今、注目を浴びるRPA業界。前編では、RPA導入コンサルティング事業を手掛ける片岡さんへ、「RPAの台頭で事務の仕事はどうなっちゃうの…?」と根掘り葉掘りお聞きしました。
後編では、RPA業界で働くのに興味がある方へ、業界の内部事情や、未来予測などより専門的にRPA業界を深堀りしていきます。記事の末尾に、リモートで働けるRPA関連業務の求人情報もありますよ。どうぞ最後までお読みください!
(聞き手・中村 めぐみ)
Interviewee:株式会社ミナルキ 代表 片岡美紀(かたおか・みき)
バックオフィス業務改善 RPA導入コンサルタント。
2009年頃より、コールセンター・バックオフィス部門のスーパーバイザー業務を経験。2019年10月に株式会社ミナルキを設立し、中小企業向けバックオフィス改善・RPA導入コンサルティングを展開。
二極化するRPAエンジニア需要
後編では、より専門的なお話を伺えたらと思います。今まさに黎明期の最中にあるRPA業界で、どのような人材が求められているかを教えてください。
今、RPA業界では、大きく分けて2種類の職種が求められています。ひとつめは、RPAの構築を行うエンジニア職。もうひとつは、現場へ導入支援をするコンサルタントです。こちらは2018年のデータですが、エンジニアならば最高年収2,000万円、コンサルタントならば最高提示年収3,000万円とありますね。
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ゼロの数が、多いですね!
これを見たら、自分も転職したい!と思う方が続出するでしょうね。ただ私は、この状況がいつまでも続くわけではないという見方をしています。というのも、現在、RPA人材に求められる役割は二極化しています。例えばエンジニアの場合、難易度の高いRPAのプログラムを組むエンジニアと、簡単なRPAを組む現場担当者の求人に分かれます。
むずかしいRPAと、簡単なRPA…。
むずかしいRPAには、たとえば大企業が導入しているようなサーバーサイドで動くRPAがあります。RPAをサーバーコンピューターにインストールして、オブジェクト構造を認識して動作を覚えさせる、大規模プロジェクトに向くシステムを構築する仕事です。このような仕事では、ネットワークの知識も要りますし、決して簡単とは言えないので、専門的なプログラミングの知識が必要となります。
RPA業界では、どのようなプログラミング言語が重宝されていますか?
ソフトウェアにもよりますが、.NET、JavaScript、そしてPython等も使われています。これはRPA業界に限りませんが、IT系では複数のプログラミング言語を身につけていると、より需要があると思います。私が聞いた話では、ひとりあたり、1時間2万円もの発注単価となるとの情報もありました。それだけ開発者が不足しているということでしょう。
す、すごい。
またRPAは、一度導入したらハイ終わり!という技術ではなく、常にメンテナンスをしなければいけないものなので、メンテナンス要員としてのエンジニアさんも必要です。ただ、ハイスキルのエンジニアを常にお願いすると高額になるので、作業部門毎のRPAは日々の運用やメンテナンスが簡単な、現場担当者が自分で作れるRPAを導入する動きも増えています。
現在RPAソフトウェアがどんどん使いやすくなっているので、RPAのメンテナンスも出来る事務の求人なら、時給1200円というケースもあります。
事務系のアルバイトぐらいの相場感になるんですね。
つまりRPAと言っても、年収3,000万のスキルと、時給1,200円のスキルレベルがあるんです。これからRPA業界を目指すエンジニアさんは、どのくらいのスキルレベルを身に着ければ、自分を良いところに置けるのか?と考えることが大事でしょう。
伴走型が求められるコンサルタントの世界
RPAだからといって、必ずしも高く評価されるわけではないのがわかりました。コンサルタント業界の需要はいかがでしょうか?
RPAコンサルタント業界でも、需要が高まってくると思います。ただ、中小企業向けでは、導入のためのコンサルタントは、引き合いが多くないですね。
伴走型のコンサルタントが求められていますか?
はい、導入後も伴走でき、業務改革を一緒に進めてくれるようなコンサルタントが求められています。「RPAは簡単、使いやすくなった!」とはいえ、自社の方は忙しいじゃないですか。まとまった作業がたくさんある大手企業であれば、専門のシステム会社に外注して工数をぐっと下げることもできると思うのですが、様々な業務が横断的に存在する中小企業では、RPAを導入したからといって、業務が減るわけではないんです。RPAを導入するために、エクセルシートを直すところから始めなければいけない職場もありますね。業務の根幹から携われるコンサルタントが求められています。
RPA=業務改革ではないんですね。
コンサルティング先の業務をヒアリングして、「まずはこの作業をRPA化してみましょう」と提案したり、RPAの作り方をバックオフィス部門の方へ教えたりするなど、具体的な作業を提案できるコンサルタントが人気になるでしょう。そういった意味では、たとえば中小企業診断士の方や、ITコーディネーターの方など、コンサルティングスキルをお持ちの方がRPAの業務支援をするのであれば、価値が出ると思います。
エンジニア、コンサルタント以外の関連職種はどのようなものがありますか?
RPAのソフトウェア本体を開発する方ですね。自社の業務を自動化するために開発したシステムを改良して、RPAとして売り出す開発会社さんも増えています。IT・ソフトウェア業界では常に人手不足ですので、エンジニアの方ならば歓迎されると思います。
今後のRPA市場の求人動向はどうなっていくと思いますか?
RPAの普及に伴い、エンジニア、コンサルタント以外にも、RPA部隊の専門派遣企業や、RPAを教える先生の求人が出てきたりなど、職種の幅が広がっていると思います。そのため、RPA業界のなかでも、自分に合った職種を選べる状態に今後なっていくでしょう。
RPA業界で働く際に、気を付けたほうが良いことはありますか?
現在の技術はいずれ陳腐化する可能性があることです。昨年の段階で、RPAは第一世代/第二世代/第三世代に分かれると言われており、いずれ人工知能(AI)の一部になり、吸収されるという見方もあります。ITの世界でも、20年前は旬でもてはやされた技術が、新しいものに置き換わっていますよね。なのでRPAをこれから始める方は、周辺情報にアンテナを張っておいて、一番より良いところに自分を置けるようにブラッシュアップしていってほしいですね。
最後に、片岡さんの会社についてお伺いしました
片岡さんは、コンサルティング業を展開するなかで、課題を感じられることはありますか?
RPAはバックオフィスの負担を軽くするための技術ですが、<RPAを導入しよう>と考えるのは経営層の方なので、社内の方と温度感が異なる場合があります。前編でもお話しましたが、事務部門の方は、RPA化で自分たちの仕事がなくなるのでは?という不安を持っていたりとか、システム部門の方は「現場で作れるRPAを入れたはずなのに逆に自分の仕事が増える」と考えていたりとか。なので、RPAを導入する音頭をとる方がいらっしゃると良いのかなと。
片岡様が代表をつとめる、株式会社ミナルキへコンサルティングをお願いしたい場合は、どうすれば良いのでしょうか?
当社では、RPAを導入するまでは無料で対応させていただいてるんですね。その代わり導入した後、ある程度RPAが運用できるなるまでのサポート費用を頂いています。
まずは、今、RPA導入をお考えになっているご担当の方から、「周りを説得できるかどうか?」「自分のとこからならどこから始めたら良いか?」など、お気軽にご相談いただけましたらと思います。RPA はスモールスタートが可能なので、実際のデモ画面を見て、経営層の方、事務の方を交えながら一緒に相談をしながらRPA導入まで、そして導入後のサポートをさせていただきます。まずはお気軽にお問い合わせを頂けると良いのかなと思います。
それから、当社でもスタッフを募集しているんですよ!
ええっ、そうなんですか?詳しく教えてください!
今、会社を立ち上げたばかりで忙しいので、事務作業を手伝って頂きたいです!たとえば、プレゼン資料を作成したり、ホームページの作成、メンテナンスをしていただいたりなど…。在宅でできるお仕事ですので、子育て中、介護中の方に、リモートワークでお手伝いいただけたらと思います。
在宅でお仕事ができるなんて、魅力的です。
そして、こちらからお願いする作業の中でも、「めんどくさい作業」をどんどんRPA化していって欲しいんです。そして将来的には、お客様のところに直接伺って、導入、運用のサポートをしていただけましたらと思っています。事務経験が豊富で、なかなか家を空けられない方がいらっしゃったら、是非ご応募いただけたらと思います。
片岡さんが代表をつとめる、株式会社ミナルキで働きたい方は、公式ホームページのお問合せフォームまでご連絡を!
前編、後編と、RPA業界について網羅的に教えて頂き、ありがとうございました。私もRPA化できる作業がないか、考えてみたいと思いました!
<前編 事務は評価されるべきスキルーRPAコンサルタント片岡さんに訊く、中小企業を支援する理由 はこちら!>