【連載】キャリアセンターってどんなところ?知らなきゃ損する大学の就職支援


ライター:土岐光
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大学のキャリアセンターや就職支援課はどのようにして学生の就職活動をサポートしているのでしょうか。キャリアセンターで働く大学職員の仕事は学生と面談をするだけではありません。

なぜなら、キャリアセンターは就職に関する大学の窓口であり、大学のブランドを活かして企業や公官庁との関係性づくりも重要な仕事だからです。

この記事ではキャリアセンターの仕事内容を現役の大学職員が紹介します。この記事を読むとキャリアセンターで働く大学職員が学生や民間企業の社会人とどのように関わっているのかがわかります。

結論、キャリアセンターでの仕事は求められる水準も高く、大学職員自身も日々勉強しなければいけません。同時に学生を社会に輩出するという非常に大きなやりがいを感じることのできる職場でもあります。

大学のキャリアセンターの役割と仕事内容

大学のキャリアセンターは、学生のキャリア形成を支援するためにさまざまな活動を行いサポートすることが役割です。大学院進学や資格取得を目指す学生を除いて多くの大学生は卒業後の就職先を獲得するために在学中に就職活動を行います。

学生が自身の希望するキャリアを選択できるようキャリアセンターでは就活スタートアップ講座や企業説明会、模擬面接などを通じて就職活動をする学生をサポートしています。

このほかにも企業や公官庁の採用担当者と定期的な打ち合わせを行い、企業側が求めている人物像をヒアリングして学生の就職活動に活かすなど学外との日常的な関係性づくりも行っています。

キャリアセンターでは就職活動をあらゆる面でサポートしている

卒業生の進路や就職先は大学にとっても重要な実績であり、高校生にとって進学する大学選びのきっかけにもなります。特に学費を負担する親からの注目度は高く、大学のオープンキャンパスでは必ず就職先についての質問がでます。

そのため最近では多くの大学が学生の就職活動支援に力を入れており、その役目をキャリアセンターが担っています。
学生の就職活動をサポートするためにキャリアセンターが行っている主な支援は次の5つです。

  • 就職活動のスタートアップ講座
  • キャリアカウンセリング
  • OB・OG訪問支援
  • 履歴書やエントリーシートの添削
  • 模擬面接

キャリアセンターでは学生が就職活動をする上でつまずくポイントを重点的にサポートしています。
例えばOB・OG訪問では「訪問する相手が見つからない…」という学生の悩みを解決するために就職先の書かれた卒業生名簿を管理して、事前に了承を得ている卒業生の連絡先をキャリアセンターで公開しています。
就活生が自分で行動を起こすための最初の一歩目をサポートしているのです。

キャリアセンターにはキャリアコンサルタントがいる

キャリアセンターには大学職員の他にもキャリアコンサルタントが在籍しています。
平成28年4月より国家資格になったキャリアコンサルタントはキャリアコンサルティングを行う専門家です。キャリアコンサルティングとは、労働者の職業の選択、職業生活設計又は職業能力の開発及び向上に関する相談に応じ、助言及び指導を行うことをいいます。

キャリアコンサルティングを通じて、自分の適性や能力、関心などに気づき、自己理解を深めるとともに、社会や企業内にある仕事について理解することにより、その中から自身に合った仕事を主体的に選択できるようになることが期待できます。
出典:国家資格 キャリアコンサルタント試験

キャリアセンターにいるキャリアコンサルタントの力を借りることで自己分析や就職したい希望業界などを明確にすることができます。
就職活動を始めたけど、自分がどんな仕事に就きたいか決まっていないという学生がキャリアセンターでキャリアカウンセリングを受けにくるのです。
ひとりでは見えなかった自身の能力や興味関心が明確になり、就職活動を本格化するための手助けになります。

キャリアセンターの大学職員として働くうちに、キャリア支援を本気で考え、自分でキャリアコンサルタント資格を取得してキャリアコンサルタントの肩書を手に入れる大学職員も多く存在しています。

学生の履歴書やエントリーシートの添削をしている

就職活動の履歴書やエントリーシートの作成について最初から上手に書ける学生はいません。
キャリアセンターでは就活生に対して履歴書の書き方指導やエントリシートの添削を行います。
エントリシートの添削を行う場合は、キャリアセンターの大学職員が正解だと思う書き方を伝えるのではなく、学生が自分の強みや長所を活かした自己PRができるようサポートします。
エントリシートをうまく書けない学生の特徴として以下の2点があります。

  • 自己分析が足りていないため自己PRが曖昧
  • 業界分析や企業分析ができていない

キャリアセンターでは「どうしてそう思ったのか?」「当時は何を考えて行動したのか?」など学生が自分自身を再認識するための支援を行います。

大切なことは学生が自分で決断して選択できるような体制を構築することです。決して、答えになるようなことを一方的に伝えるようなことはしません。

キャリアセンターでは模擬面接を行っている

履歴書やエントリシートが書けるようになった学生が次にぶつかる壁が面接です。
就職活動の面接では面接官からの質問に答えるだけではなく、自分の考えや主張をアピールする必要があります。

面接力を鍛えるためのもっともよい方法は面接後に面接官からフィードバックを受けることですが、企業の採用面接では後日、結果だけが通知されフィードバックを受けることができません。

そこでキャリアセンターでは面接に不安や課題を抱える学生に向けて模擬面接を実施しています。
キャリアセンターの個室面接ブースを利用して学生とキャリアセンターの大学職員が模擬面接を行っていますが、本選考を控えた就活生の本気度や熱気はものすごいです。

面接官役をする大学職員も本選考さながらの緊張感をもって面接を行い、最後にはフィードバックをします。
フィードバックをする際は感想やただの主観にならないよう、なぜこの質問をしたのか?この面接で就活生のどんな側面を見たかったのかなど面接官側の意図を伝えた上で就活生へフィードバックをするよう心がけます。

キャリア学修プログラムを企画して主催する

大学生が自分の希望するキャリアを歩むためには就職活動を目前に控えた学部3回生や4回生の頃ではなく、1回生などの低学年のうちからキャリアについて考える機会をつくることが大切です。

そのため、キャリアセンターではキャリアコンサルタントや企業の採用担当者などを招いて学生が自分のキャリアについて考えるための講座を開講しています。
キャリアセンターで働く大学職員はキャリア学修に関するプログラムを企画して実施に向けた調整を教務課やキャリアコンサルタントと一緒に行っています。

キャリアセンターでは就職活動の準備をサポートしている

キャリアセンターでは学生が就職活動を始めるための準備をサポートすることも大きな役割のひとつです。
大学に入学した学生は学問を学び、キャンパスライフを通じて充実した自己実現のために毎日忙しく過ごしています。そんな学生たちは就職活動の時期が来たからといって自然と就職活動ができる体制を整えるわけではありません。

学生たちがスムーズに就職活動を始める体制を整えるためにキャリアセンターでは就職活動スタートアップガイダンスを開催して就活スケジュールや準備方法などを伝えています。

この他にもインターンシップの募集案内を掲載したり、企業の採用担当者を招いて座談会を実施するなど、学生が就職活動を始めるために必要なさまざまな取り組みを行っています。

キャリアセンターでは企業や公官庁の採用説明会を行っている

キャリアセンターは企業や公官庁と連携することも大きな役割です。企業や公官庁の採用担当者は優秀な人材を採用したいという要望を持っており、大学側も学生の就職先を確保したいという要望があるためどちらも叶える必要があります。

企業や公官庁の採用担当者と大学の双方が連携してお互いの要望を実現するためにキャリアセンターの大学職員が大学の窓口として連携を図っています。

具体的には複数の企業の採用担当者を大学に招いて合同採用説明会を開催します。本来であれば、企業がそれぞれの本社で採用説明会を行うため、就活生はいくつもの企業に出向いて参加しなければいけません。

ところが、大学がいくつもの企業を招くことでひとつの場所で複数の企業説明会に参加することができて、学生たちは効率的に就職活動をすすめることができます。

企業の採用担当者にとっても自社で開催する採用説明会の場合はいくつもの大学から就活生が参加しているため特定の大学に限定した案内を行うことができません。

しかし、大学に出向いて採用説明会を開催することでその大学に通う就活生にターゲットを絞った採用説明を行うことができます。
また、そこまで志望度の高くなかった就活生が「せっかくだからついでに採用説明を聞いてみよう」と自社の採用説明会に参加してくれる可能性が高まります。

このようにキャリアセンターの大学職員は学生だけでなく、地域や企業が抱える課題を解消するために工夫を凝らして企画を立案し実施しています。
大学というブランドや立地を活用して就活生がスムーズに就職活動に取り組むことができる環境を整える仕組みづくりこそキャリアセンターの仕事なのです。

企業や公官庁の採用担当者と定期的な打ち合わせを行う

キャリアセンターは就職活動における大学の窓口的な役割を果たします。そのため企業や公官庁の採用担当者との接点を増やし、良好な関係を築く必要があります。

就職活動が本格化する前の時期は企業の採用方針などをヒアリングし就活生へのスタートアップガイダンスに役立てます。

また自身の大学に通っている大学生向けに求人案内などを掲載できるよう企業の採用担当者と相談の上、インターンシップや新卒採用の求人募集について情報をもらいます。

特に苦労するのが同じ民間企業の採用担当者といっても業界や職種によって文化やスタイルが大きく異なるということです。それぞれの特有の雰囲気は経験して覚えるしかないため最初はとても関係性づくりに苦労します。
出典:大学職員にOB訪問してみた!キャリアセンターの仕事は大変!? | 大学職員になる

キャリアセンターで働く大学職員は企業の採用担当者からヒアリングした採用したい人物像などを教務課などと共有し、社会で求められる能力を備えた学生を育成できるようカリキュラムを改正したり、アカデミックポリシーに反映したり、大学内の関係部署に働きかけます。

学生にとって大学の出口となる就職先は非常に重要です。キャリアセンターの日々の活動によって就活生が自分の就職活動を進めやすくなり、希望する就職先に就職することができれば大学にとっての採用実績も増えるため大学の魅力度向上につながります。

まとめ:キャリアセンターでは学外関係者との関係性作りが必要

キャリアセンターで働く大学職員にとって企業や公官庁の採用担当者など学外関係者との関係性作りが非常に重要になります。

学外の民間企業で働く社会人と頻繁に打ち合わせなどを行うため、大学職員自身が社会における経済活動などを理解しておくことも重要です。

業界ごとの特徴や企業業績などを日々勉強することがキャリアセンターには求められます。国家資格であるキャリアコンサルタントの合格を目指して毎日、勉強している大学職員もたくさんいます。

キャリアセンターに相談に来る学生の全員が自分の意見を持ってスムーズに話ができるわけではありません。相談に来た学生はどんな問題を抱えていて、解決するためには何が必要なのかをコミュニケーションを通じて把握し、相手が充分理解できるような説明をする必要があります。

このようにキャリアセンターで働く大学職員にとってさまざまな人と会話をすることが良い仕事をする上でとても大切です。学生が大学で学んだことを活かして社会に羽ばたいていく後押しができるキャリアセンターは数ある大学の部署の中でも非常に特別なやり甲斐のある仕事です。

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