人材不足が深刻化する建設業界
建設業界は、公共事業や復興事業などの追い風もあって、かつてないほどの好業績に沸いています。
国土交通省によると、2020年の建設投資額(見込み)が前年比2.5%減の60兆9,000億円、2021年の建設投資額(見通し)が前年比2.9%増の62兆6,500億円でした。
(参照元:報道発表資料:令和2年度(2020年度)建設投資見通し - 国土交通省)
新型コロナウイルスの影響でやや減少傾向にあるものの、首都圏を中心に再開発やインフラ整備の需要があり、政府・民間ともに投資の増加が見込まれている業界です。
そんな建設業界ですが、好景気・好循環期と言える状況にある一方で、人材不足が深刻化しています。
帝国データバンクが発表したデータによると、正社員が不足している上位10業種のTOP3に建設業界がランクインしています。
(引用元:企業の約5割で人手不足、2020年2月と同水準まで上昇~非正社員は「飲食店」など個人消費関連の業種で高い傾向に~ - 帝国データバンク)
同資料の人手不足に関する企業の声の中にも、
「高齢化や若年層の人材不足のため、工事業は衰退していくと感じられる。」
「仕事はあるが、資材や人件費高騰と人手不足、短工期で利益確保が難しい。」
と、さまざまな建設現場から人手不足との声が上がっている状態です。
中でも施工管理技士は特に不足しているとも言われており、その理由は、「施工管理技士の高齢化」や「他業種への転職による退職」などで、施工管理技士の有資格者の増加ペースが減少ペースに追いついていないことが挙げられます。
特に地方では若年層の減少が顕著で、「20代の施工管理技士を現場で見たことがない」という声もあるほどです。
施工管理技士は好待遇転職のチャンス
施工管理技士は、建築施工管理技士、土木施工管理技士などの7つに分類され、それぞれ1級と2級があります。
- 土木施工管理技士
- 電気工事施工管理技士
- 建築施工管理技士
- 管工事施工管理技士
- 電気通信工事施工管理技士
- 造園施工管理技士
- 建設機械施工管理技士
資格を取得しなくても個人の業務に支障はありませんが、1級では監理技術者、2級では主任技術者として業務に携わることができ、企業として携われる業務の幅が広がります。
これらの資格は公共工事の入札に参加する際に影響があり、「経営事項審査」の技術力評価において、1級保有者は5点、2級保有者は2点の加点がされることになります。
つまり、施工管理技士の資格を持つ社員がいれば、公共工事の入札で有利になるため、企業間の人材獲得競争につながっています。
特に建設現場がある関東地方ではそれが顕著に表れており、施工管理技士の給与は著しく上昇しています。
もし施工管理技士から転職を考えている方で、まだ施工管理技士を続けてもいいという方は、好待遇への転職チャンスが生まれているのです。
決して卓越した技術力を持つ施工管理技士である必要はなく、コミュニケーション能力の高い施工管理技士であれば、引く手数多となっています。
20代の施工管理技士であれば基本的にどの企業でも歓迎されるため、希望する企業への転職が成功しやすくなっています。
また、30代~50代の施工管理技士は転職によって給与・労働環境・待遇を向上させやすくあります。
今一度、施工管理技士の求人を探してみてはいかがでしょうか。
施工管理技士の求人を探すなら、「リクルートエージェント」がおすすめです。
リクルートエージェント
リクルートエージェントは日本最大級の転職エージェントで、日本全国の求人を掲載しているため、地方にも強いことが特徴です。
2022年5月現在、「施工管理技士」で検索すると、公開求人だけでも9,347件の求人があります。
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それでも他業種へ転職するなら「施工管理技士以外の資格を活かす」
施工管理技士と関連性が強く、取得者も多い「建築士」「測量士」の資格を持っていれば、転職の幅を広げることができます。
建築士の資格を活かして転職する
ゼネコンの設計部
ゼネコンとは、総合建設業を営む企業を指します。
ゼネコンは、元請けとして建設工事一式を請け負い、様々な業者と連携して工事を推進しています。
ゼネコンに転職する際の注意点として、スーパーゼネコンを含む大手ゼネコンを避けることが挙げられます。
というのも、大手ゼネコンの求人は新卒採用が多く、中途採用はキャリアや実績を重視した狭き門であることが多いからです。
中小ゼネコンでは中途採用が多く、二級建築士からでも採用されることが多いようです。
とはいえ、ゼネコンでの活躍のカギは前職のキャリアにあるため、施工管理経験者の方が転職は比較的スムーズになります。
PM/CM会社
PM/CM会社とは、PM(プロジェクトマネジメント)やCM(コンストラクションマネジメント)のサービスを提供し、建築事務所を側面から支援することを主な業務とする会社を指します。
PM(プロジェクトマネジメント)とCM(コンストラクションマネジメント)は並列に語られることが多いのですが、厳密には両者に明確な違いはありません。
しかし、コンストラクション・マネジメントが「設計段階」「発注段階」「施工段階」をカバーするのに対し、プロジェクト・マネジメントは設計段階より前の「構想段階」から参画するものと認識されています。。
業務内容は、都市や建築物の設計を始めるにあたってのアドバイスを行ったり、事業費や事業工程の管理、工事の発注先の管理や選定などを行ったりするため、施工管理技士と建築士の資格をフルに活かせる仕事をすることができます
測量士の資格を活かして転職する
測量会社
測量会社とは、測量法に基づいて測量業務を請け負う企業を指します。
測量会社には、測量士または測量士補を1名以上配置することが法律で義務付けられています。
そのため、測量会社では、多くの案件を請け負うためにも、複数の測量士を雇用しておく必要があります。
また、測量が必要な仕事は都市部だけでなく、地方にも需要があるため、求人数が豊富なことが特徴です。
建設コンサルタント会社
建設コンサルタント会社は、登録規定に基づいて国土交通省に登録された企業で、土地の開発や防災、環境保護などに関する計画の立案や調査などを行います。道路や港湾、空港、鉄道、上下水道、通信網など、市民生活に欠かせない大規模な建造物を対象としており、調査の段階で多くの測量士が活躍しています。
建設コンサルタント会社は、国土交通省の登録規則に基づき、国土開発、防災、環境保全に関する計画・調査などを行う企業です。
道路、港湾、空港、鉄道、上下水道、通信網など、国民生活に欠かせない大規模な構造物を対象とするため、施工管理技士と測量士の資格を活かして活躍することができます。
ただし、一般的に建設コンサルは激務の傾向がありますので、転職理由が待遇改善であれば、あまりお勧めできない業界です。
施工管理技士の経験とキャリアを活かして転職するなら
建設・不動産関係の営業職
建設・不動産の営業職は、施工管理技士として培ったスキルや経験を活かすことができる職種です。
というのも、施工管理技士は、建設現場での様々な仕事を通じてコミュニケーション能力が自然と高まり、施工業者だけでなく周辺住民とも柔軟に対応する経験を持つことが多いため、建設業界の営業職で求められるスキルをすでに習得しているのです。
建設業界の営業職に求められるもう一つのスキルが「リサーチ力」です。
民間工事、公共工事を問わず、受注するためには、日々地道な調査や情報収集が求められます。
そのため、施工管理技士としての経験やスキルに加えて、リサーチ力をアピールできるエピソードがあるとよいでしょう。
建設・不動産関係の営業職の年収は、他業種に比べ高い傾向にあります。
また、成果主義であるため、契約を結べば結ぶほど、給与は上がっていきます。やりがいのある良い職種と言えるでしょう。
施工管理技士から建設業界の営業職への自己PR例
前職では、土木工事の施工管理技士として約3年間勤務していました。
土木工事は天候などの影響を大きく受けるため、事前にさまざまなリスクを考慮した工程管理を心がけています。天候や不測の事態で工事が中断した場合、下請け業者や発注者、資材発注業者に変更後のスケジュールを伝え、早い段階で迅速な判断とその後のリスクを想定し、工事のやり直しを避け、それに合わせて柔軟に計画を調整するようにしています。
また、現場の状況や周辺環境を事前に調査して協力会社に的確な指示を出し、トラブルが起きやすい場所でもスムーズに工事を進め、協力会社からの信頼を得ることに努めてきました。
この施工管理技士として培った調整力・調査力を活かし、新聞や官報などの情報ソースを隈なく調査し、土木工事をメインで扱っている貴社の営業職として、案件の獲得に尽力したいと考え、応募いたしました。
CADオペレーター
CADオペレーターは、CADと呼ばれる専用ソフトを使い、工事に必要な図面を作成する仕事です。
CADオペレーターの勤務先としては、土木・建築・建設・構造設計などの建設・工事会社の設計部門が挙げられます。
施工管理の経験がある人は、図面を読み書きして施工可能かどうかを判断する知識と技術を持っているため、即戦力として歓迎されます。
CADの基礎技術を身につけ、即戦力として活躍しながら建築士などの資格取得への道も開けるため、キャリアアップに最適の職種とも言えます。
施工管理技士からCADオペレーターへの自己PR例
前職では、戸建て住宅の建築施工管理を約3年間担当してきました。
現場の施工管理では、設計図だけでは工事がスムーズに進まないことがあるので、自らAutoCADを使って設計図を施工図に書き換えています。また、設計図で注意が必要な箇所は事前に施工図に描いて周知するなど、常に情報を共有・相談し、現場作業員と協力するように心がけました。
私はCADオペレーターの資格は持っていませんが、貴社が主に扱っているツーバイフォー住宅を施工管理技士として何度も扱った経験があります。
そのため、認識のズレがなくスムーズに施工できる図面を作成することで、即戦力として貢献できると考え、応募いたしました。