はじめに
古くから日本の鉄道交通網を担ってきたJR東日本。
もともとは、日本国有鉄道として政府の公的な事業でしたが、1981年に事業を引き継ぎ、民営化されて株式会社となりました。
交通インフラ事業ということもあり、事業自体の安定性が抜群で、福利厚生も充実していることから、転職先として人気があります。
また、2027年ごろまでのグループヴィジョン「変革 2027」で示した「ヒト(すべての人)の生活における『豊かさ』を起点とした社会への新たな価値の提供」を目指し、鉄道を中心とした運輸事業のほかに、流通・サービス事業や不動産ホテル事業なども展開し、しっかりと売上をあげています。
(引用元:事業報告(2019年4月1日から2020年3月31日まで)|JR東日本)
この記事にたどり着いた方の中にも「JR東日本に転職したい!」と考えている方が多いのではないでしょうか。
そこで、この記事では、JR東日本に転職したい方に向けて、面接の難易度や社内の雰囲気、働いた人の口コミなど中途採用情報について解説します。
JR東日本に転職したい方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。
JR東日本への転職についてのまとめ
- 口コミからの総合評価
- 3.35
JR東日本の転職レーダーチャート
JR東日本の特徴
- 日本国内では東北地方、関東地方、甲信越地方を中心とした地域に鉄道路線を有するほか、多様な関連事業を展開している。
- 国外事業として、英国ウェストミッドランズ鉄道の運行、バンコク・メトロへの車両供給など、国際業務部が他社やグループ企業と連携して、海外事業も展開している。
- 日本の人口の3割強が住んでいると言われている、東京をはじめとした首都圏の通勤輸送を主力としている。
- 1日の平均輸送人数は、1,500万人以上であり、まさに日本の交通インフラを担っている。
- 近年はスタートアップと共同して新しい事業を作っており、新規事業への投資にも積極的。
JR東日本への転職でおさえておきたいポイント
- 面接は非常に基礎的な質問が多い。「今まで頑張ってきたこと」「挫折思想になったときにどう対処したか」など。
- 基本的な志望理由の他にも、「数ある鉄道会社の中から、なぜJR東日本を選んだのか」を聞かれる。
- 書類選考から面接まで1ヶ月ほどかかることもあり、内定までは時間を要する。
- 会社自体の事業性はピカイチ。鉄道が存在する限り、絶対に潰れない会社。
- 鉄道業をベースとして、他の事業にも舵を切り始めているため、他業種でも転職後に挑戦できるチャンスが与えられている。
JR東日本の企業情報
基本情報
※スマホの方は横にスクロールしてご覧ください
事業内容 |
旅客鉄道事業、貨物鉄道事業、 索道業、旅行業、倉庫業、 駐車場業、広告業、 図書・雑誌の出版業、金融業など |
---|---|
代表者 | 富田哲郎 |
設立 | 1987年4月1日 |
資本金 | 2,000億円 |
従業員数 | 53,200人(2019年4月1日現在) |
所在地 | 東京都渋谷区代々木二丁目2番2号 |
企業理念やビジョン
JR東日本における企業理念は、以下のように定義されています。
グループ理念
私たちは「究極の安全」を第一に行動し、グループ一体でお客さまの信頼に応えます。技術と情報を中心にネットワークの力を高め、すべての人の心豊かな生活を実現します。
日本の主要鉄道網を担っているJR東日本なだけあって「究極の安全」を第一に行動していくという理念があります。
グループでは様々な事業を展開していますが、根本にある鉄道事業で顧客を第一に考える姿勢は非常に魅力的であると感じます。
JR東日本の転職基礎知識
平均年収
715万円(39.4歳)(四季報調べ)
海運・鉄道・空輸・陸運業界の平均年収:517万円と比較すると、約200万円近く高い年収となっています。
(出典元:2019年版 業種別 モデル年収平均ランキング - マイナビ転職)
世代別平均年収
※スマホの方は横にスクロールしてご覧ください
年代 | 平均年収 | 最高年収 | 最低年収 |
---|---|---|---|
20代 | 400万円 | 466万円 | 300万円 |
30代 | 500万円 | 600万円 | 400万円 |
40代 | 650万円 | 800万円 | 523万円 |
50代 | 900万円 | 1000万円 | 600万円 |
(引用元:転職会議)
労働環境
- ほぼ全ての社員がワークライフバランスを実現できる。
- 年休は100%取得可能だが、1ヶ月以上前に申請しなければならない。
- 現場では泊まり勤務など日によって勤務形態に差異があり、体力のない人には厳しい。
- 有給の取得は非常にしやすい。部署によるが長期休暇を取得して、国内外に旅行にいくなど余暇を楽しむことは可能。
- 現場業務でなければ、フレックスタイム制度が導入されているため、自由度は高い。
- 部署により全く別の会社のようになる傾向がある。大企業ゆえの弊害ではあるが、異動配属によって左右される。
福利厚生
- 福利厚生は非常に充実している。カフェテリアプランがあり社食のバリエーションも豊富。
- 各地に社宅が完備されており、月1万円〜2万5千円程度で東京に住むことが可能。
- 自社管内は運賃がかからず新幹線や特急券も半額で手に入れることができる。関連会社の割引も非常に多い。
- 社宅や寮なども完備されており、昇給のチャンスも年に1回ほどある。
- 自社線が無料で乗り放題となる。子供が2人以上いる場合は一般的なマンションと同等の社宅に入ることも可能。
残業時間
口コミサイトでの残業時間は、13~17時間であり他社と比べると、非常に少ないことが分かりました。
元国有の会社ということもあってか、ホワイト企業であることは間違いありません。
残業に対しては監査が非常に厳しく、残業時間も厳密に計算されているようです。
有給消化率
口コミサイトでの有給消化率は、82~83%でした。
他業種の大手企業と比べても、圧倒的に高い割合となっており、どの社員もほぼ有給を消化することが出来ます。
ただ、現場職につくと、なかなか休みが取れず忙しくなってしまうため、年末に一気に休みをとることも多いようです。
変革2027
2018年にJR東日本は「変革 2027」を策定し、2027年ごろまでのグループヴィジョンを示しました。その基本方針は以下の3つです。
- 「鉄道のインフラ等を起点としたサービス提供」から「ヒト(すべての人)の生活における『豊かさ』を起点とした社会への新たな価値の提供」へと「価値創造ストーリー」を転換していく。
- 鉄道を中心とした輸送サービスを質的に変革し、進化・成長させていくことが喫緊の課題である。
- 生活サービス事業及びIT・Suica事業に経営資源を重点的に振り向け、新たな「成長エンジン」としていく。
人口の減少や働き方の変化に伴い、鉄道による移動のニーズが縮小し、収益が低下することを避けるために、鉄道事業以外にも注力していく方針を示しています。
(参考:グループ経営ビジョン「変革 2027」について )
JR東日本の中途採用求人情報
JR東日本にはどのような職種があるのか
JR東日本が募集している、中途採用の求人は以下のようなものがあります。
■エリア職(技術系)
メンテナンス(線路/土木)
列車制御システム・エネルギー・情報通信
車両
機械設備
土木(建設工事)
建築
駅・乗務員
国際事業
技術事務・事業用地管理
■総合職
国際事業
研究開発
営業・事業企画
IT
輸送・車両
機械設備
線路・土木構造物
建設プロジェクト
建築
列車制御システム・エネルギー・情報通信
法務
JR東日本では、様々な事業を展開しているため、用意しているポジションの種類も豊富にあります。
エリア職、総合職ともに配属される部署も様々であるため、異動や配属で仕事内容も大きく異なるでしょう。
求人の傾向・採用している職種
JR東日本で、積極的に採用している職種の傾向は特にありません。
非常に多数の事業を展開している会社であるため、どの職種も満遍なく採用している傾向があります。
近年は、「変革 2027」で示された通り、鉄道以外の事業にも力を入れ始めているため、異業界からの転職を希望する方にも転職のチャンスは与えられているといえます。
実際の求人情報
実際にどんな求人があるのか、転職サイトのdodaを調査したところ、95件の求人がありました。
しかし、どの職種もグループ会社の募集が多く、JR東日本自体での求人は見受けられませんでした。
公式ホームページからのエントリーや転職エージェントに登録して非公開求人をチェックする必要があるでしょう。
募集時期も限定されているため、常に求人情報をチェックしておくようにしましょう。
JR東日本の採用方針
JR東日本では、以下のような採用方針を定めています。
「変革2027」を実現させ、グループの成長を確実なものとするのは社員一人ひとりの力です。私たちは、鉄道という社会インフラを担う企業グループの一員として、人々の生活を支えるという社会的責任への使命感と、現状にとどまることなく「変革」に挑み続ける意欲に溢れた多様な人材を求めています。
「人物本位、実力本位の採用を行い、人材をじっくり育て、一人ひとりの能力をしっかりと開花させていきたい」というのが、当社の人材に対する基本姿勢です。
大企業ではありますが、近年の事業拡大に伴ってチャレンジ精神のある人材を多数輩出していきたいと考えています。
教育制度も整っているため、中途採用の方でもキャリアアップへの気持ちがあれば、成長出来る環境は整っています。
JR東日本に転職するには
JR東日本への転職を希望する際には転職エージェントを利用するのがおすすめです。
(転職エージェントの比較は1106人に聞いた、口コミで評判のおすすめ転職サイト・転職エージェントが参考になります)
転職エージェントの利用をおすすめする理由は2点あります。
- あなたのスキルが即戦力と判断される求人票を見逃さなくなること
- クローズドに募集される非公開求人を受け取れること
転職エージェントなら公式の求人票はもちろん、非公開求人もタイムリーにアナウンスしてくれますので貴重な求人を逃すことがなくなります。
JR東日本の求人は総合職と技術職の2つに大別されます。
総合職としてJR東日本への中途入社を目指すならリクルートエージェントが現実的な選択となります。
リクルートエージェントは、中途採用業界においては最大手のエージェントで、特に大手企業からの信頼は絶大なものがあります。また、人事部だけでなく事業部から非公開求人の依頼を受けているケースもあり、目当ての求人が得られる可能性が高いです。
技術職としてJR東日本への転職を目指すならマイナビIT AGENTがおすすめです。
マイナビIT AGENTは、エンジニアの転職を数多く手掛けている大手転職エージェントです。特に大手やメガベンチャー系安定企業への転職に強みがあります。大手へのIT転職に強いエージェントとして、そのコネクションを存分に発揮してくれることでしょう。
エージェントを利用する際、担当者には希望する企業と職種をはっきり伝えましょう。仮にそのタイミングで取り扱いがなくても今後の見込みをアナウンスしてもらえたり、関連企業の求人などを案内してもらえたりする可能性もあります。
JR東日本の選考に関する情報
JR東日本への転職難易度
JR東日本への転職難易度は、比較的に高いです。
日本の交通網インフラを担っている企業であるため、事業自体の安定性から「安定して働きたい」という方が非常に多いです。
そのため、常に求人への応募数は多く競争率も高くなっています。
選考の流れ
JR東日本の中途採用の選考は、新卒の採用とよく似た流れになっています。JR東日本のHPに選考の流れが記載されているので確認しておきましょう。
マイページ登録→エントリーシート登録→書類選考→Webテスト→面接(3回実施予定)→内定
エントリー期間が9月~11月と決まっており、2カ月ほどで合否が決まりますが、入社は4月からになります。転職の際には時期には注意しておきましょう。また、転職エージェントなどに登録して非公開の求人もあるかもチェックしておきましょう。
筆記試験の有無、種類
筆記試験はWebテストで行われます。
形式などは明示されていないため、書類選考に通ってから案内されることが予想されます。
必須・推奨される資格
JR東日本への転職で必須・推奨される資格などはありません。
ただ、募集している職種によっては、経歴や学歴が必要となるケースもあるため、自分が応募する各職種の募集要項を確認しておきましょう。
面接で聞かれること
JR東日本の面接で聞かれることは、
- なぜ鉄道を志望したのか
- 前職で1番苦労したことは何か
- 会社の長所と短所を教えてください
などの基本的な質問が多いようです。
ただ、場合によっては、JRにまつわる質問・クイズなどを面接で質問されることもあるようです。
急に質問されてうろたえることがないように、あらかじめJR関連の基礎知識を頭に入れておくようにしましょう。
JR東日本への転職に関する口コミや評判
・首都圏エリアや東日本に広がる新幹線という交通網を持っているのは大きい。(30代・技能工)
・少子高齢化の中、多数の社員を抱える鉄道部門をどのようにしていくか不透明。(20代・営業)
・会社の将来性は素晴らしいと思う。鉄道がなくならない限りは会社がなくなることはない。(20代・個人営業)
・首都圏等の路線は今後も売り上げがいいと思う。希望すれば海外にも行かせてもらえる。(30代・建設)
・組織が若干硬直しているため、実際にそこに異動できるのかは別の話。(30代・経理)
・給料は非常に安定している。毎年6ヶ月分の賞与が出るのはすごい。(20代・施工管理)
・毎年定期昇給があるのは嬉しい。職名に応じて5千円から7千円程度。(30代・メカニック)
・全国平均くらい。基本給は少なめだが、ボーナスが大きいような気がしている。(40代・施工管理)
・年収には基本給プラスその他の夜勤手当などがつく。残業も1分単位でつけてもらえる。(20代・土木関連)
・年功序列で勤続年数に応じて着実に昇給していく。ただ、昇進試験に受かるか受からないかで年収は大きく異なる。(30代・電子機器)
・社員間の競争はあまりない。評価も年功序列と昇進試験なので安定的。(30代・新規事業開発)
・年功序列式なので自己研磨せずとも給料は上がっていく。怠けている人も多い。(20代・運輸)
・評価制度は明確でない。昇進試験の結果も明示されない。透明性が皆無であり不当。(20代・技能工)
・特に頑張らなくても、それなりに給料は上がっていく。(20代・電気)
・管理職以上になると年収に大きく差が出てくるが、若いうちは我慢が必要だと思う。(30代・管理職)
・毎日同じような作業の繰り返しなので、やりがいのようなものはあまりないのかも。(30代・エンジニア)
・事業自体が巨大であるため、大きな案件を任せてもらえる点はとても良い。(20代・土木)
・外の業界で通用する仕事内容ではない。やりがいは特に感じたことはない。(20代・駅員)
・鉄道事業という社会貢献性や人に影響を与える大きさなどを感じることができる。(30代・新規事業開発)
・大企業であるため、トップダウンな風潮は否めない。個々をちゃんと評価できていない。(30代・設備)
(引用元:キャリコネ、openwork、転職会議、カイシャの評判)
おわりに
今回は、JR東日本に転職したい方に向けて、転職の難易度や口コミ、面接対策などについて解説してきました。
事業自体の安定性が抜群で、福利厚生も整っているJR東日本は、仕事の安定感を求めている人にはおすすめです。
ただ、仕事内容的には満足度が低く、あまりやりがいは感じられないという口コミもありました。
自分のやりがいよりも「安定したい」と考えている人にはぴったりな会社ですが、「若いうちから成長したい」という方には向きません。
JR東日本への転職を考えている方は、本記事を参考に、ぜひ一度自分がJR東日本に向いているかどうかじっくり考えてみてください。