ゲームが好きな人なら一度は憧れたであろうゲームプランナーのお仕事。
ファミ通ゲーム白書2020によれば、国内のゲーム市場は10年連続で拡大を続けており、オンラインプラットフォームを中心に今後も大幅な成長が期待できるゲーム業界にはやはり夢があります。
ゲームプランナーへの転職を検討中の方に知っておいていただきたい現場の実情をまとめました。
未経験からでも憧れのゲームの仕事に転職でき・・・ます!!
ゲームプログラマやゲームディレクターなど、ゲーム業界には未経験からの転職が非常に難しい職種も多いのですが、結論を言いますと、当然経験者と比べて不利ではあるものの、未経験でもプランナーとして潜り込む方法はあります。
そのためのポイントは以下の3つです。
- オンライン or スマホゲーム業界を選択する(未経験でコンシュマーゲーム会社は厳しい)
- 理不尽なハードワークを覚悟する
- 熱意は言葉ではなく企画で見せる
それぞれを解説する前に、まずはゲーム業界とゲームプランナーの仕事について整理しておきましょう。
ゲームプランナーとは
ゲームプランナーとは、ゲーム業界の企画職で、ゲームを作る時に必要な企画書や仕様書を準備するのが仕事です。
一般的にゲーム開発は以下のような流れで進行します。
・企画
・仕様書作成
・プログラム作成
・原画・音楽・シナリオなどの作成
・α版・β版の作成
・リリース
・分析・運用
ゲームプランナーの最大の仕事は、企画書や仕様書を作成することですから、「企画」「仕様書作成」の段階で活躍することになります。
プランナーが仕様書にまとめたキャラクターやアイテム、シナリオなどの設定をもとに、以降の段階でプログラマーやシナリオライター、グラフィックデザイナーが作業しますので、ゲーム制作において非常に重要な仕事です。
また、企画だけでなく、プロジェクトの進行管理やリリース後の分析・運用業務も行いますので、ゲーム制作の全ての段階に関わることになります。
ゲームプランナーとゲームディレクターやゲームプロデューサーの違い
ゲームプランナーと同じように、「企画」の段階から活躍する職種にゲームプロデューサーやゲームディレクターがあります。
これらゲーム業界の企画職にはそれぞれ違いがあります。
ゲームプランナーは、企画書や仕様書を準備するのが仕事ですが、ゲームプロデューサーは、ゲーム制作プロジェクトにおける企画・予算・スケジュール・人員編成などのすべてを統括する責任者です。
ゲームディレクターは、現場監督のような役割で、開発に関わる制作スタッフをまとめ、企画から完成までのスケジュール管理などを担当します。
こうした役割の違いから、プロデューサーは「作ったゲームを売る」、プランナーは「ゲームを設計する」、ディレクターは「設計されたゲームを作る」仕事といわれることもあります。
また、ゲーム開発の「企画」の段階では、プロデューサー、ディレクター、プランナーがアイデアを出し合ってアウトラインを作りますが、ゲームプランナーが「こんなゲームを作りましょう!」と言って新規にプロジェクトを立ち上げることはありません。
プロジェクトの立ち上げは、プロデューサーやディレクターの役割なのです。
企画段階でのゲームプランナーの役割は、クライアントの要望やプロデューサーのアイデアを具体的なゲームの形にしていくというものになります。
ゲーム業界の動向
ゲームプランナーは、ゲームメーカーやゲーム制作会社に勤務することになります。
一口にゲームメーカー・ゲーム制作会社と言っても企業によって、得意としているゲームは異なります。
コンシューマーゲームを得意としている企業もあれば、オンラインゲームやスマホゲーム、アーケードゲームに力を入れている企業もあります。
(引用元:ファミ通ゲーム白書2020)
ファミ通ゲーム白書によれば、2012年には「オンラインプラットフォーム(PC向けのオンラインゲームおよびスマホアプリゲーム)」と「家庭用ゲーム(コンシューマーゲーム)」の市場規模はほぼ同程度でしたが、「オンラインプラットフォーム」は大幅な成長を続けているのに対し、「家庭用ゲーム」は減少傾向にあります。また、アーケードゲームもゲームセンターの減少とともに市場規模を縮小しています。
市場規模の減少から、コンシューマーゲーム制作の求人は減少している(大手は中途の採用自体が少ない)のですが、ゲーム制作の現場で働く方の間ではコンシューマーゲームを作りたいという方が多く、かなりの競争率になっています。
未経験からゲームプランナーになるためのポイント
オンライン or スマホゲーム業界に応募する
未経験者にとってはオンラインゲームかスマホゲーム業界が活路となります。
SEGAやバンダイナムコなどのコンシュマーゲーム会社は原則プロパー(新卒)重視で中途の未経験者向けの募集はなかなか出回りません。
そこで、未経験の方がこうしたゲームプランナーの求人を探す際にはマイナビIT AGENTという転職エージェントを強くおすすめします。
マイナビIT AGENTはエンジニアの転職を数多く手掛けている大手転職エージェントです。
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エンジニア採用に強い
エンジニアの転職を数多く手掛けている大手転職エージェントです。特に大企業やメガベンチャー系安定企業への転職に強みがあります。
利用者の口コミ
- 30歳 男性
担当者のITリテラシーが思った以上に高く、ストレスなく転職活動を進めることができた。
- 34歳 男性
他の転職エージェントのようにガツガツしていないのが好印象でした。
- 29歳 男性
大手系の案件は確かに多かった。Web系スタートアップ志望なら他社も見た方がいいと思う。
ちなみに中には「やっぱり据え置きじゃなきゃ嫌だ!」「ガチャゲーはちょっと・・・」という方もおられることかと思いますが、ちょっと待ってください。
最近ではコンシュマーゲームメーカーとスマホゲームメーカーの垣根はどんどんなくなってきています。(カプコン、セガ、コナミなども軒並みスマホゲームに参入中です)
そもそもどんな会社に入っても最初は相応の苦労やイメージのギャップがある、その覚悟すら持てないのであれば転職活動を始める前から勝負は決まっているようなものです。
かの任天堂で働く方ですら任天堂ならでのは辛さがあるといいます。
実際に未経験からゲームプランナーへの転職に成功された方も、当初はコンシュマーゲームメーカーを希望していましたが、転職活動を続ける中で、求人や選択肢の少なくさを知り、ソーシャルゲーム開発で経験を積み、将来的にコンシューマー機向けのゲーム開発を目指すというプランに切り替えたそうです。
(参考:原子力発電所から、未経験でゲームプランナーに | エリートネットワーク)
理不尽なハードワークを覚悟する
ゲーム業界への転職で重要なのは、現場の実態を知って、それでもゲームが好きか、ゲーム業界に入りたいか、ということです。
忙しい
ゲームプランナーとは、ゲームのアイデアや設計図を考えて、ゲームを考案する仕事です・・・といえばかっこいいのですが、実際の仕事は「会議・会議・会議・書類(上司へのプレゼン資料・仕様書)、社内調整」といったところ。
売上に対して厳しい責任を負うことになりますので、上層部に対する利益シミュレーションやスマホアプリではリリース後のアクティブユーザー管理なども重要な職務です。
そして、これがとにかく忙しい。
そもそも現代のゲームはアニメのスケジュールやコラボの契約に厳しく縛られて一度決まったリリース日は死守することが至上命題です。
リリースが近づくと深夜残業・休日出勤が当たり前、というのは嘘ではありません。
組織の歯車感
守備範囲があまりにも広いので現場では複数のプランナーが役割を分担していますが、この役割分担がはっきりしすぎていて、(「チームでものづくりをする感覚」といえば聞こえはいいですが)組織の歯車のように感じてしまう人もいるでしょう。
売上至上主義
今のゲーム業界は、「売上至上主義」の世界です。会社から求められているのは「面白いゲーム」ではなく「売れるゲーム」。
スマホゲーム界隈ではこの傾向が特に顕著で、ガチャなどの課金システムに関するテーマは避けて通れません。小さな頃にWiiやPS2などのコンシュマーゲームに慣れ親しんで、その世界にあこがれていた方は売上に対するプレッシャーに嫌気が指してしまうかもしれません。
ゲームプランナーはどんなに過酷な環境でも、自ら他社のゲームを手にとって「こういうゲームが面白いのか」「こういう要素にプレイヤーは熱狂するのか」「この技術はすごい!」「こうすればもっと売れる」と好奇心を持ち続けることができる人が成功する仕事です。
「厳しい現実がまっているのはわかっているけど、それでもやり抜きたい」という覚悟をもって面接に望めば、その心構えはきっと採用側にも伝わるはずです。
熱意は言葉ではなく企画で見せる
オンラインゲームやスマホゲーム会社は、未経験のプランナー志望者に対しても寛容です。
採用のポイントとなるのは意外にも熱意です。
求人票をよく見ると、どの募集でも必ず「求めている人材」欄では必ず「ゲームが好き、ものづくりが好き」という素養が問われています。
しかし、熱意を志望動機で語ってはいけません
なぜならばゲーム会社の方は「とにかく御社の作品のファンで~」を連呼するタイプの人が早々に辞めていくのを見てきているからです。
ではどうやって熱意を表現するのかというと、「企画書」です。
未経験者がゲームプランナーに応募する場合、ほとんどの場合オリジナルゲームの企画書提出を求められます。(だいたいは採用企業がお題を出してくる)
スマホゲームの企画書で気をつけて欲しいポイントは以下の通りです。
- おもしろい、の前に売れる(課金される)ことを意識する
- ユーザーターゲットを明確にする
- ターゲットとゲームコンセプトが一気通貫になっている
- 想定される競合と、それらとの違いを記載する
- パワポ10ページ以内で、読みやすくまとめる(超大作は読んでもらえません・・・)
ゲームプランナーの職務経歴書と志望動機
ここまでのお話をふまえて、今度は職務経歴書と志望動機の例をみていきます。
職務経歴書や面接でアピールするべきなのは「ゲーム業界で役立つ経験」です。関係する職歴部分は特に手厚くPRしましょう。
職務経歴書の書き方例
・20xx年~20yy年:株式会社◯◯にてWebディレクターとして勤務
・ECサイトやポータルサイトなどの大規模開発業務を中心に担当
・PHPやフロントエンド開発チームのディレションがメイン業務
・◯年からの2年間はコンペ段階から企画書の作成やROIの試算を行った
志望動機例
これまで◯年間、株式会社◯◯のWebディレクターとしてECサイトやポータルサイトなど大規模サイトの受託開発に携わって参りました。開発チームのディレションがメイン業務でしたが、◯年からの2年間はコンペ段階から企画書の作成やROIの試算もこなしており、数字で企画を通す力には自信があります。また、Web業界もハードな環境ですので残業耐性もかなりあるつもりです。
もともとゲームが好きで、特に御社の作品はレベルXXまでやりこんでおりました。そんななか今回開発部門の管理もできるプランナー職を募集していらっしゃると聴き、自分の経験を活かしながらゲームにかける想いを形にできるお仕事と感じ、応募させていただきました。
「ゲームプランナー」に必要な「ディレクション能力」と「企画力」を実績からそれとなく匂わせている。「ゲームが好き」という部分にフォーカスしすぎていないため、ゲーム業界が単なるあこがれの対象ではなく現実的な選択肢であることを感じさせることができている。
まとめ:未経験からでもゲームプランナーになれる!
あらためて、未経験でゲームプランナーを目指すためのポイントは以下の通りです。
- オンライン or スマホゲーム業界を選択する(未経験でコンシュマーゲーム会社は厳しい)
- 理不尽なハードワークを覚悟する
- 熱意は言葉ではなく企画で見せる
ゲーム業界での仕事のやりがいとはいわずもがな、大好きなゲームを「作る側・提供する側」にいられる喜び、この一点にほかなりません。
プランナーとしてキャリアを積むと、プロデューサーに昇格してプロジェクト全体の統括やメディア対応を任されるようになります。スクウェアエニックスでは企画が通ればはれてプロデューサーを名乗れるそうです。
みなさんがゲーム業界に踏み出すきっかけにこの記事がなれたとしたら、これ以上の喜びはありません。