転職の面接で必ず聞かれるのは、「なぜ転職を考えたのですか?」「退職した理由は?」という質問です。
転職では、ポジティブな理由で転職をする方ばかりではありません。
むしろ、現職に何か不満を感じていたり、どうしても退職をしなければならなかったりした状況がきっかけで退職した方や、転職活動をはじめた方も多いかと思います。
しかし、そのネガティブな感情をそのまま企業・面接官にぶつけてしまうと、一緒に働きたい人材とは感じてもらえません。
そこで、一般的な転職ノウハウでは「転職理由はポジティブに伝えましょう」というのが定番です。
とはいえ、簡単にポジティブに言い換えられたら苦労しないですよね。(思ってもいないことをでっちあげるのもちょっと…)
今回は、転職理由、退職理由を前向きなものとして伝えるための考え方と伝え方を紹介します。
不満の裏に隠れた「実現したいこと」掘り下げる
転職理由を聞かれたとき、このような答えが真っ先に思い浮かぶ方も多いかと思います。
退職を考え始めたきっかけは? |
---|
給与が低かった |
やりがい・達成感を感じない |
人間関係が悪い |
残業・休日出勤が多い |
やりたい仕事ではない |
しかし、これをこのまま伝えるのはNGです。なぜなら、企業としては、「また同じ理由でやめてしまうのではないか?」と考えるからです。
そこで、「きっかけ」から一歩踏み込んで、「どう改善されたら嬉しいのか?」を言葉にしてみましょう。
退職を考え始めたきっかけは? | どうなったら嬉しい? |
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給与が低かった | →実績を認められやすい環境 |
やりがい・達成感を感じない | →適切な目標設定があり、達成感を感じる |
人間関係が悪い | →チームワークの良い職場で働く |
残業・休日出勤が多い | →オンオフのバランスが取れる |
やりたい仕事ではない | →別のやり方で貢献できる |
そして、面接の場で話すときは、「実現したいこと」→「きっかけ」→「実現したいこと」の構成で面接官に伝えましょう。
ポジティブな言い換え例7選
CASE1:憧れの仕事がしたい
現職:食品会社の営業事務職
応募先職種:アイディア商品の商品企画職
本音の転職理由:ルーチンワークに飽きた。憧れの企画の仕事がやりたいです。
「事務職の経験を活かし、貴社の企画職として活躍したいと考えたためです。
現職では食品会社の営業事務として、資料づくりのサポートや、お客様アンケートの取りまとめを担当していました。お客様の声は商品改善や新しい企画の基になるアイディアの宝庫で、このようなデータを商品づくりに活かしたいと考えておりましたが、現職では事務職として入社するとキャリアが固定される仕組みとなってしまうことから、転職を決意致しました。」
【Good Point】
- 未経験職種への挑戦だが、企画につながる経験をしていることが分かる
- 現職でもポジティブに仕事をしていたことが伝わる
CASE2:正社員になりたい
現職:レディースアパレルショップの販売アルバイト
応募先職種:ECサイトの運営
本音の転職理由:年齢的にもそろそろ正社員として就職して安定したいなぁ。かといって体力的にきつい仕事はちょっと…。
「アパレルショップでの経験を活かし、より多くのお客様に商品を届けられるEC関係の仕事をしたいと思いましたためです。
現職ではアパレルの販売員として、店舗での接客、販売の他、インスタグラムの更新なども任されていました。そのうち『インスタと同じ商品が欲しい』とお客様にお声がけいただくことにやりがいを感じるようになりました。中長期的なキャリアを考え、今後はアパレルの経験を活かしながら責任のある仕事がしたいと考えるようになり、転職を決意致しました。」
【Good Point】
- 「安定したい」を「責任のある仕事がしたい」と言い換えている
- 自身のモチベーションが、応募先職種につながっていることがわかる
CASE3:給料が安すぎる
現職:法人営業(年功序列の給与体系)
応募先職種:法人営業(成果主義の給与体系)
本音の転職理由:自分より頑張っていない年上社員の方が給料が高いのは納得いかない。
「実績を認めて頂ける環境で、やりがいを持って仕事をしたいと考えたためです。
現職では通信機器の法人営業として、トップクラスの成績を収めても、年功序列の給与制度のためなかなか報酬には反映されない仕組みでした。成果を正当に評価して頂ける環境で働きたいと考えたため転職を決意致しました。」
【Good Point】
- 営業職として、プライドを持って仕事をしてきたことがわかる
- 自分のモチベーションを把握している
CASE4:会社の都合で職場が遠くなった
現職:経理(通勤1.5時間)
応募先職種:経理(通勤30分)
本音の転職理由:会社移転で通勤が2時間になった。
「仕事に集中できる環境で、腰を落ち着けて働きたいと考えたためです。
現職は経理としてやりがいも高く働いておりましたが、会社の都合で事務所が移転することになり、通勤時間が3倍に伸びました。通勤に割いている時間を仕事や自己研鑽に充て、経理として成長したいとの思いが強くなり、転職を決意致しました。」
【Good Point】
- わがままではなく、会社都合での通勤長時間化であることが客観的にわかる
- 「仕事や自己研鑽に充てたい」という思いが前向きな人材である印象を与える
CASE5:人間関係がイヤ!
現職:Webクリエイター
応募先職種:Webクリエイター
本音の転職理由:社内の人間関係がギスギスしててなんかイヤ…。
「現職では個人で作業をする機会がほとんどでした。しかし、私自身はコミュニケーションの中から生まれるアイディアを大切に、チームワークでプロジェクトを進めたいタイプです。組織で一丸となって成果を挙げたいという思いから転職を決意いたしました。」
【Good Point】
- 「人間関係のギスギス」という他責感の強いフレーズを、「個人プレー」という客観的な表現に言い換えている
- 「チームワークで頑張りたい」と言い切ることで、人の良さを感じさせる
CASE6:自社製品(サービス)に自信がもてない
現職:法人営業
応募先職種:法人営業
本音の転職理由:自社製品と競合製品の違いを知るほど、推しにくく、営業活動のモチベーションがダダ下がり…。
「営業として、自社商品に胸を張って販売をすることで、顧客との信頼関係を築きたいと考えたからです。現職で扱っているソフトウェアやソリューションは、機能面・サービス面面でも競合性に乏しく、営業努力はしたものの成果に結びつきませんでした。今後は営業として、自信を持ってお客様におすすめできる商品を扱いたいと考え転職を決意致しました。」
【Good Point】
- 「自社製品に胸を張ること」は「顧客との信頼関係構築」につながるという回答をすることで、実直な印象を与えられる
- モチベーションが低い、という個人的な感情を置いておいて、「努力はしたけれど成果が出ない」という言葉に置き換えている
CASE7:結婚・出産でキャリアを中断
前職:グループセクレタリー
応募先職種:役員秘書
本音の転職理由:出産によりキャリアを中断せざるを得なかった…。
「前職は部品商社のグループセクレタリーとして働いておりました。高いやりがいを感じておりましたが、出産・育児と両立することや、会社の規模感から育休取得がそもそも難しい環境でしたので、上司と話し合いの上退職を致しました。育児もひと段落し、前職の経験を活かして働きたいと考え、この度再就職を決意致しました。」
どうしてもポジティブに言い換えられないときは?
どうしてもポジティブに言い換えられないときは、転職エージェントに相談するのも一つの手です。
転職エージェントとは、登録するとキャリアカウンセリング、求人紹介、面接指導、対策などが無料で受けられるサービスです。
キャリアカウンセリングで、「退職理由をどうしてもポジティブに話せない」と伝えれば、キャリアアドバイザーが、あなたの本音をひも解くお手伝いをしてくれますよ。