の評価
職業興味の評価では、
- 現実的興味領域
仕事や活動に対する好みや関心の強さ - 研究的興味領域
探求していくような仕事や活動に対する好みや関心の強さ - 芸術的興味領域
創造的で芸術的な仕事や活動に対する好みや関心の強さ - 社会的興味領域
人と接するような仕事や活動に対する好みや関心の強さ - 企業的興味領域
組織運営や経営などに関わる活動に対する好みや関心の強さ - 慣習的興味領域
一滴の決まった方式で性格にきちんと物事を処理するような仕事や活動に対する好みや関心の強さ
について、能力をパーセンテージで評価します。
言葉は難しいですが、自分が働く上で何を重視しているのかを評価しています。
価値観の評価
価値観の評価では、仕事を通じて何を求めているのかを評価します。
仕事重視なら・・・
達成感、仕事内容、社会への奉仕・貢献、成果に対する処遇、公平さ、継続性、独立や自営の可能性、資格取得の必要性、学問と仕事の関連性
会社重視なら・・・
雇用の安定性、賃金、将来性、ブランド力、企業規模
環境重視なら・・・
勤務地、昼間の勤務、休日のとりやすさ、育児・介護休暇の制度化、職場の対人関係、福利厚生、物理的化学的環境整備
自分が仕事に対して何を求め、何を重視して選択しているのかをそれぞれ重視度として評価しています。
参考に、私の結果はこちらになります。
さまざまな領域から関連する職業リストが表示されますが、ここでは現実的な職種が表示されることがほとんどありません。
希望する職業との相性診断で選択したリストに対して相性診断が行われるため、そのリストに利用する参考程度のものするのが望ましいです。
行動特性の評価
シミュレーション
あらゆる状況において、何を選択するかによって、自分の行動特性を客観的に評価します。
- 個人プレー or チームプレー
- 保守 or 改革
- 自由人 or 組織人
- フォロワー or リーダー
- スペシャリスト or ジェネラリスト
- マイペース or 負けず嫌い
これらの行動特性をパーセンテージで評価し、あなたの行動特性にあった職群を導きます。
参考に、私の結果はこちらになります。
診断内容は心理テストじみたものでしたが、内容は納得のものでした。
ただし、画像のように少し結果がわかりにくいので、この下の文章をよく読むようにしましょう。
性格・傾向チェック
ここでは、基礎的性格特性や思考特徴などを評価します。
評価内容は、
- ストレスへの耐性
- 変化への欲求
- 自身のある態度
などや、
- 対人接触への意識
- 対人応対への自身
- 電話へのやりとり
などの項目ごとに、どれだけ得意・不得意なのかを数値化します。
また、これらの評価から職場に求めるイメージ特徴を割り出し、どのような職種や部門への適性があるかをグラフ化します。
総合評価コーナー
今までの評価を元に、どのような職種がマッチしているかを算出します。
さまざまな領域から関連する職業リストが表示されますが、ここでは現実的な職種が表示されることがほとんどありません。
希望する職業との相性診断で選択したリストに対して相性診断が行われるため、そのリストに利用する参考程度のものするのが望ましいです。
参考に、私の結果はこちらになります。
短期キャリアプラン
希望する職業との相性診断
自分で選択した職種に対し、興味や能力とレベルの一致度を算出します。
各領域に対してそれぞれ評価が出るので、希望する職種が必ずしも自分に合っているのかどうかを確認することが出来ます。
就職準備度チェックリスト
現在の就職活動の進捗を確認するためのチェックリストになります。
あまり活用できるものではないので、飛ばしてしまっても構いません。
長期キャリアプラン
20代、30代などの年齢ごとに、自分がどのようになっていたいかを表で記録するためのものになります。
選択肢が少なく、あまり利用価値の高いものではありません。
適職診断(キャリアインサイト)をどのように利用するべきか?
ここまで、キャリアインサイトで何ができるのか、何がわかるのかを解説しました。
ここからは、実際の就職活動にどのように利用すべきかを解説します。
あくまで自己認識を改めるもの。応募には利用できない。
キャリアインサイトは、あくまで自分に対する自分自身の認識を改めたり、理解を深めるために利用するものです。
自己分析には利用できますし、自分の希望する職種がない場合は、あらゆる職種に対する可能性を広げることが出来ます。
しかし、実際に就職活動するにあたり、企業に応募するアピール材料としては利用できません。
それは、あくまで自己評価の延長線上のものであり、あなたのスキルを評価しているものでは無いからです。
あくまで自分の特性を理解することで、早期離職を防いだりミスマッチを減らすために利用するものだということを理解しておきましょう。
自分のキャリアプランを確立させる
若いうちに、〇〇歳までにこうなっていたい、こうでありたいと思い描いておくのは悪くありません。
そして、こういった機会は滅多にありません。
先程の解説では、選択肢が少ないため利用価値は決して高くはないと言い切りましたが、ぼんやりとイメージしておくことで、自分が就職に成功した際にやる気を出す一つのきっかけとして利用できることはあると思います。
小ネタ:適職診断(キャリアインサイト)は求職活動実績になる
キャリアインサイトを受けた後に職業相談を受けることで、求職活動実績になります。
求職活動実績は失業手当の条件にもなるため、実績の申請に困っている場合は受けてみるのもいいかもしれません。
適職診断(キャリアインサイト)のまとめ
キャリアインサイトで診断される内容の多くは、「自己評価に基づく適正」でしかありません。
希望する職種がはっきりしている方や、キャリアプランニング出来ている方にとっては全くもって不要な診断となります。
この診断は「やりたい仕事が見つからない」「自分に向いている仕事がわからない」方向けの診断ですので、結果はひとつの参考指標として捉えて、働くことに対する意識を改めるきっかけに利用することが最適だと思います。
ハローワークで職業相談中の方は、相談員の方にキャリアインサイトの診断結果を見せておきましょう。
きっと新しい道が見えて、職業選択の幅が広がるはずです。