転職サイトや転職エージェントはどうして無料なの?転職サービスのビジネスモデルとは


ライター:tomomi
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「転職したい」と思った時に、多くの人が活用する「転職サイト」か「転職エージェント」。

利用したことがある人はご存知かもしれませんが、転職サイト、転職エージェントサービスは、ほとんどの場合、「無料」で利用することができます。

無料のサービス、有料のサービス

しかし、たくさんの求人が掲載されていて閲覧・応募できる「転職サイト」や、一人ひとりに担当者がつき転職活動の手厚いサポートをしてくれる「転職エージェント」を、なぜ私たちは無料で利用できるのでしょうか。

この仕組みを知ることは、転職活動の注意点を理解することにつながります。

今回は、転職サイトと転職エージェントが「なぜ無料で利用できるのか」、それぞれのビジネスモデルについて詳しく解説します。

 

「転職サイト」のビジネスモデルについて

はじめに、転職サイトのビジネスモデルについて解説します。

転職サイトとは、企業の求人を閲覧し応募できるサイトのことです。無料の会員登録をすることで、サイト内のすべてのサービスを利用できます。

ちなみに、会員登録をしない場合は一部の求人を閲覧が制限されるか、応募などはできないようになっていることがほとんどです。

基本的に自分で求人検索して自分で応募を進めるため、マイペースに転職活動をしたいという人向けの転職支援サービスと言えます。

日本で一番大きな転職サイトはリクナビNEXTで、求人数や地方まで含めたカバー率は他の転職サイトの追随を許しません。

転職サイトは「企業からの求人掲載料」で成り立っている

求職者が転職サイトを「無料」で利用できるのは、転職サイトが「企業からの求人掲載料」をもらっているからです。

企業は、自社の公式HPなどでも求人を掲載することができます。

しかし、この方法では「この会社に転職したい」と決めている求職者向けにしかアピールできません。有名企業であればそれで良いのですが、あまりに目立たない商材を扱っている会社や、中小企業、立ち上げたばかりのスタートアップは、人を探していることを知ってもらうのが難しいのです。

そこで企業は、転職サイトを利用して求人を掲載します。掲載費用がかかったとしても、転職サイトに求人を掲載することで応募を集めることができるわけです。

転職サイト収益の仕組み

こうした企業からの求人掲載料で転職サイトの運営は成り立っています。

転職サイトの求人掲載料の目安

では、転職サイトに求人を掲載する場合、どのくらいの費用がかかっているのでしょうか。

転職サイトに求人を掲載する費用は、一般的に「2週間で20〜40万円」が相場と言われています。しかし、これはあくまで基本費用。

追加でさまざまなオプションが用意されていて、費用は大きく変動します。

オプションには「求職者へのスカウト機能」「目立つ場所に掲載(常に新着として掲載)」などがありますが、オプションを追加していけば「80〜90万円前後」になることも珍しくありません。

転職サイトを活用するときの注意点

転職サイトの注意点

転職サイトを利用して自己応募をする際は、自分自身で企業研究を念入りにおこなう必要があります。なぜなら、転職サイトに載る求人は企業の「広告」であり、その企業にとって良い面しか載せていない可能性があるからです。

その情報を鵜呑みにしてしまうと、「入社してみたら思っていたのと社風と違う」というミスマッチや、「労働条件が聞いていたのと違う」といったトラブルの可能性もあり、その労働者は泣き寝入りするしかありません。

そうならないためのポイントは3つです。

1.求人情報を鵜呑みにしない

繰り返しになりますが、転職サイト掲載の求人情報は「広告」と捉えましょう。

2.労働条件をしっかり確認

労働条件で不明なこと、気になっていることがあればしっかり確認しましょう。
ただし一次面接の逆質問で条件ばかりを聞いてしまうとかえって悪印象になりかねないため、できれば内定が出た後にメールや電話などで人事部へ直接確認しましょう。

3.口コミサイトで退職者の声も確認

「転職会議」「OpenWork」などのサイトで、現役社員や退職者の企業の口コミを確認することができます。この情報もぜひ参考にしましょう。

ただしこちらの情報についても、企業にとって悪い情報ばかりが書かれている可能性があるため、鵜呑みにしないように気をつけましょう。

「転職エージェント」のビジネスモデルについて

つづいて、転職エージェントのビジネスモデルについてご説明します。

転職エージェントとは、求職者一人ひとりに担当者が付いて転職をサポートしてくれる転職支援サービスです。「人材紹介」とも呼ばれます。

転職エージェントも、転職サイトと同じように無料の会員登録をしてから利用します。

担当者とのカウンセリングで「自分がどういう条件を望むのか」「自分の強みは何か」などを話し合い、求職者にあった求人のみを紹介してくれます。

また、履歴書や職務経歴書などのレジュメの添削や面接対策もおこなってくれるため、転職することに不安を感じている人向けのサービスです。

日本で一番大手の転職エージェント(人材紹介サービス)はリクルートエージェントです。

転職エージェントは「企業からの報酬」で成り立っている

転職サイトよりも遥かに手厚いサポートを受けられる転職エージェントを、無料で利用できることに驚く人も多いかもしれません。

転職エージェントが無料で利用できるのは、「企業からの成功報酬」で成り立っているからです。これは企業に人材が入社した時点で「企業→転職エージェント」に支払われる報酬のことです。

企業と転職エージェントのやりとりは、以下のような流れになっています。

転職エージェント 収益の仕組み

企業の人事や担当者が、転職エージェントの担当者とヒアリングする
(求める人物像や入社後のキャリアプランなど詳しく伝える)

エージェントの担当者が、求職者にその企業の魅力などの宣伝をして、求職者に興味を持たせる

興味を持った求職者が企業に応募して入社すれば、企業が転職エージェントに成功報酬を支払う

つまり、転職エージェントが求職者に紹介した企業に誰も入社しなければ、エージェント側にはお金が入ってこない仕組みというわけです。

求人企業からの報酬目安

企業からの成功報酬は、一般的に転職者の入社時想定年収の「25〜35%」と言われています。

昨今は、人員不足に悩まされている企業も多く採用意欲が高いため、「35%前後」が標準です。具体例をあげてご説明します。

【企業からの成功報酬例】(35%の場合)

・入社時想定年収が「500万円」の場合は「175万円」が転職エージェントに支払われる
・入社時想定年収が「1,000万円」の場合は「350万円」が転職エージェントに支払われる

高い、と感じた方もいらっしゃるのではないでしょうか?

それでも企業が転職エージェントを利用するのは、直接雇用した人材が退職してしまった時の損失(人員補充の採用コスト)の方が高額になるからです。

一方で転職エージェント経由で採用した人材がすぐに退職してしまった場合、返金制度を設けているエージェントもあるため、企業側もある程度安心してエージェントからの人材を採用できる、というわけです。

採用というものがいかにコストのかかるものか、おわかりいただけたかと思います。

転職が当たり前となっている国では、企業が転職エージェントに支払う報酬は「20〜25%」が標準です。

日本は昔から「終身雇用」を取り入れてきた国で、1つの会社で長く働き続ける風習があります。近年は日本でも転職が当たり前というイメージがありましたが、まだまだ世界的に見ると人材の流動性が低いです。

こうした理由から、日本の転職エージェントへ支払う成功報酬の割合は、他の国よりも高めに設定されていると言われています。

支払方法は「一部前払い+残りは入社後」と「全額後払い」の2種類

転職エージェントへの支払い方法は、主にに2種類あります。

  • 一部前払い、残りは人材入社後…ヘッドハンティングなどのエージェントで採用されることが多い
  • 全額後払い…一般的なエージェントで採用されることが多い

全額後払いを採用している一般的なエージェントでは、どんなに求職者に手厚いサポートを施しても、その転職者が企業に入社しなければ報酬がもらえません。

企業が転職エージェントに採用活動をアウトソーシングする理由

企業がこれだけ高い費用を支払って、転職エージェントに採用活動をアウトソーシングする理由について考えてみましょう。

負担の大きい採用活動を転職市場に詳しいプロに任せることで、優秀な人材を確保することが可能となります。

これは、企業の担当者とエージェントがヒアリングをした結果、自社が求める人材とマッチした人材を紹介してくれるからです。

もしも、転職エージェントに依頼しない場合は、転職サイトや自社の公式HPに求人を掲載することになります。しかし、この方法では「求人を見つけた求職者が応募」してくるだけで、その人材が本当に自社の求める人材かわかりません。

人事部は、せっかくの面接が徒労に終わることを避けたいため、転職エージェントを通して人材の足切りをして、「自社の希望条件とマッチした人材とだけ」面接をしたいと考えています。

だから企業は高い報酬を支払ってでも転職エージェントを利用します。

「非公開求人」もエージェントの特徴

 
転職エージェントといえば「非公開求人」。これは転職サイトや企業の公式ホームページに掲載されない求人のことです。転職エージェントに会わないと紹介を受けることができません。

しかし、どうしてわざわざ非公開で募集するのでしょうか?
これにはいくつかの理由があります。

  1. 競合に新規事業の情報を悟られたくない
  2. 有名企業が転職サイトに載せると求人票とマッチしない応募が殺到して人事部での精査が大変
  3. 辞めた方への配慮
  4. ネット上に記録を残したくない

など。非公開にするにもわけがある、ということですね。

転職エージェントを活用するときの注意点

ここで、転職エージェントを活用する際に注意すべき点について解説します。

これまでにご説明してきたように、転職エージェントにお金を支払うのは「求職者」ではなく「企業」です。紹介した求人に求職者が応募して入社しなければ、転職エージェントに儲けはなく、結果としてエージェント担当者も評価されません。

こうしたことが原因で、エージェント担当者が求職者よりも企業を優先する場合があります。例えば、以下のような体験談も実際にあります。

 

私は若い頃、未経験でWebデザイナーの転職を目指して、転職エージェントを利用しました。はじめの担当者から「あなたの希望に合う求人は無いからとりあえずアルバイトして経験を積め」と言われ、引っ越し屋のアルバイトを勧めてきたのです。

その面談の帰り道はすごく時間を無駄にしたような虚しい気持ちになりました。「なぜ、Webデザイナーとは関係のない業種のアルバイトを勧めてきたのだろう…」と不思議でした。

それでも、不安な気持ちと諦められない気持ちを抑えることができず、転職エージェントを変えてみました。そこの担当者が紹介してくれた求人はデザイナーではありませんが、それまでの私の経験にすごくマッチしたWeb系の仕事を紹介してくれて、無事採用が決まりました。

 

この方が体験した、「あなたにマッチする求人がないから、とりあえず引っ越し屋のアルバイトをしてみたらどうですか?」といった提案は、その裏で「引っ越し屋の求人に誰かを入社させなければ」という考えを持たれていた可能性があります。

これは極端な例ですが、なかには受かりやすい企業の求人を、自分の評価や売り上げ欲しさにいい加減に勧めてくる悪いエージェント担当者もいます。

そのため、転職エージェントだから安心と決め付けるのではなく、自分の経験や希望職種とマッチした転職エージェントサービスを選ぶ必要があるのです。

転職エージェントサービスにも、得意な業界や特徴があります。
例えばざっと上げるだけでこんなにたくさん。

大都市の求人に強い
マイナビエージェント
フリーターからの正社員就職向け
ハタラクティブ
第二新卒
マイナビジョブ20’
組み込み系エンジニアの転職
レバテックキャリア
Web系スタートアップやゲーム業界
Geekly
外資のリクルーターやスカウトがいる
ビズリーチ

自分の望む転職になるように、よく考えて転職エージェント選びをしましょう。

仕組みを理解したうえで自分にマッチした転職サービスを選ぼう

転職サイトは「企業からの求人掲載料」、転職エージェントは「企業からの成功報酬」で成り立っているため求職者は無料で使うことができます。

無料ということで、求職者にとっては非常に嬉しいサービスではありますが、それぞれに注意すべき点が存在します。

自分にあった転職支援サービスを利用することが、効率よく転職活動を進めるコツです。

転職支援サービスを選ぶところから「すでに転職活動は始まっている」という意識で、慎重に選んでくださいね。

転職サイトと転職エージェントの詳しい違いを知りたい人は「転職サイトと転職エージェントの違い」を読んでみてください。

おまけ:人材サービス産業の市場規模

今や人材サービス産業の市場規模は、電力や鉄道に次ぐ規模になっています。

人材サービス産業の市場規模
(引用元:2020年の労働市場と人材サービス産業の役割 - 人材サービス産業の近未来を考える会

それもそのはずです。転職希望者数の推移は明らかに増加傾向にあり、今後も人材サービスのニーズは上がっていくと予想されています。

転職者数の推移
(引用元:増加傾向が続く転職者の状況 ~ 2019 年の転職者数は過去最多 ~ - 総務省統計局

転職者数の推移は2019年に過去最多の351万人となっており、男女ともに増加傾向にあることがわかります。

さらに、「より良い条件の仕事を探すため」に前職を離職した転職者が増加しているとの情報もあります。

前職の離職理由別 転職者数
(引用元:増加傾向が続く転職者の状況 ~ 2019 年の転職者数は過去最多 ~ - 総務省統計局

「より良い条件の仕事を探すため」で離職、転職活動を行う方が増加しているため、今後も人材サービス産業における転職エージェントの需要はより一層高まっていくと予想されます。

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