アスリートを辞めても、働くかっこいい大人でいるためにー元レスリングアジア2位、大坂昂


ライター:奥野 佑樹
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がむしゃらだったあのときのように、仕事にも夢中になりたい」という思いを、どこかで割り切りながら働いている人は多いのではないでしょうか。

転職が年収文脈で語られることが増える昨今。私たち転職Doは、より個人が幸せに、かっこよく働くための転職を増やしたい、と考えているメディアです。

今回お話を聞いたのは、大坂昂(おおさか・あきら)さん。元レスリングアジア2位、オリンピック強化指定選手として期待されながらも、怪我による不調に数年間苦しんだ後、アスリートを引退。現在は東京都内、「働く幸せを感じるかっこいい大人を増やす」を理念に掲げるインビジョン株式会社の採用マーケティングチームにて、セールスを担当しています。

そんな大坂さんに今回は、アスリートを引退した後の転職活動や、現職の環境についてお聞きしました。

「大坂さん、何かに夢中だったあの頃のように、熱い気持ちを仕事に投影するためには、どうすれば良いのでしょうか?」

Profile

大坂昂さん
大坂昂(おおさか・あきら)

1991年5月22日生まれ、2014年早稲田大学卒、大手電機メーカーへ入社。2014年アジア2位、全日本選手権・国体優勝経験も。2017年、レスリング選手を引退後、所属先である大手メーカーへ再雇用、ルート営業を担当。2019年4月よりインビジョン社へ入社。秋田県出身。

大坂さん Twitter個人アカウント @akiev0522

僕は、オリンピックに出られる器ではなかったのかもしれません

――レスリングを引退することを決めた時、悲しいとか、悔しいとか、そんな想いはあったのでしょうか?

大坂:
いえ、「全部やりきった、ああやっと終われる」と、むしろ清々しい気持ちでした。

大学を卒業して、社会人一発目の大会で、アジア2位という好成績を収めた後、試合中の怪我をきっかけに調子を落としました。そこで焦って、無理をして練習していたところ、ヘルニアになってしまいまして。2年ほど体育座りで靴ひもを結べない、寝ているとき以外はいつも体が痛い…など、選手というより生活自体が厳しい状況に。

そんな調子にも関わらず、「僕はオリンピックに出られる選手でいないと、存在価値がマジでない」と、自分を追い詰めて、食事、サプリメント、通院など、試せることは全てやりました。

その結果、社会人2年目には食事をしている時に過呼吸になることもあり、思い返せばうつっぽくなっていたかもしれません。当時の僕とレスリングの関係をたとえると、「どれだけ頑張っても、なかなか振り向いてくれない、高嶺の花の女性(=レスリング)を追いかけている状態」だったんです。

所属していた会社では、怪我をして以降、調子の上がらない僕を選手として雇用しつづけて下さり、「いいよ。続けなよ」と寛大に接して頂きました。恵まれた環境で挑戦を続けさせて貰えている以上は、やっぱり結果で返さないと、存在価値がない、って。

転機になったのは、何かを変えるきっかけを作るために行った海外遠征です。ジョージアという国に一人で一ヶ月の遠征に行き練習を続けるうち、ふと楽になった瞬間があったんですよ。「これ以上レスリングでは芽が咲かないな、僕はオリンピックに出れる器ではなかった」って。それこそ、片思いをあきらめる瞬間のように。

――応援していた方の反応は?

大坂:
東京オリンピックを目標にしている、という話を周囲の方にはしていたので、「えっ、もう少し続けたら?」という反応がほとんどで。

とはいえ、自分の中で、もうやりきったと悟ってしまったので、「お気持ちはありがたいんですけれども、もうやりきったので辞めます」と会社をはじめとした周りの方たちにお伝えして、最終的には「お前がそこまで言うなら仕方ないね」とご理解いただけました。

そして、レスリング選手として採用していただいて3年目、12月に開催された大会への出場を最後に、僕はアスリートを引退しました。

転職エージェントからはレスリングトークを封じられていた

――アスリートからの転職といえば、スポーツ系に行く方が多いように思うのですが、なぜ人材系に?転職活動はどういったいきさつで?

大坂:
実はレスリングを引退した直後、再雇用していただく前にはじめての転職活動を経験しているんですよ。何も知識がなかったので相当苦労しました。

もともとキャリア系の仕事に興味がありましたので、業界大手の人材会社を片っ端から受けたり、転職エージェントの方から頂く求人票を眺めていたりしたのですが、いまいちピンとこなくて…。

お世話になった転職エージェントの方からは「中途採用ではスキルが見られるので、レスリング時代の話はしないでください」とのアドバイスを受け、未経験だったので「そういうものかな」と思ってその通りにしていました。

なので練習の合間に手伝っていた雑用の話をするしかなかったのですが……ぶっちゃけ、25歳で雑用しかしてない中途採用、って要らないですよね!?(笑)

それもあって、一旦、当時の所属先だった大企業に再雇用という形でお世話になり、ルート営業の仕事に2年間従事しました。

――アスリートとしての生活と、営業マンとしての生活。ギャップがあったのでは?

大坂:
大手企業で、恵まれた環境で仕事をさせていただく中、「レスリングに代わる何か」を仕事に求めた結果、なかなか情熱を持ってのめり込めない時期が続きました。

一番寂しかったのは、僕だけの問題ではなくて、「今日負けちゃって悔しい!」「今、ケガしていてしんどい…」「辞めようと思ってるんだけど、どうしよう」と励まし合っていた選手時代や体育会の元・アスリート仲間も、社会人になって再会すると、課題を追う中で生まれるアツい想いを失ってしまう人が多かったことなんです。

仕事イコール生活のためになるなかで、「アスリートと社会人を結びつけるような事業ができないかな?」とも考えたんですけれども、経営能力もリソースも知識もなかったので、ほとんど形にはできずに終わってしまいました。

たとえば、格闘ゲームとかにあるような、六角形のパラメーターを振っていくと、僕ってレスリングだけが異様に突き抜けていて、「その他社会人として必要なスキル」の項目はないな、って。今はそう思っていないけれど、当時の環境ではそう思っていました。

そんな生活を続けていて、今の仕事を続けていても、自分はかっこいい大人にはなれない、という想いが自分の中で明らかになっていったんです。

もんもんとした気持ちで仕事をしながら2年間が過ぎようとしていたとき、登録したことも忘れていた人材系サービス「Wantedly」社からWantedly経由でスカウトを頂きました。

俺を出す、むしろ俺しか出さないと腹をくくって

――Wantedly社からWantedly経由でスカウト。なかなか貴重な経験ですね。

大坂:
お返事をしてから2日後とかにWeb面談が決まりまして、すごくスピード感が速いな、と衝撃を受けました。

ただ当時僕の進みたい方向が、「アスリートのキャリア支援」でしたので、ちょっと方向性が合わないね、ということでお互いに辞退、という形に落ち着きました。

ただ、Wantedlyをまじまじと眺めてみて、普通の転職メディアとはちょっと違うなあ、と感じたんですよ!

というのも、いわゆる従来タイプの転職活動ですと、求人票を比較・検討して応募先を決めていく形だと思うんですけど、僕は相性が悪くて、「全然わからないな、どうしよう…」とたびたび途方に暮れていたんです。

そういった中、Wantedlyに掲載されている求人はビジョンが書いてあって、わかりやすいし、わからないことがあれば、人事さんに直接聞ける、良い媒体だなって。

だから、Wantedly社には入社できなかったけれど、これを使ってまた転職活動をはじめよう!と思いまして、人材系とか組織コンサル系の会社さんで、未経験 OK!と大々的に謡っているところ、一気に20社くらい送りました。そしたら返信率がすごく高くて

面接まで進めさせていただける企業さんも多い中で、僕が価値を感じてもらえるものが何かな?と自己分析した時に、誇れるものがレスリング時代の経験しかなかったんですね。大手企業で、営業の仕事はしたけれど、 スキルはたまっている感じがしない、と。

だから、転職エージェントから受けたアドバイスとは真逆ですけれど、この気持ちを正直に全部言おうと腹をくくりました。

そうする中でもちろん、「何コイツ?」みたいな対応をされる会社さんもあったんですけど、そういう環境に入っても長続きしないだろうと。だから、俺を出す、むしろ俺しか出さない、レスリングの話しかしない、って腹くくって決めて。

その中で、メールのやりとりからビビっときたのが、現職のインビジョン社でした。

――入社までに、どのようなやりとりがあったのでしょう?

大坂:
採用活動といえば、ビジネスマナーに沿ったきちんとした文章でご連絡を頂く企業様も多い中で、インビジョン社から受信したメッセージには人間臭い雰囲気が満載で、素敵な会社だなぁ…!と思いました。


(実際に大坂さんがインビジョン社から受信したメッセージ)

そこで自社サイトを見たところ、

働く幸せを感じる、かっこいい大人を増やす」っていうビジョンがあって。「そういえば今の俺、全然かっこよくないなぁ」って内心感じていた自分を見透かされたように感じて、グサって刺さったんです。

「会いたいな」って思って、Web面談を経て、面接まで進ませていただいたんですよ。

そこでも、自分で決めた掟、俺を出す、むしろ俺しか出さないを徹底して、大学時代まで遡って、レスリングのお話をさせていただいたんです。

僕の出身大学はレスリングの強豪校だったのですが、そのチーム作りの話、みたいなところもたくさん引き出してもらえました。

先輩を胴上げするために練習して、自分でも驚くぐらいレベルアップしていたこと。
大学で主将を務めた時に、全部自分でやろうとしてまとめきれず、目標を達成できなかったこと。

だから、僕は良いチームで良い仲間と一緒に仕事をしたいんです、って。

「オリンピックに出るのが全て」みたいな意識がまだあって、それが達成できなかった自分が恥ずかしい、と思っているところもさらけ出してお話したんですが、話を聞いてくれた根建(※ 現インビジョン社取締役CHRO)は「いやいや、どちらかと言うと凄すぎでしょ」と言ってメモを取りながら聞いてくれるんです。

気がついたら社長が来ていて、その日の内に内定をいただきました。

今の仕事は、レスリングより向いている可能性すらある

――今のお仕事について教えてください。

大坂:
レスリング選手から大手メーカーでの営業を経て、現職は採用マーケティングチームの営業職をしていますが、本当の自分に向いている環境で働けている喜びがあります。

もちろん、最初からうまくいったわけではありません。
インビジョン社に入社してから、2020年4月で1年が経過しますが、入社当時はむしろうまくいかないことばかりで。

1日最大で150件くらい営業の電話をして、必ずしもレスポンスを頂けるわけではないし、アポを取れて喜んだけれど、約束の時間にお客様がいらっしゃらなかった…という経験もしまして、成果が出てないのにお給料を頂いている時期は心苦しかったです。

そんな僕に対して周りの方は、「大坂の売上を作るためにどう育成していくか」と、作戦をめちゃくちゃ立ててくれたんです。そのおかげもあって、入社約半年以降は目標を連続で達成できました。

何より嬉しかったのは、目標を達成すると、心から一緒に喜んでくれるメンバーがいるチームで働けていることです。インビジョンに入社してよかったな、と思うポイントです。僕はチームで何かやるのが好きだから、そのために最高の環境を選ぶことができたな、と思います。

先日、福岡のクライアント様に出張させていただいた後、「インビジョンさんが本当に信頼できる会社さんというのを、今回出張いただいて確信できました」というお言葉を頂きました。その時の気持ちが「レスリングの大会で優勝した時の感覚」と一緒だったんですよ。ああ、終わった。良かったー。って。

引退後の仕事でも、優勝した時と同じ感覚を味わいたいと思って仕事をしてたので、本当に嬉しかったですね。

アスリート時代の自分に言えることがあるとするなら

――2020年は、大坂さんが目指していた東京オリンピックが予定されている年でもあります。選手時代を振り返って、いかがですか?

大坂:
選手時代、どん底を味わった時期に開催されたリオオリンピックは見れなかったんですよ。出場できないことが辛くて、テレビを消して、練習してました。

だけど今はレスリングよりも向いている可能性のあるものを見つけましたので、東京オリンピックは普通に見れると思います。

そんな今の僕が、一番苦しんでいた時の自分に声をかけるとしたら、「どうして、レスリングを好きになったのかを、もう一度見つめなよ」って。

当時の僕をはじめとしたアスリートの方って、「一つの事だけ考えろ」「勝つことが全て」という指導を受けてきた世代だと思うんですよね。だけどそこからもっと深掘りして、「なぜレスリングをするのか」「なぜ優勝したいのか・しないといけないのか」と、考えた方がよくて。

僕はレスリングに対して、高いレベルで挑戦させていただきましたが、それは、仲間と一緒に目標を追い続けた経験があってこそのレベルアップで、チームで高い目標を追いかけることが好きだったんです。

でもそれって、アスリートとしてレスリングをやりきったからこそ言えることで、怪我をしたことも、苦しんだことも、無駄ではありません。

その半面、なぜレスリングをするのか?勝たないといけないのか?を深堀りできていたら、あんなにも自分を追い詰めて、厳しくしなくてよかったのかな、って。

だから、「めちゃくちゃ苦しんでくれたから、今めちゃくちゃ楽しいよ!!ありがとな!!」って、伝えたいですね。過去、頑張ってくれた自分にマジで感謝してます!!

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――ありがとうございました。これからも、働くかっこいい大人でいてください!

(聞き手&テキスト:中村めぐみ @Tapitea_Rec、撮影:片川創太 @seomatome

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