はじめに
証券会社の営業職は非常にハードな仕事であることはよく知られています。また、そのため年収が高い仕事としても評判が高いです。
今回はそんな証券会社へ転職を考えている方、証券会社からの退職を考えている方向けに、証券会社の特徴を整理し、転職市場での評価や転職事情をご紹介していきます。
証券会社の種類と仕事内容
まずは証券会社への転職の対策をたてるため、証券会社出身者の転職市場での評価を考えるために、証券会社の種類と業務内容について確認していきましょう。
証券会社は実店舗を持ち、対面販売を中心に行う店舗証券とオンラインでの証券取引が中心のネット証券の2つに大別されます。同じ証券会社とはいえ、両者は大きく業務や収益構造が異なることはご存知の方も多いのでは無いでしょうか。
(引用:株式会社SBI証券 決算説明資料~2019年3月期 通期~)
こちらは証券会社の収益構造を示しています。
ネット証券はスマホの普及を背景に近年勢いがありますが、収益にしめる委託手数料の割合が高いです。一方で店舗証券の代表である野村證券の収益構造を見ると、委託手数料での収益は全体の16,6%に留まり、引受・募集・売買手数料や、その他の割合が多くなっています。
昨年秋に米国のネット証券会社が相次いで委託手数料の無料化を発表しました。その流れは店舗証券にも波及し昨年冬にはBoAやMerrill EdgeがETFの手数両無料化などを発表しています。手数料無料化の風潮は世界に広がりつつあり、日本でもネット証券の最大手であるSBI証券は3年をめどに委託手数料を無料化する方針を示しています。
企業収益に占める委託手数料の割合が高い傾向にあるネット証券は、とくに収益構造の見直しを迫られる転換期に入いります。このような現状や以下で説明する両種の特徴を踏まえ、自分に合った転職先を探す必要があります。
(参考:2020年における本邦証券会社の経営展望)
店舗証券
私達が証券会社ときいてはじめに思いつく「野村證券」や「SMBC日興証券」がこちらのタイプです。
全国各地に店舗を構え、売買には仲介者として営業パーソンがいることが特徴です。
主な仕事内容
店舗証券の主な仕事内容は3つに分かれます。
新卒採用者の9割が、はじめはリテールとして営業を経験します。また組織全体で見ても営業職の割合が高く、営業中心の業界と言えます。
営業部門
個人への営業をリテール、法人への営業をホールセールといいます。店舗型の証券会社の中心となる業務で、新規開拓の口座開設や、既存顧客に対する株式提案の業務があります。
リサーチ部門
経済や株式の動向を調査・分析し、今後の予測を立てる仕事です。アナリストリサーチとして社内外に公開され、多くの投資家や営業部門にも参考にされます。
インベストメントバンキング(IB)部門
投資銀行業務ともいわれ、事業承継やM&Aなど企業のコンサルティングを財務方面に特化して行います。
営業部門で結果を出した人が社内異動で別の職種を任される事が多いので、営業職以外の募集は殆どありません。
そのため店舗系の証券会社への転職の際は、まず営業職として入社することになります。
ネット証券
「SBI証券」や「楽天証券」に代表されるネット証券は、インターネットの発展とスマホなどの普及に伴って市場が拡大しています。
口座開設から株やFXの取引まで全て各社が提供しているツールを利用してネット上で行われますので、売買取引の仲介者(営業パーソン)はおらず、カスタマーサポートへの問い合わせなどがない限り顧客対応をすることはありません。
手続きをすべて自分で行う必要はありますが、手数料の安さや、少額から取引を始められる点が顧客にとってのメリットになっています。
主な仕事内容
ネット証券の業務内容は多岐にわたりますが、営業職がないのが最大の特徴です。
楽天証券のHPの採用ページには以下の職種での募集が確認できました。
マーケティングデータ分析、FXディーラー、カスタマーサポート、IT企画・管理、ネットワークエンジニア、システム運用管理、プロジェクトマネジャー、アプリケーション開発
サービスがネット上で行われるため、システムの構築・管理などを行うエンジニア系の職種や、Web上で集客するためのマーケティング職などがあります。
転職市場での評価
証券会社の出身者が転職市場で最も評価されるのは、営業力です。
保険や株式など商品で他社と差をつけられない中で、厳しいノルマをこなす必要があるため、営業力の評価は最高クラスになります。
営業職の募集の際に証券会社出身者は自動的に書類選考をパスできる、と言われることもしばしばあります。証券業界から転職活動を行う際には、やはり営業力を活かしていくことになります。
退職理由
証券会社の方からよく聞こえてくるのは
- 扱うのは差別化が難しい金融商品なのにノルマは厳しい
- 体育会系の気質が合わない
- 長時間労働
- 顧客のための仕事がしたい
といった悩みです。
このような悩みを抱えて転職を検討している証券会社の皆さんに、おすすめの業界や職種をご紹介します。
証券会社「への」転職をお考えの方はこちら
証券会社「からの」転職をお考えの方はこちら
厳しいノルマがある縦社会の業界です、証券会社への転職をお考えの方はこのような理由で退職されている方がいることを理解しておきましょう。
証券会社への転職
店舗証券
店舗証券への転職は営業職としてキャリアアップを目指す方向けです。
前述の通り、営業で結果を出した人が社内異動で別の職種を任される事が多いので、営業職以外の募集は殆どありません。
そのため店舗系の証券会社への転職の際は、まず営業職として入社することになります。
どの証券会社でも扱う商品には大きな差はありませんので、会社で営業方針や企業文化に違いが出てきます。そういった情報を入手するためには、転職エージェントへ登録するとよいでしょう。
店舗証券への転職でおすすめの転職エージェントはマイナビエージェントです。
マイナビはマイナビ金融エージェントという金融特化のサービスを運営するほど金融関係の求人が多いのですが、このマイナビはマイナビ金融エージェントの求人はマイナビーエージェントでも取り扱っています。
ネット証券
ネット証券会社は、業績が好調なこともあり積極的に中途採用を行っています。各社HPやdodaやリクナビNEXTなどの転職サイトでも求人が確認できます。
ネットを利用したサービスを提供するため、募集内容は店舗証券とは大きく異なり、ネットワークエンジニア、システム運用管理などの技術職から、マーケティングやカスタマーサポートと幅広いです。
金融業界の経験は必須ではなく異業種間の採用も活発ですので、営業職以外を希望する方にも金融業界への転職が可能になっていますね。
エンジニアなどの専門的な技能をお持ちの方はもちろん、文系職種出身の方でもマーケティング職やカスタマーサポートなどに応募が可能です。
ネット証券への転職ではリクルートエージェントがおすすめです。
中途採用業界においては最大手として、手厚くサポートしてくれます。また非公開求人も多数保有しており目当ての求人が得られる可能性が高いです。
証券会社からの転職
証券会社からの転職は、金融業界か異業界の法人営業かの2つのパターンに別れます。
金融業界への転職
金融業界の知識やフィナンシャルプランナー、証券アナリストといった資格をそのまま活用できるため、金融業界での転職は異業界・異業種への転職よりもスムーズでしょう。
しかし、証券会社は金融業界の他の業種と比較して年収が高い傾向にあります。
そのためキャリアアップや、年収アップを目指す方は証券会社、なかでも外資系の証券会社がおすすめです。
外資系の証券会社への転職を検討するならビズリーチを利用するとよいでしょう。ビズリーチはミドル・ハイクラスに特化した転職エージェントで、外資系の求人が多いことも特徴です。
※店舗証券からネット証券はあまりおすすめできません(営業職がないネット証券では最大の強みである営業力を活かせない点、給与面でもワンランク下がる場合が多いためです)
法人営業経験者として事業会社からの引き合いが多数
異業界へ転職する際は、リテールとして培った営業力が武器になります。
転職市場での営業経験者としての評価は最高のもので、事業会社からの引く手は数多です。
若い方ではインサイドセールスなど、十分な経験ある方ならフィールドセールスとして高い年収が狙えます。
実際に証券会社の営業パーソンは人材会社の法人営業、広告会社の企画営業、いま注目のSaaS系企業のセールス部門など様々な業界へ転職されています。
異業界への転職では、転職先の業界や職種しっかり把握することが重要ですので、転職エージェントを利用して、転職のタイミングなども含めて業界の情報を入手しておくことが大切です。
法人営業経験者として事業会社への転職を考えるならリクルートエージェントがおすすめです。
リクルートエージェントは中途採用業界においては最大手のエージェントで、リクルート自体が営業で伸びたということもあり営業系の求人はかなり充実しています。
また、人事部だけでなく事業部から非公開求人の依頼を受けているケースもあり、大手企業やSaaS系の成長企業から目当ての求人が得られる可能性が高いです。