転職に活かす心理学?やりたい仕事がない方にこそ試してほしい、自分を大切にする選択


ライター:奥野 佑樹
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「転職をしたいけど、やりたい仕事がない」と思ったことはありませんか?

転職エージェントや、転職サイトにある膨大な求人票を見て、「一見条件のよさそうな仕事だけど、この会社に入れたとして、自分は本当に幸せになれるんだろうか?」と疑問を持つ方も少なくはないはず。そもそも、自分が転職で何を変えたいのか、その答えが見つけられずにモヤモヤしている方も多いのでは?

そこでそんな方のために、これまで1万人以上もの方への研修実績をもつキャリアカウンセラーの松島高弘さんへ、「転職に応用できる心理学」についてお話を伺いました。

(聞き手:中村めぐみ)

Interviewee:キャリアカウンセラー 松島高弘(まつしまたかひろ)

松島高弘

1996年早稲田大学法学部卒業後、JR東日本に入社。
入社後はITビジネス担当に抜擢され企画立案を任されるチャンスを得るが、一人で抱え込み、挫折。「本当に自分のやりたいことは何か」との悩みからコーチングとの出会いをきっかけに2007年独立。企業・行政・教育機関等に向けて全国で1,000回以上、のべ1万人以上の参加者に対してコーチングやキャリアに関する研修を実施している。

私たちはなぜ、仕事を選べないのか

ライター中村

松島さん、先日友人から、「自分はどんな仕事を選べば良いかわからない」という相談を受けまして…。「今の環境から抜け出したいけど、自分には転職でやりたいことがない」と悩んでるようなんです。

 

私自身、求人票から分かる<年収><年間休日日数>などの条件で判断して転職した先を、「なんか違うなー」と、1年足らずで辞めてしまったこともありました…。私たちは何を基準に、会社を選べばよいのでしょうか?

松島さん

仕事を選ぶ際に参考になる、選択理論という心理学の基本的欲求という概念があるんです。

ライター中村

ハイハイハイ!欲求といえば、あの有名な、5段階のピラミッド型のことでしょうか?

松島さん

それは、マズローの欲求五段階説ですね。僕がお伝えしているのは、マズローではなく、グラッサー博士による、選択理論という心理学の概念ですよ。

ライター中村

(知ったかぶってしまった…)選択理論ですか…。はじめて聞きました。詳しく教えてください!

自分と向き合う選択理論の基本的欲求

松島さん

選択理論の基本的欲求とは、グラッサー博士により発表されたもので、人間にはもともと備わっている、5つの基本的な欲求(生存欲求、愛・所属の欲求、力の欲求、自由の欲求、楽しみの欲求)を私たちの誰もが遺伝的に持っているとしたうえで、人によってその強弱と満たし方が異なるという考え方です。

 

選択理論

愛・所属の欲求とは? 愛し、愛されたい、誰かとつながっていたいという欲求
キーワード:協調、協力、仲間、愛情
力・価値の欲求とは? 自分には力がある、価値ある存在でいたいという欲求
キーワード:競争、承認、達成、貢献
自由の欲求とは? 自分の思うように、自分で決めたいという欲求
キーワード:自己決定、自己選択、移動、自律
楽しみの欲求とは? 新しいことをやってみたい、知りたい、学びたいという欲求
キーワード:好奇心、発見、学習、ユーモア
生存の欲求とは? 食べたり、飲んだり、休みたいという欲求
キーワード:安全、安心、健康、癒やし
松島さん

なので、「自分はもともとどの欲求が強いか?」そして、「今の職場で何が満たされていないか?」「だとしたら、何を大切にしたいか?」を考えて、そのギャップを埋められる転職先を選ぶと良いですよ。

ライター中村

なるほど…。新しい知識に追いつくために、頭がいっぱいです。この心理学を自分の転職に当てはめるには、どうすれば良いのでしょうか?

松島さん

欲求と聞いてどんなものがあると思いますか?

ライター中村

えーと、いっぱいあります。たとえば、「インスタ映えしたい!」とか…?

松島さん

インスタ映えならば、インスタ映えすることで、「力の欲求」を満たしていることになりますね。

「インスタ映えしたい」をかみ砕くと…?
インスタ映え
したい
たくさんのいいね、
コメントが欲しい
いいね、コメント
をもらえる
価値のある
存在で
いたい
力、価値の欲求
ライター中村

なるほど…!自分はどの欲求が強いか分析するには、どうすればいいですか?

松島さん

今回紹介した基本的欲求は、簡単にできる自己分析のツールです。まずはこういう表を書いてみましょう。そして、自分の欲求を5段階でレベル分けをしてみましょう。

 

ライター中村

えーと、私はこんな感じでしょうか…。

 

松島さん

力・価値の欲求が高いんですね。

ライター中村

常に褒められていたい!っていう気持ちは正直あります(笑)

松島さん

だとしたら、そもそも褒めたり賞賛する文化がある会社を選んだり、評価制度の透明性が高い会社を選ぶと良いですね。たまに「全部!」という方もいるのですが、全部を満たす職場を見つけるのはハードルが高いので、優先度が高い1つか2つを選び取り、転職エージェントとの面談で話してみましょう。

 

愛・所属の欲求を満たしたいなら

個人プレイではなく、チームワークを重視しているか、互いに気遣ったり、助け合う雰囲気にあるか、愛社精神や帰属意識を持っている社員が多いか

力・価値の欲求を満たしたいなら

褒めたり賞賛する文化にあるか、評価制度は透明性が高いか、業務の目的や意義を都度明確にする風土があるか

自由の欲求を満たしたいなら

積極的に任せるマネジメントスタイルか、自由闊達な風土か、前例重視ではなく、新たな付加価値や自分ならではの持ち味を出すことを求める雰囲気か

楽しみの欲求であれば

ルーティンワークが少なく、変化に富む内容か、仕事に必要な技術や資格を学べる機会があるか、自分の好きなテーマを探求できそうか

生存の欲求であれば

段取りや計画的な仕事の進め方を尊ぶ風土にあるか、安全や健康に配慮する職場であるか、過度な残業がなく、手当が充実しているか

お金を稼ぎたいなら、なぜ稼ぎたいかを分解しよう

ライター中村

ちなみに、転職する方のなかでも、「お金を稼ぎたい、年収アップしたい」という欲求を持つ人は結構多いと思うのですが、金銭欲はこのなかのどれになるんでしょうか?

松島さん

金銭欲は、「お金を稼ぐことで、どうなりたいか」を分解すると良いと思います。たとえば、「お金を稼ぐことで、安心して暮らしたい」なら、生存の欲求ですし、「お金を稼ぐことで、自分は価値ある存在だ」と感じたいなら、力、価値の欲求になりますね。

ライター中村

なるほど…。金銭欲も、実はこれら5つの欲求と結びついているんですね。

松島さん

大事なのは、年収アップと、自分がもともと持っている欲求のバランスを取ることです。たとえば、【いま、会社で誰でもできる仕事が不満な方】が、年収がアップするからといって、同じような仕事をする会社を選んだとしても、その職場は自分にとって居心地のよいものにならないし、すぐに転職することになってしまう。

ライター中村

なるほど。条件と、自分の持っている欲求のバランスを取ることが大事なんですね。

松島さん

この考え方を応用することで、転職エージェントや、転職先との面談をするときは、「今、何が満たされていなくて、転職によって何を満たしたいか」を伝えることができるでしょう。

ライター中村

ちなみに、女性って愛・所属の欲求が大きそうだし、男性は力・価値の欲求が大きそうなイメージがあるんですが、性別によって傾向はあるんでしょうか?

松島さん

そんなことはないんですよ。これまでにキャリアカウンセリングや、企業で研修を行ってきた中で自己分析してもらうと、本当に一人ひとり違っているんです。だからこそ、性別や年齢に捉われず、「自分が本来どの欲求を満たしたいか」にじっくり向き合うことが大事なんです。

選択理論 まとめ

  1. 人が持っている欲求は、愛・所属、力・価値、自由・楽しみ・生存の5つ
  2. どれを満たしたいかは、人によって違う(性別、年齢関係なし!)
  3. 簡単な自己分析で、自分はどの欲求を優先的に満たしたいかを知る
  4. 現状の職場とのギャップを知る
  5. 自分が何を満たしたいかを、転職先や、転職エージェントとの面談の際に活かす。
ライター中村

ありがとうございました。早速友だちに教えてあげたいと思います!

まとめ

私も何回も転職してきたので、よくわかるのですが、新しい職場に移るときは、「とにかく早く決めたい」「失敗したくない」という焦りとの戦い…。だからこそ年収などの条件のみで判断してしまうのですが、今回、選択心理学の話を聞いて、「私たちが大事にしたいことは、一般的な条件だけでははかれないのかもしれない」と思いました。

判断に迷ったときは、選択心理学を思い出して転職活動に活かしましょう。

<前編「2005年に男性の育児休暇を取得。キャリアカウンセラー松島高弘さんが独自の道を拓いた理由」はこちら!>

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