「バランスが良くないからこそ、楽しい。」行弘賢が仲間と共に歩み続ける、MtGの世界


ライター:奥野 佑樹
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オフラインでの対戦と、インターネット対戦(eスポーツ)の両方で世界中のプレイヤーに親しまれているカードゲーム、「マジック:ザ・ギャザリング」(以下、MtG)。

前編では、その日本トッププレイヤーである行弘賢(ゆくひろ けん)選手へ、プロとしてのキャリアと半生について伺いました。

後編では、よりMtGにフォーカスして、現在のMtGシーンに対する課題感や、ワクワクする妄想、そしてプレイヤーの仲間と世界へのライバルへのメッセージを受け取りました。…ぜひお楽しみください!

※当記事の末尾に、抽選で行弘選手のサイン入りプレイマットが当選する、Twitterフォロー&RTキャンペーンがあります!ぜひ最後までお読みください!

行弘 賢(ゆくひろ けん)選手


<プロフィール>
アイアンワークス所属。1989年2月22日生まれ、福岡県出身、東京都在住。
MtGプロカードゲーマー。

小学生の頃よりカードゲームに触れ、2009年にMtGプロゲーマーとして活動をはじめる。以降、招待選手のみが出場できる「プロツアー(通称:PT)」にて4回のトップ8入りを果たす。近年は日本人トップの好成績をおさめ、2019年より発足した世界上位32人によるプロリーグ:MPLに抜擢。2020年も引き続きMPLでのプレイが決定している。一歩先を行くデッキ構築に強みを持ち、その実力は海外専門メディアからも「Known for his innovative decks and quiet consistency...(革新的なデッキ構築と、安定した一貫性で知られ…)」と評されるほどである。

プロゲーマーとしての活動のほか、MtGを含めたゲーム配信も精力的に行い、MtGのファンベース拡大にも貢献。卓越した実力を持ちながら、明るく、楽しさを追求した配信や発信により、ファン・関係者からの評判をあつめる。

Twitter:
@death_snow
YouTube:
(行弘賢)deathsnowちゃんねる

アンバランスだからこそ、強いデッキを倒せる

――行弘選手は、以前からMtGの好きなところについて、「ゲームバランス」と「頑張ると見返りがあるところ」の2つを挙げていますが、2019年、プレイするなかで新たな変化や発見はありましたか?

行弘賢(以下、行弘):
MtGの楽しい部分は、今年一年やってもあまり変わらなくて、まさにその二つ要素があると思います。

ゲームバランスについて補足ですが、MtGは、他のゲームと比べると、バランスが良くないからこそ、楽しいんですよ!

デッキを作りこんでも、優勝できるわけではないですし、用意してきた戦略がずっとハマるとは限らないですし、運の要素もあります。でも、理不尽な出来事に挑戦し、「基本的には、うまくいかないけど、うまくいった時は面白い」というのが僕がMtGに対して思うことです。

――近年は、禁止カードでゲームバランスを調整する傾向がありますね。

行弘:
基本的には、カード禁止やバランス調整は、ない方が楽しいと個人的には思います。ただ、SNSの発展により、様々な声が表に出てくるようになりましたので、ウィザーズ社も企業として対応せざるを得なくなっているのかもしれません。また、対面競技メインだった頃に比べて、eスポーツ化したことによりオンラインのプレイヤーも増えましたので、1日何試合もできるとなると、不満がたまる部分もあるのかもしれませんね。

それによって、本来はやらなくてもいいようなことをしなければいけないのは、時代の流れかなあ、とも思います。

――行弘選手が思う、「本来やらなくていいこと」について教えて頂けますか。

行弘:
強いデッキを倒す戦略を考えるのが、MtGの醍醐味のひとつだと僕は思いますので、勝率が高いカードが禁止になってしまうことに対して、残念だなあ、と。

禁止カードが出るパターンは、2つあるんですよ。1つは、<運営側の見落としにより、MtGそのものに対しての影響度が高すぎて、バグのような強さになってしまっている>時。これは、「夏の帳」や、「王冠泥棒、オーコ」が該当します。

もう一つは、<勝率が高い組み合わせのカードが禁止になるパターン>。

後者は、禁止にする必要があるのかな?と感じます。もしも勝率が高いカードに集中してしまうとしたら、それを倒すための対策を考えるのが楽しいプレイヤーもある程度多いです。なので、慎重になった方がいいかなって思いますね。

1つのカードを禁止すると、バランスを取るために別のカードも禁止にしなければいけなくなるので、もったいないなあと思います。

カード1枚を作るのだって大変だと思いますし、ウィザーズ社には自信を持って欲しいです。今でもテストプレイチームを増やすなど頑張ってくれているようですし、MtGが末永く続くよう、良いゲームにしてもらえたらと。現在はデジタルとオフライン競技の兼ね合いも考えなければいけない時でもあるので、色々大変な時期なのかもしれませんね。

――この状況下で、行弘さんっていつも「今回絶対強いぞ」というデッキを選択せずに、逆にそれらを倒せるデッキをご自身で構築されてるようにも見えますが、どういうお考えの中でそのような取り組みをされているのでしょうか?

行弘:
手軽に勝てるデッキが増える状況の中で、それにすら勝てるものを持ってきたいんですよ。MtGって強いデッキに対して必ず対抗策があって、トーナメント全体で見たときに、すごく健全なんです。強いデッキと噛み合って勝つ人も出てくるのが楽しい、それでいいじゃないか、って。だから、強いデッキを倒す側に回ることが多いですね。

――全国のデッキビルダーは勇気づけられると思います。

行弘:
ただですね、これって、トーナメント的な考えであって、カジュアルにMtGアリーナで遊ぶってなった時に、全員が同じことをしたいか?と言ったらそうではないですし、実際強いデッキは強いから、勝率は上がるんですよね。

――強いデッキに勝てなくて伸び悩んでいるプレイヤーもいると思います。一つひとつの戦いで、勝てる戦い方って、どんな作戦があるかと思いまして…。

行弘:
そういう時に大事なのは、臨機応変に、自分が良い選択肢だと思えるものを選ぶ。自分の好みの範疇を超えて、用途によって、デッキやカードを変える柔軟さを持つことが、安定した戦いの実現につながります。

新しい仲間を増やすために

――eスポーツとオフラインの両方にシーンがあるMtGが今後、更に大きい市場になっていくためにはどんな施策が必要だと思いますか?

行弘:
もっと多くの方に遊んでもらえると良いのかなと。そして、新規プレイヤーを増やすためには、オフラインよりもアリーナ(オンライン)に力を入れていく必要があるとは思います。

実際に触ってもらえればわかるのですが、MtGってカジュアルに遊べるゲームなんですよ。しかし、「むずかしそう」「ハードルが高い」イメージにより、国産ゲームや、無料でできるアプリの方にプレイヤーが取られてしまうのかな、と。

――既に配信を通して、MtGの魅力を広めている行弘さんですが、「もし、ウィザーズ社の広報を任されたら、こんなことをしてみたい!楽しそう!」というイメージはありますか?

行弘:
まずは、カード発売時のキャッチコピーをもっとワクワクする、世界観に対する想像を掻き立てるものにしてみたいですね!それから、カードゲームって、アニメから入る人が多いので、MtGのアニメがあったらいいなー…とか。アニメ化したら、若い子や女性の方にも興味を持ってもらえそうですよね。予算もかかるし、厳しいかなぁとは思うんですけれど、実現したら凄いことになりそうです!(笑)

MtGの作りこまれた世界観がすごいと思うので、ぜひもっと多くの方に知ってもらいたいです!盛り上げていきたいですね。

プロプレイヤーになるために

――今後eスポーツが盛り上がっていくにつれ、会社員からプロゲーマーを目指したいという方も増えてくると思います。そんな方が目の前にいたら、どんなアドバイスをしますか?

行弘:
常に自分がやっていることを俯瞰的に見て、疑問を抱き続ける」のが大事だと思います。

うまくいったからといって、それが必ずしも正解とは限りませんし、もし一度、失敗したとしても、同じことをしなければ不正解にはならない。疑問を抱きつづきさえすえば、自分の引き出しを増やし続けられるのです。

そして、引き出しを増やすためには、自分だけで頑張らずに人の力を頼りにするのがすごく重要。自分の中だけで完結させるということは基本的に良くないのです。思考回数を増やすためにも、ひとつの疑問に対して、3人~4人ぐらいの仲間に相談できたら、それが柱になっていきますよ。

そして、助け合える人間関係を維持するためには、人格形成も重要です。MtGを楽しんでいる方には若い方も多いので、コミュニティが大事っていうのは伝えたいです。

そして何よりも大事なのは、続けることです。MtGで強くなるためには、才能はほぼ必要ありません。1年やってダメだったら、向いてないから辞めよう…と思う人が、95%くらいなんですよ。MtGのプロを目指す人って。でも今活躍してる人って、5~6年...最低でも3年ぐらいはやっているプレイヤーが多いです。

なので、昨日の自分よりも成長することを重要視して、MtGを続けていくのがいいのかなと思います。

これらを心掛けたうえで、プロになりたい気持ちを発信していくのも大事かなと。MtGは、趣味でできることでもあり、プロを目指せることでもあるので、「自分はプロになりたくて頑張っているんだぞ」というのが伝わるように想いを発信すると、僕のように運が回ってくることもあるのですよ。

――eスポーツっていう枠組みでも、ビジネスパーソンとしても、今のアドバイスって刺さると思います。今年は年収が1,000万円を超えたそうですが、ここまでの努力をなさってみて、価値観が変化したことはありますか?

行弘:
どちらかというと、人に見られることが多くなったので、身なりに気をつけたり、発言により気をつけたりしています。僕は普段から、そんなに過激な発言する方ではないのですが、Twitterでの発言にはより気を付ける、という感じですね。

――2020年の目標を教えてください。

行弘:
2019年は、あともうちょっとのところで失速して世界選手権には出れなかったので、世界選手権に出場するのが第一目標です。

――世界中にいるライバルに向けて伝えたいことはありますか?

行弘:
定番ですが…「来年も1年頑張りましょう、よろしくお願いいたします!」と。

僕にとってライバルは、不思議な感覚の人たちですね。ライバルではありますが、MtGを頑張ってきた結果、報われてきた仲間、という意識です。今年が一番待遇が良いので、長くやってきて良かったねって。…お互いリスペクトがあるので、もちろん、なぁなぁの関係ではありませんよ(笑)

僕は英語が得意ではないので、世界中にいるライバルたちと、込み入った会話は実はできていないんですよ。でも、他のプレイヤーのデッキ構築やゲームに対する考え方をいつも観察しています。MPLのプレイヤーたちだけではなく、一般のプレイヤーさんからも学ぶことがすごく多いんですよ。

――最後に、行弘さんを今日まで支えて下さっているファンの方へメッセージをお願い致します。

行弘:
あの、僕、SNSでエゴサーチするくらい、自分のことが好きなので…(笑)応援ってめちゃめちゃ励みになってるんですよね。応援してもらえる活動ができなかったら、プロでいる価値も存在しないですし、期待に応えるのも、すごく大事だと思っています。

配信も、自分のファンの方に楽しんでもらいたいという気持ちがあるので、プレゼントキャンペーンもやらずに、ここまできました。

今までもこれからも、配信そのものや、プレイを頑張ることで、皆さんに楽しんでもらいたいと思っていますので、今後も応援よろしくお願いします!

――ありがとうございました!2020年も、行弘さんにとって良い年でありますように!

(聞き手:中村めぐみ @Tapitea_Rec /片川創太 @seomatome、テキスト:中村めぐみ、撮影:奥野 佑樹 @Seiren_GA

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ここで皆さんに朗報です!

インタビューの中で、「Youtube配信ではプレゼントキャンペーンは行わない」と仰った行弘選手ですが、今回特別に、プレゼントキャンペーンにご協力いただけることになりました!

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①転職DoのTwitterアカウント(@tenshokudo)をフォローします。

②固定ツイートをリツイート。
※引用リツイートは不可。必ずリツイート機能でのリツイートをお願いいたします。

③応募完了!
※応募完了後であっても、リツイートの取り消し、転職Doのフォローを解除した場合、その時点で応募対象外となります。

【応募締め切り】 2020年1月21日(火) 23:59まで

【当選の通知方法】

締め切り後に抽選を行い、当選者には@tenshokudoからDMにてご連絡いたします。

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