はじめに
2020年3月31日、東京地下鉄株式会社(以下、東京メトロ)は公的医療保険制度の適用外である先進医療について、患者の金銭的負担になる治療費を補償する「先進医療補償制度」を2020年4月に導入することを発表しました。
これは、医療保険適用外と判断されてしまう先進医療を受ける社員の金銭的負担を減らし、治療と仕事を両立して安心して働き続けられる環境づくりを目的とした制度です。補償金は1人あたり、1年通算500万円までという上限はあるものの画期的な制度だといえるでしょう。
(参考:東京地下鉄株式会社ーニュースリリース)
こうした、社員が働きやすい環境を整える姿勢を見せる東京メトロは、多くの人が交通手段として利用する大手私鉄の1つです。東京メトロで活躍したいと考える人も多いでしょう。この記事では、東京メトロへの転職情報や採用情報をご紹介します。
東京メトロへの転職についてのまとめ
- 口コミからの総合評価
- 3.09
東京メトロの転職レーダーチャート
東京メトロの特徴
- 東京を中心に9路線が走る大手私鉄の1つで、1日約740万人以上が利用している
- 平均年収約737万円と業界では高い水準
- 上下関係がはっきりしている社風で人によっては人間関係に苦しむこともある
- 本社勤務ではなく駅の係員などの現場勤務になると泊まり勤務がある
- 有給休暇消化率は70%前後と非常に高く、安定的に取得できる様子
東京メトロへの転職でおさえておきたいポイント
- 公式HPでの募集は現在おこなわれていない
- 既卒採用はエキスパート職しかなく、ほとんどが現場勤務となる
- 非公開求人を探すべく、転職エージェントに登録しよう
東京メトロの企業情報
それでは、東京メトロの企業情報をご紹介します。
基本情報
事業内容 |
・旅客鉄道事業の運営 ・関連事業の運営… 流通事業(駅構内店舗、商業施設の運営等)、 不動産事業(オフィスビルの賃貸等)、 情報通信事業(光ファイバーケーブルの賃貸等) |
---|---|
代表者 | 山村 明義 |
設立 | 2004年4月1日 |
資本金 | 581億円(2020年4月現在) |
従業員数 | 9,865人(2020年3月末現在) |
所在地 | 東京都台東区東上野三丁目19番6号 |
(参考:東京地下鉄株式会社ー会社概要)
企業理念やビジョン
東京地下鉄株式会社のグループ理念はこちら。
東京を走らせる力
私たち東京メトログループは、鉄道事業を中心とした事業展開を図ることで、
首都東京の都市機能を支え、都市としての魅力と活力を引き出すとともに、
優れた技術力と創造力により、安心・安全なより良い快適なサービスを提供し、
東京に集う人々の活き活きとした毎日に貢献します。
(引用元:東京地下鉄株式会社グループ理念)
東京メトロでは、グループ全体のビジョンとして上記のようなグループ理念が定められています。今や東京の至る所に張り巡らされた地下鉄によって、簡単に長距離を移動できるようになっています。ただの移動手段としてではなく、安心で安全なサービスの提供をおこない、東京に集まる人々の生活に貢献する考えです。東京メトロに転職したい人は、こうしたグループ理念を理解しておくと良いでしょう。
東京メトロの事業展開
東京メトロでは運輸事業をはじめ、不動産事業や流通・広告事業も展開しています。
これらの事業は中核となる運輸事業に関連して発達しており、不動産事業では渋谷駅街区開発や、駅周辺施設に駅直結のエレベーターの設置、流通・広告事業では車内のデジタル広告の整備など、運輸事業とシナジー効果の発揮を意識して展開しています。
各セグメントの売上も緩やかに増加しており、運輸事業の安定性もあり順調な業績と言えます。
(引用元:決算報告書|東京地下鉄株式会社)
東京メトロの転職基礎知識
次に、東京メトロの転職基礎知識をご紹介しましょう。
平均年収
約737万円(37.3歳)(有価証券報告書調べ)
海運・鉄道・空輸・陸運業界の平均年収:517万円と比較すると、200万円ほど高い水準です。
(出典元:2019年版 業種別 モデル年収平均ランキング - マイナビ転職)
世代別平均年収
続いて、世代別の平均年収を確認してみます。
年代 | 平均年収 | 最高年収 | 最低年収 |
---|---|---|---|
20代 | 400万円 | 450万円 | 300万円 |
30代 | 500万円 | 599万円 | 420万円 |
40代 | 700万円 | 814万円 | 600万円 |
(引用元:転職会議)
転職サイト「doda」の「平均年収ランキング」によると、業種は関係なく一般的な世代別の平均年収は次の通りです。
- 20代…345万円
- 30代…442万円
- 40代…507万円
これと比較しても、各年代とも平均年収は高い水準だといえるでしょう。
労働環境
- 新しい駅であればあるほど、設備や仮眠室などが綺麗
- 東京メトロでの働き方は大きく分けて2つあり、「係員」と「本社勤務」。本社勤務の場合には一般企業のサラリーマンと同じで土日休み
- 駅係員などの現場では、泊まり勤務や早出や明け番などの組み合わせが悪いと13日連続勤務などになることがある
- 基本的に地下に係員待機場所があり換気が不十分で、空気が汚れている(仕事が終わるとマスクや鼻の穴が真っ黒になっている)
- 泊まり勤務などで併設のシャワールームなどがあるが、古い駅だと設備も古く汚い
福利厚生
- カフェテリアプランのポイント支給制で、飲食店の利用や書籍購入、ホテル利用にも使用できる
- 職務乗車証がもらえるため、自社線ならば無料で乗車可能
- 会社に医療センターがあるため、それを利用すれば医療費が浮く
- 独身寮や家族寮も用意されているため家を安く借りられる
- 家賃補助がないため、安い給料で家賃や住宅ローンをやりくりしなければならない
残業時間
口コミサイトでは、21.3〜28.8時間と比較的少ない結果となりました。
ただし、前述の通り駅係員の仕事では泊まり勤務などがあり、これ以上残業はできないほどに1日の勤務時間が長く、連続して出勤することがあるようです。また、本社勤務でもほぼ毎日残業があると口コミされている人もいました。
配属される駅や部署によって残業の状況が異なるようです。慢性的な人員不足を感じている社員も多かったため注意しましょう。
有給消化率
口コミサイトでは、67〜79.3%と高い有給消化率でした。
東京メトロでは、基本的に有給休暇を取得しやすい雰囲気で、ある社員は10連休を取得して海外旅行もしたようです。ただし、シフト制である駅係員などの仕事では、ほかの人が有給休暇を取得する際には自分が出勤することになります。お互いに協力しあって取得しやすい雰囲気になっているので留意しておきましょう。
東京メトロの中途採用求人情報
続いて、東京メトロの中途採用情報をご紹介します。
東京メトロにはどのような職種があるのか
東京メトロでは、次のような職種があります。
総合職 |
・総合職事務系(運輸営業、事業開発、経営企画、一般管理) ・総合職技術系(機電系(車両・電気)、土木、建築) |
---|---|
エキスパート職 |
・運輸職種(駅係員、車掌、運転士) ・技術職種(車両(車両のメンテナンス)、 電気(電気設備のメンテナンス)、 土木(トンネル等の土木構造物や線路のメンテナンス)、建築(駅舎の改良工事やリフォーム) |
(参考:東京地下鉄株式会社ー東京メトロの仕事内容)
東京メトロの職種は、総合職とエキスパート職に分けられています。また、エキスパート職の「運輸職種」では、駅係員・車掌・運転士の3つに分かれますが、基本的に車掌と運転士いには駅係員の経験が必要です。車掌か運転士を目指したい人は、まずは駅係員の仕事をマスターしましょう。
求人の傾向・採用している職種
公式HP・転職サイト「doda」「リクナビNEXT」のいずれも、現在は中途採用の募集をおこなっていません。そのため、東京メトロに転職したい人は、次のエントリー時期まで待つか、転職エージェントに登録して非公開求人がないか探してもらいましょう。
転職エージェントによって得意な業界や職種、企業規模などが異なりますので、まずは自分の希望に合う転職エージェントを見つけましょう。
東京メトロへの転職の際には、大手企業やメガベンチャーとも強いパイプをもっているリクルートエージェントやマイナビエージェントがおすすめです。
どちらも中途採用業界においては最大手のエージェントで、特に大手企業からの信頼は絶大なものがあります。さらに、人事部だけでなく事業部から非公開求人の依頼を受けているケースもあり、目当ての求人が得られる可能性が高いです。
その他の転職エージェントの詳しい情報は1106人に聞いた、口コミで評判のおすすめ転職サイト・転職エージェントが参考になります。
またエージェントを利用する際、担当者には希望する企業と職種をはっきり伝えましょう。仮にそのタイミングで取り扱いがなくても今後の見込みをアナウンスしてもらえたり、関連企業の求人などを案内してもらえたりする可能性もあります。
実際の求人情報
先にも述べた通り、現在中途採用の募集はおこなわれていません。そこで、参考として前回の募集内容をご紹介します。
「エキスパート職」運輸職種
【募集職種】
駅係員・車掌・運転士
※車掌・運転士は駅係員勤務をおこなったのち、乗務員登用試験に合格すること
【応募条件】
不問
【勤務時間】
日勤勤務/8:00〜16:35、宿泊勤務/8:00〜翌日8:00
【休日休暇】
休日/完全週休2日制(曜日は配属により異なります)
休暇/年次有給休暇、慶弔休暇、リフレッシュ休暇等
【勤務地】
東京メトロの沿線の各管理区
(参考:東京地下鉄株式会社ー【既卒】エキスパート職募集要項)
東京メトロの採用方針
東京メトロでは、新卒者向けに次のような求める人物像を発信しています。
- 幅広い視点で深く考え決断し、実現できる人
- 周囲を巻き込み東京メトロを牽引していける人
- +αで何ができるかを考え実現できる人
これは新卒者へのメッセージですが、中途採用にもいえることでしょう。中途採用の場合、この求める人材のほかにも高度なスキルや知識などが必要です。詳しくは転職エージェントに相談してみましょう。
東京メトロの選考に関する情報
それでは、ここからは東京メトロの選考情報について考察しましょう。
東京メトロへの転職難易度
東京メトロへの転職難易度は高いといえるでしょう。そもそも、現在は中途採用を募集していません。そのため、転職エージェントで非公開求人を探してもらうか、募集が開始されるのを待つことになります。
このような転職できる機会が少ない状況のため、東京メトロへの転職は難しいといえるでしょう。また、もしも求人があったとしても日本の大手私鉄というブランド力から、応募者数が多いことが考えられます。書類選考などで足切りされてしまわないようにしっかり対策しておくことが重要です。
選考の流れ
前述のエキスパート職(現在は募集なし)の選考フローは次の通りです。
プレエントリー(3月6日〜4月3日)
↓
WEB適性検査
↓
第一次選考(5月上旬予定)
↓
第二次選考(5月下旬予定)
↓
第三次選考(6月上旬予定)
↓
内定通知(6月下旬予定)
(参考:東京地下鉄株式会社ーー【既卒】エキスパート職募集要項)
選考内容は「適性検査・論文試験・面接・健康診断」がおこなわれる予定となっています。また、エントリーが3月から始まり、内定通知が6月下旬というスケジュールのため選考期間は約3〜4ヶ月程度かかると考えておきましょう。
筆記試験の有無、種類
先にご紹介したような選考フローだとすると、筆記試験はなく論文試験があるようです。詳しい内容については公開されていませんので、転職エージェントに相談してみてくださいね。
必須・推奨される資格
東京メトロへ転職する際には、基本的に必要とされる資格などはありませんが、専門性が高い分野の職種は指定があります。
例えば、技術職種のなかの「電気職種」では、「電気・電子・情報システム系学科、機械系学科卒業または電気・電子・情報システム系の実務経験がある方」という記載がありました。また、運転士を目指す場合は一定以上の視力が必要になる可能性が高いため注意が必要です。
面接で聞かれること
東京メトロの面接では、次のような質問があります。(参考:転職会議)
- この会社に入ったら何をしたいですか
- 今日はどのような交通手段で来ましたか
- JRでも同じ仕事ができるなか、なぜうちを受けたのですか
- 夜勤があるが大丈夫ですか
- 安全とはなんだと思いますか
- 人の生命とは何ですか
東京メトロでは、一般的な質問に加えて上記のような独特な質問もあるようです。JRやほかの私鉄ではなく、なぜ東京メトロを受けたのかという部分を明確にしておくことをおすすめします。面接に不安がある人は、必ず転職エージェントと一緒に対策を立てましょう。
東京メトロへの転職に関する口コミや評判
最後に東京メトロで働いていた社員や現社員の口コミをご紹介します。
・安定した収益があるので、潰れにくい会社であると思います。
・兎に⾓安定している。東京⼀極集中が進む中で、鉄道事業に収益の⼤半を依存していても同業他社に⽐べて少⼦⾼齢化の影響を受け⾟いのではないか。給与が安定していて下がる事が考えにくいのも強み。
・中途採用者の活躍は目覚ましい。中途採用者だからといって特別扱いされる訳でもなく、活躍できる場は用意されている。退職者も少なく、雇用はすごく安定している。
・退職する人はほとんどいない。中途採用者も活躍しており、安定性は申し分ない。公共交通機関ということもあり景気にも左右されにくく、長年働いている人がたくさんいる。
・少子高齢化による生産人口が減ることが目に見えているので、安定はしているが、課題もある。これはメトロに限ったことではないが、少子高齢化が将来的に安定性を崩すこともありえなくはない。
・年数を重ねれば何もしなくとも給料は上がるところ。どんなに仕事ができなくとも給料が少なくなることはない。公務員に準拠した給与体系を望む⼈には⾮常におすすめできる。
・ボーナスは良い。福利厚⽣も恵まれて、不安はない。給料は若いうちはやはり厳しく残業しないとボーナス頼りとなっていた。
・年収は年功序列な感じ。仕事さえ覚えれば同じ勤務の繰り返しで楽してお金は貰える。ボーナスは1年で夏と冬に基本貰える。だいたい3ヶ月分。昇給は8年くらい経てば課長レベルの試験があり、受けたい人が受けられる。
・必ず昇給があり、ボーナスも年に2回必ずある。残業代もきちんと支払われるため、働いた分だけ必ずお金になる。
・内容から見ると少しどころかかなり少ないと思う。24時間勤務で手当てついてくるなら年収450くらいないと・・・。査定はみんな+-0ぐらいだから、よっぽどひどいことしないと下がらないし、上がらない。安定しているけど普通の会社にくらべれば、安いと感じている。鉄道だからしかたないのかも。
・年功序列。普段の仕事ぶりはほとんど関係なく、試験⼀発勝負で昇進が決まる。
・資格取得や勤務態度等で評価が上がる事がある(急遽の出勤を引き受ける等)
・長くいればいるほど給料も上がってく典型的な年功序列制なので、はまる人にはいい環境かもしれない。仕事ができる人は本社に行く。
・半期に一度目標設定などありますが、達成したからといって給料アップがあったりしません!今のところ年功序列になっています!
・大卒。とりあえず大卒じゃないと話にならない。高卒では現業どまり。本社、管理職になるのは絶対に大卒。会社のパンフレットとかには高卒でも上に行きそうなことがかいてあるが、絶対にいけない。後大卒でも上司を持ち上げてゴマすっていくようなやつじゃないと出世しない。上司の推薦が必要だから。
・鉄道業界という安定した会社で不安なく業務に集中して働くことができること。
・駅員乗務員技術社員関係なく⽇々利⽤者の安全を当たり前に確保する責任があり、それが働きがいである。⼜、駅員や乗務員は、⼦供の夢として挙げられやすい仕事という意味でも働きがいがある。
・東京の中心を心臓の血管の用に走っている東京メトロ。その中で自分が働いているという実感を常に持って働けます。点検作業、修理作業、どれも地下鉄を運行するにあたって大切なことです。安心して電車を走らせる事ができた時の達成感はかなりのものがあります。上司からのアドバイスなども多く貰えることができ、(職場によりますが。)自分の仕事でもスキルアップにもつながります。やはり大都会東京を自分の手で動かしてる感があります。
・やはり大都市東京の交通網を担っているという実感は有る。他社の鉄道会社とは違い、地下空間というある意味色々な可能性は秘めているかと思う。
・慣れるとマンネリ化する。新人も慣れてくるとサボる奴も多い。お客様商売なんで仕方ない部分も有るが、理不尽な事を言われると辛い時も有る。
(引用元:キャリコネ、openwork、転職会議、カイシャの評判)
おわりに
東京の地下鉄で日々多くの人の生活を支える東京メトロは、日本の大手私鉄の1つです。鉄道が好きな人はもちろんのこと、東京全体を大きく支えたいと考える人にとっても憧れの企業といえます。東京メトロへの転職を考えている人は、ぜひ転職エージェントに登録して非公開求人を探しましょう。