製造業は給与が低い問題
工場での仕事は製造業に分類されます。
他の業種と比較すると、製造業の給与は低い傾向にあります。
以下のデータは、厚生労働省が発表した「令和2年賃金構造基本統計調査の概況」から、産業別の賃金格差を示したものです。
主な産業、性、年齢階級別賃金及び年齢階級間賃金格差
年齢(男性) | 建設業 | 製造業 | 情報通信業 | 運輸業,郵便業 | 卸売業,小売業 | 金融業,保険業 | 学術研究,専門・技術サービス業 | 宿泊業,飲食サービス業 | 生活関連サービス業,娯楽業 | 教育,学習支援業 | 医療,福祉 | その他サービス業 |
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25~29歳 | 25.6万円 | 23.6万円 | 26.6万円 | 24.6万円 | 25.2万円 | 29.3万円 | 28.3万円 | 22.5万円 | 24.8万円 | 27.8万円 | 26.4万円 | 23.5万円 |
30~34歳 | 29.2万円 | 26.7万円 | 32.6万円 | 27.1万円 | 28.3万円 | 38.5万円 | 34.1万円 | 25.4万円 | 28.1万円 | 33.7万円 | 30.0万円 | 26.6万円 |
年齢(女性) | 建設業 | 製造業 | 情報通信業 | 運輸業,郵便業 | 卸売業,小売業 | 金融業,保険業 | 学術研究,専門・技術サービス業 | 宿泊業,飲食サービス業 | 生活関連サービス業,娯楽業 | 教育,学習支援業 | 医療,福祉 | その他サービス業 |
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25~29歳 | 23.7万円 | 20.6万円 | 26.4万円 | 21.9万円 | 22.6万円 | 23.7万円 | 26.5万円 | 20.7万円 | 22.2万円 | 23.5万円 | 24.3万円 | 22.4万円 |
30~34歳 | 25.2万円 | 22.2万円 | 28.9万円 | 22.6万円 | 23.8万円 | 26.1万円 | 29.2万円 | 21.8万円 | 23.5万円 | 26.7万円 | 25.5万円 | 22.6万円 |
(引用元:令和2年賃金構造基本統計調査の概況 - 厚生労働省)
このデータは、給与が高くなりやすい25~34歳を対象としていますが、製造業が上回っているのは唯一サービス業であり、それ以外の業種を下回っていることが分かります。
また、50歳以降のデータを見ると、他産業に比べて低下傾向が大きく、製造業で長く働くこと自体がリスクであることがわかります。
(引用元:令和2年賃金構造基本統計調査の概況 - 厚生労働省)
工場勤務からキャリアアップするには
資格取得で給与アップ
工場勤務でも有資格者になることで特別手当が支給されるようになったり、担当できる仕事の幅が広がったりします。資格を保有していることで他の工場に転職する際にも有利になり、待遇が良くなります。
電気回路を作る仕事であれば、「電気工事士」や「電気主任技術者」の資格を取得しておくとよいでしょう。これらの資格を持っていれば、ライン作業だけでなく、設備管理にも携わることができるため、キャリアアップにつながります。
塗料や薬品を扱う担当者であれば、「危険物取扱者」がおすすめです。危険物を扱う工場では「危険物取扱者」は必須なので、今後も工場勤務を続けるのであれば早めに取っておいたほうがよいでしょう。
また、生産管理や品質管理を担当するのであれば、「生産管理業務」や「品質管理検定」といった資格もキャリアアップに有効です。働きながら必要な知識を身につけられるため、会社の制度を利用するなどして取得の準備を進めましょう。
転職で上流工程を目指す
いざ転職となると、「工場勤務の経験だけで何ができるんだろう」と思う人も多いはず。
しかし、実は工場勤務の経験は、とても貴重な経験として捉えることができます。
工場で働くということは、ものづくりの下流工程を肌で感じることができるということです。これは、上流工程での知識として大いに活用できるのです。
設計段階で気を抜くと、組み立て時に失敗するポイント、治具の作り方、作業効率を上げるために役立つ製図など、大いに活用することができます。
こうした知識を設計や企画に生かすことで、現場の作業工程や工数の削減につながり、コスト削減に直接貢献する貴重な財産となるのです。
20代の転職は選択肢豊富。上流を目指すor未経験職にチャレンジする
製造業・物流業界を軸にする
同じ職種の異業種に転職する方法は、年収アップやキャリアアップにつながる手堅い方法です。
これまで小さな会社の工場で働いていた人は、大手製造業や利益率の高い会社に転職することで、給与水準を上げ、手厚い福利厚生の恩恵を受けることができます。
職種や業界は違いますが、取得した資格や現場経験を活かすには、物流業界は最適な場所です。
工場で実際に作業効率化を行うなど、仕事の無駄やムリを省く経験は、納期が厳しいECサイトの物流センターでも活かせます。
工場勤務から製造業への志望動機例
現職では、自動車部品製造工場のラインで、10名の作業員を束ねるチームリーダーを務めています。生産部門のテクニカルエンジニアとして、自動車ボディの溶接を担当しています。
チームリーダーとして現場の作業だけでなく、スタッフのシフト管理も任されており、在庫管理の方法なども実践的に学んでいます。
貴社は、発展著しい東南アジア地域に進出し、グローバル戦略を展開している大企業です。私が携わってきた自動車が海外でも使用されていることに魅力を感じています。現職で培ったスキルや経験を活かし、将来は即戦力として現場のリーダーとして活躍したいと考え、志望しました。
サービスエンジニア(フィールドエンジニア)を目指す
職場で設備のメンテナンスを担当している方や、機械の修理や点検を行う部署に所属している方は、その技術力を活かしてサービスエンジニア(フィールドエンジニア)として活躍することができます。
サービスエンジニアは、顧客先に出向いて機械の設置やメンテナンスを行う職種です。
工場で仕事を完結させる設備保全担当者よりも、臨機応変な対応とフットワークの軽さが求められます。
お客様とのスケジュール調整や見積もりなども、企業の担当者と直接行うので、コミュニケーションが好きな方におすすめの職種です。
工場勤務からサービスエンジニアへの志望動機例
現職では、家電製品やデジタル製品に使用される部品の生産ラインで、約3年間、品質管理を担当しています。
この3年間で50種類以上の製品を担当し、さまざまな製品の仕様や機能を短期間で習得するスキルや、機械部品の構造、電気部品の特性などの知識を身につけてきました。
また、顧客担当者とのやりとりを通じて、相手の意図を汲み取り、状況を正確に伝える能力が身についたと感じています。
貴社が扱う医療機器は多くの人の命と健康を守るものであり、高度な知識と技術が必要だと考えています。
これまで身につけた機械に関する知識、メンテナンススキル、お客様との折衝力、交渉力などを活かし、貴社の業務でも力を発揮していきたいと考えています。
工場での経験を活かしてコンサルタント職を目指す
工場でコスト削減や業務効率化の中心的な役割を果たし、自らも高い成果を上げてきた方は、製造業専門のコンサルタントとしてそのスキルを活かすことができます。
生産工程の短縮や業務の再編成など、現場を知り尽くした工場出身者だからこその最適なアドバイスが可能です。
数字という高い成果が求められる仕事なので、クライアントの経営陣との距離が近く、工場勤務では味わえない責任感や高いインセンティブを得ることができます。
また、工場での採用活動や面接の経験がある方は、工場のスペシャリストを目指すことも可能です。
コミュニケーション能力が高く、人の適性を見抜く力がある方にはお勧めの業界です。
30代で転職するなら同職種or同業界が鉄則
未経験で異業種・異業界はリスクが高い
30代での工場からの転職は、独特のスキルや経験が必要です。
特に、新卒で30代まで工場で働いていた人が、未経験で異業種・異業態に転職するのはハードルが高いです。
そのため、工場からの転職は
「1年分の収入を失いたくない」「チャレンジが嫌い」「言われたことしかしてこなかった」
現状を維持したい、自分のスキルに自信がないという方は、工場から同業種・同職種の会社へ転職するのが鉄則です。
資格を活かした転職もおすすめ
工場で長く働いていると、いろいろな資格を取得することができます。
工場で取得した資格は腐らないので、就職活動では積極的にアピールするとよいでしょう。
特に最近人手不足が叫ばれている物流・運送業界では、フォークリフトオペレーターなどの資格は非常に重宝されます。
資格さえあれば、40代、50代でも中途採用のチャンスはたくさんありますので、転職活動で資格を最大限に活用しましょう。
多くの資格を持っていれば、転職サイトに登録するだけで、毎日、転職エージェントや企業から直接、面接のオファーが届きます。
そのため、アピールできる資格があるのであれば、積極的にアピールしない手はないでしょう。
働きながら転職を成功させるためには
働きながら転職活動するコツ
転職活動で最も手間がかかるのが、応募先企業とのスケジュール調整です。
工場勤務の場合、シフト制で休みが不規則になることもあり、企業とのスケジュール調整が非常に煩雑になります。
そのため、転職エージェントを利用することをおすすめします。
転職エージェントとは、人材を必要としている企業に対し、転職したい求職者を紹介するサービスです。誰でも簡単な登録作業をするだけで、基本的に無料で利用できます。
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地方企業を狙いたい人は「リクルートエージェント」
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また、申し込んだ後、実際に面談できるまでには、最短で3営業日後くらい、通常は約1週間後くらい、繁忙期では2週間後になることもあります。
なるべく早く転職活動を始めるためにも、先に申し込み手続きだけでもしておくことをおすすめします。