この記事をお読みのあなたは、少なからず、仕事を辞めたいと思っていますね?
毎日のように「仕事行きたくない」「転職したい」「労働無理」と唱えている方も多いのではないでしょうか?
仕事を続けるかどうか悩んでいる方へのアドバイス(一般論)といえば「一人で悩まずに、周りに相談しよう」というもの。しかし私、このスタンスにはちょっぴり異論を唱えます。
なぜなら、他人に仕事の悩みを相談したところで、解決しないどころかむしろモヤモヤすることのほうが多いからです。
すごく大事な前提:「仕事を辞めたい」という悩みを親、友人、上司に相談する意味って何?
仕事がうまくいっていない、仕事をやめたい方のお悩みを聞いていると、決まって、
「周りの友達の意見はこうなんだけど」
「親に反対されている」
「上司に、今転職してもうまくいかないと言われた」
と、身近な方にアドバイスを求めています。その結果として、「仕事を辞めたいのに、踏み出せない状態」が続いている。
そんな方にお聞きします。
社会的に、成功者ではない素人の意見を聞く意味って何?
これは肝に銘じてほしいのですが、キャリアについて考えるときに、友達のアドバイスを参考にするのはすごく危険です。
たとえばその友達が、稼ぐために必要なスキルを身に着けていないにもかかわらず、最終面接まで必ず通過するような人材で、転職した先でバリバリ活躍しているならば、ほんの少しは耳を傾ける価値がありますが、それでも基本的には、ちょっと詳しい素人の意見なので、従うのは危険です。
それから、周りの大人(親、上司)に相談するのはもっと危険。
なぜなら、いろんな思惑が絡んでいる可能性をはらんでいるから。
たとえば、上司。
上司にとって、部下が辞めるのは、基本的に都合が悪いことなので、辞めさせないようにあの手この手で仕向けてきます。
会社を辞める/辞めないについて相談をするのは、やめましょう。退職の意思が固まってから切り出せばよいのです。意思が固まる前に言い出すのは、ダメ、絶対。
そして、転職を考えるボリュームゾーン(20~30代)にとって、最も鬼門になるのが、親の存在です。
親は、子供に幸せになってほしい気持ちが強いばかりに、「自分の思う幸せの価値観」を押し付けがち。
「転職=悪」「我慢は美徳」「石の上にも三年」という価値観を刷り込まれてきたので、仕事を辞めたい気持ちに共感してくれる可能性はまず低めでしょう。
大体、親が成功者ならともかく、大抵の親って、とても普通で、ただの一般人。
大して成功してない一般人のアドバイスを取り入れる必要、ある?と思います。
ただ、既に結婚していて、自分で選んだ家族がいる場合はべつ。
仕事を安易に辞めることは、生活のスケールが変わることを意味します。
自分で選んだ家族に、迷惑をかけないためにも、配偶者には早めに相談するようにしましょう!
親しい人に、「気持ち」を聞いてもらうのは大事です。
話を聞いてもらうことで、スッキリすることはあるでしょう。
でも、解決を求めての「相談」をするのはやめた方が良いのでは?と、私は思います。
じゃあ、どうすれば良いのよ?
「仕事を辞めたい」と思ったときに大事なのは、感情に流されずに、自分の判断軸を持つことです。
なぜなら会社を辞めるか辞めないか、最終的な決断は自分で判断するしかないから。
これを書いている私も、社会的に成功者とはいえません。特に20代の頃は転職を繰り返し、ピンチに陥ってばかりいました。
それでも何とか生き延びてきたのは、困ったことが起きるたびに、「なぜ、自分は仕事を辞めたいのか?」を精査して、ヤバい会社や苦手な仕事から距離を置き、使える制度を徹底的に活用してきたからです。
そして、仕事を辞めて幸せになり、新しい職場へ転職して新しい職場で長年続けられている友人、知人たちの顔を思い浮かべると同じように、「知恵」と「手段」を駆使し、最終的には自分で進路を決めている人が多かったのです。
そこで今回は、これまでに集めてきた判断軸を、ちょっとした知恵として、仕事を辞めたい、転職したいと悩むあなたへ、よくある7つのお悩みに対する「処方箋」として贈ります。
ぽたぽた焼き裏面の、おばあちゃんの知恵袋的に受け取ってもらえましたら幸いです。
この記事が、あなたの悩みを解決するための、糸口や見出しになりますように。
処方箋1:「長時間労働がキツイ」と感じる方、あなたは弱くない
転職したい理由ランキングに決まってランクインするのは、「長時間残業がキツい/労働時間が長い」というお悩みです。
あなたは今、月の残業時間はどのくらいでしょうか?結論から言うと毎月の残業時間が80~100時間を超えている場合は、厚生労働省による過労死ラインに該当しますので今すぐ退職すべきです。
(引用元:厚生労働省 「STOP!過労死」パンフレットより)
厚生労働省によると、月45時間以内の時間外労働であれば健康被害のリスクは低いものであり、2~6か月平均で80時間を超えると、健康リスクが高くなり、月100時間を超えると脳・心臓疾患との関連が高まるとされています。
繰り返しになりますが、残業が80~100時間を超える場合は、今すぐ退職に向けて動きましょう。
明日から行かなくてもいいくらいです。
もしも貯金がない、家賃が払えないなどの理由で仕事を辞められない場合は、公共の支援窓口について調べてみてはいかがでしょうか?
たとえば、家賃が払えなさそうなら、国・自治体が家賃を肩代わりしてくれる「住宅確保給付金制度」があります。
こちらは条件が厳しいので、まだ気力があるうちに、役所に通うなどして書類を集めたり、条件を整えたりするなどするのがおすすめです。
※「住宅確保給付金制度」は、こちらのスライドに詳しいです。
で、ここからが本当に言いたいことなのですが、「自分はまだ、月の残業時間、60時間くらいだわー…。それでも残業が多いと思ってしまう自分が弱いのかなぁ」とは思わないでほしいです。
なぜなら、仕事の時間を長いと感じるかどうかは業務内容や、上司、人間関係などその他の条件が絡んでくるものだから。
そもそも、残業が何時間であろうが、会社は1日の大半を過ごす場です。8時間でも、十分あなたの時間を費やしています。
たとえ過労死ラインに到達していなくても、職場にいるのが苦痛だな、と感じたら、心がSOSを出しているサインです。早めに転職活動をはじめましょう。
処方箋2:「上司が嫌い」で仕事を辞めてもいい
直属の上司とソリが合わない、面倒を見てくれない、でもこんな自分にも非があるのだろうか…?と思う方は多いものです
。部下は、上司を選べないからこそ、悩むものですよね。
20代で最も危険なのは、社会人経験がそう多くはないため、本当にヤバい上司をかぎ分けられないことです。
たとえるなら、女子中高一貫育ち、大学デビューで初めて付き合った彼氏がDV男で、彼氏から暴力を振るわれるのが当たり前だと刷り込まれてしまい、自己肯定感が低くなる現象と一緒。次に付き合った彼氏が暴力を振るわないことに驚く…なんてエピソード、聞いたことがありませんか?
私はこの逆で、新卒ではじめてお世話になった上司が人格者である上に、よく面倒を見てくれて、チームの雰囲気もよく働くのが楽しい時期がありました。1年後くらいでしょうか。定期的な人事異動で、別の上司がやってきて、ロクなマネジメントが受けられず、チームワークはボロボロ…。一気に仕事がつまらないものに。
「上司によってチームってこんなに変わるのだな」と思いました。
「前課長の〇〇さんはこうだったのに」と内心唱えたことも数えきれないほどです。そんな気持ちが伝わっていたのか、当時の上司とは折り合いが悪かったです。
それくらい、上司がモチベーションやパフォーマンスに与える影響って大きいんですよ。
だからこそ、上司が嫌いで、会社を辞めていいのです。上司が原因に会社を辞める時に重要なのは、最後まで波風を立てないこと。退職を言い出すときは、なるべく冷静に切り出すようにしましょう。「あなたが嫌いで辞めます」と言ったところで得るものは何もないからです。
処方箋3:「休むほどじゃないけど、体調が悪い」は、危険信号。大きな病気になる前に動いて
会社に行くと頭痛がする、常に胃が痛い、吐き気がする、週末になると熱が出る…。
特に女性に多いのですが、男性からもよく聞かれるお悩みです。
こういった、「なんとなくの不調が長く続く」は、心の代わりに、体がSOSを発しているのです。
私は2社目で感情的な上司のもとで働いていました。どのくらい感情的だったかというと、「特定の同僚をターゲットにして、フロア中に響き渡る声で業務時間中に気が済むまで説教をする」。自席はその同僚の斜め後ろだったので、常にその上司の怒声が聞こえてくる状況でした。
最初は、「うわぁまたやっているよ…同僚氏かわいそうに…」と思うくらいだったのですが、やはり怒鳴り声って聞いていて気持ちがよくないもので…。
また、そんな上司なので、面倒見が良いわけもなく…。
徐々に会社に行くのが憂鬱になり、体調も悪くなり、会社に行こうとすると体調が悪くなってしまう事態に。
最終的には十二指腸潰瘍になり、会社を1か月ほど休まざるを得ないことになりました。少し休んだことで、体調は良くなったのですが、「職場に戻ったところでまたあの怒鳴り声を聞かなきゃいけないのかぁ」と、そのまま退職。
体調はみるみるうちによくなり、次の職場も決まりました。
当時は25歳。今思えば、体調が本格的に悪くなる前に、辞めておけばよかったなぁと思います。
休むほどじゃないけれど、体調が悪い日が続いたら、真っ先にストレスを疑いましょう。
処方箋4:「今の職場では成長できない」なら、やりたいことをまずは声に出してみる
向上心がある方からよく聞かれるのは、今の職場では成長できない、スキルアップしないというお悩みです。
お悩みのところ申し訳ないのですが、基本的にやりたいことはできないものです。Googleで「やりたいこと できない」「やりたい仕事 できない」などのキーワードで検索している人は、月に1,220人以上もいます。
だから、やりたいことを実現するための努力がものすごく必要。そのための一歩は、まずやりたいことを声に出すことです。
やりたいことがあるにも関わらず、声に出せていない、自己アピールしていない方は本当に多いのです。それ、できなくて当たり前だから。
当サイトで以前取材させていただいた、キャリアカウンセラーの松島さんは、JR東日本にお勤めだった時代に、新卒で車掌業務へ配属され、「このままでは嫌だ、新規事業をやりたい」という想いから、自らやりたい仕事をどんどんアピールして、目標に一歩ずつ近づいていき、最終的には希望通りの新規事業のポジションを得ました。
そうなるまでには6年間も要したそうです。
松島さんのキャリアについてもっと知りたい方はこちらの記事をどうぞ
なので、やりたいことを貫くためには、もっと声に出して、アピールしないといけない。
あなたは、やりたいことをアピールしたり、資格取得したりなどしてやる気を見せていますか?そしてやりたいことをするためには、今の自分に与えられた仕事もしっかりこなさないといけないものです。
もちろん、今の職場にとどまりながら、やりたいことをアピールするのと同時に、転職先を探すのもアリ。やりたいことをすることは不可能ではありませんが、そうなるに値する努力や、チャンスをつかみに行く姿勢は大事でしょう。
処方箋5:「給料が低すぎる」なら、何のために稼ぎたいのか、いくらほしいのかを一旦整理してみる
仕事についてのお悩みとして多く聞かれるのは、給料が低いことです。最近でも、手取り14万円問題が話題になっていましたね。いまのお給料に満足できていないかたも多いのではないでしょうか?
その気持ちはわかります。
そこでお聞きしたいのですが、あなたはどうしてそんなにお金が欲しいのでしょうか?
一体、何のために?
お給料が低い、と嘆く方は多いのですが、一方で、どうして稼ぎたいのか、いくら年収をアップさせたいのか、理由が言える人って結構少ない。
みんな、お金が欲しいと口では言うけれど、取り組んでいることといえば、せいぜい宝くじを買うくらいで、本気で収入アップに取り組んでいる人はそう多くない。
ただぼんやりと昇給するのを待っていても、お金は降ってきません。
今すぐペンと紙を用意して、大体いくらくらいお給料をアップさせたいのか、それはなぜなのか考えてみましょう。
その金額によって、取るべき行動が見えてくるはずです。
たとえば、今のお給料に+3万円したいなら、パソコンでできる副業で新たなスキルを身に着けるもよいですし、大幅に収入アップをしたいのであれば、それが実現できそうな資格の勉強に投資するのもよいでしょう。
もちろん、給与アップを目指して転職するのもアリです。その際は、「自分のスキルがどの業界なら高く売れそうか」を考えたうえで動くのが重要です。
処方箋6:「仕事内容が面白くない」「今の仕事が苦手」な方は、自分の頭で考えないor頭と相性がいい仕事を探す
仕事は面白くないけど、生活のために働き続けなきゃいけないのかな…とお悩みの方も多いでしょう。
1日の大半を過ごす職場で、上手く仕事ができない、立ち回れないというのはキツイのではないでしょうか?
仕事が面白くない、苦手意識がある方は、モチベーション高く働いている方に比べて、パフォーマンスが低くなりがちです。
結果、評価も上がらず、職場にいづらくなる、なんてことも。
そんな方にお伝えしたいのは、実用エンタテイメント小説「人生の作戦会議!ーなんでも解決しちゃう女、王生際ハナコ」(著:下田美咲/幻冬舎)の主人公、なんでも解決する女こと王生際ハナコの名言です。
会社の先輩からの風当たりが強く、仕事ができなくて職場にいづらい女性、川田麻奈さんに対して、
「相性の悪い作業を仕事に選ぶのであれば、必要なテンプレートを仕込むこと。自分の頭で考えないこと。自分で思いつくことにこだわる必要なんてないよ。教わればいいし、仕込めばいい。自分で思いついたことじゃなくたって、自分の未来を変えてくれる力を持っているんだよ」
なるほど、と思いました。
特に新卒で入社した方は、必ずしもやりたい部署に配属されているわけではないため、「仕事ってこんなにつまらないのか、できなくてつらいな」と悩む方も多いでしょう。そんな方は、思い切って、他人の頭を借りて、仕事のテンプレを自分の頭に仕込んでみてはいかがでしょうか?
先輩や周りの方のやり方を吸収して、仕事をする姿勢は好印象を持ってもらいやすいです。人は要領がつかめる仕事を得意だと思う傾向にあります。
だからこそ、とりあえず今の職場を前向きにする努力が必要です。
また、王生際ハナコは「誰にでも苦手なことはある、それは悪いことではない、そういうあなたを採用したのは会社の責任」としたうえでこう続けます。
「今の仕事では、麻奈ちゃんの頭の型番が活かせないだけ。麻奈ちゃんの頭の型番にあった職業を見つけてみる?」
(引用元:人生の作戦会議 なんでも解決しちゃう女、王生際ハナコ)
既に十分、仕事を覚える努力をしているにもかかわらず、上手くいかない場合は、新しい仕事探しに取り組んでみても良いかもしれません。
処方箋7:「とにかく働きたくない」方は、自分の本音と向き合う覚悟を持って
「とにかく働きたくない。働くのが嫌いだ」という方はとても多いです。ただそういう方に限って、ひとしきり愚痴をこぼしたあとに、「働くのは嫌いではないのだけど、今の職場は嫌。でも何が嫌かわからない」という本音を言いだす方が多い。
またよくあるパターンとして、職場としてはブラックでもないのに、なんか今の仕事は嫌、という声もよく聞こえてきます。
そして「特に嫌なことがないのに、辞めたいと思う自分は弱いのかな」と自分を責める。
そんな方は、自分の本音に気づいていないだけではないでしょうか?
何が嫌かわからない方は、たいてい、モヤモヤを発散するために仕事もプライベートも詰め込みがちで、自分の本音と向き合う時間を取れていません。
少し休んで、じっくり自己分析してみてはいかがでしょうか?
今の自分と向き合っているうちに、違和感の正体が分かってくるものです。
他人にとっては些細なことだけれど、自分にとっては大きなことだったり、職場を離れるに値する理由だったりします。
まずは今の自分の気持ちをノートに書いたり、身近な人と話したりしてみましょう。そ
うしていくうちにどんどん、隠していた本音が出てきて、「自分はこんなことが不満だったんだな」と気づけることもままあります。
(筆者はその「本音を気づく現場」によく立ち会います)
冒頭でお伝えしたとおり、身近な人へ相談をするのは、無駄だと思います。でも、自分と向き合うお手伝いをしてくれる友人や家族が、誰にでも必ず、一人は必ずいるのではないでしょうか?
「今仕事のことでモヤモヤしているから、相談ではないけれど、話を聞いてほしい!」と、相談ではないことを前置きした上で、気持ちを聞いてもらいましょう。(相談と受け取られてしまうと、アドバイスがはじまるパターンが多くて、厄介!)
環境は変わらなくても、本音に気づくだけで、スッキリ生きられたり、現実を変えたりする対処ができることはいくらでもあります。
まとめ
今回は、仕事を辞めたい方からよく聞こえてくる7つのお悩み別に「心の処方箋」としてコラムをお届けしました。
なぜ心に焦点を当てているかというと、多くの方は、自分が仕事を辞めたい本当の理由にうといからです。
冒頭にお伝えした、「残業時間が100時間以上」など、国が定めた基準や、明らかに法律違反をしている場合を除いて、良い会社か、悪い会社かは判断がつきにくいものです。
だからこそ、自分の意志や心と向き合って、常に最善の環境に身を置く工夫や知恵をぜひ、身につけてくださいね。